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第4弾 聖なる夜に
I was saved thanks to him.(彼のおかげで助かった)
しおりを挟む一方、
ダラダラとダベりながら夕食を終えたガンマンキャストがゾロゾロとキャスト食堂を出ると、
「メラリーちゃん♪」
ルルがロビーで待ち伏せていた。
インディアン・ジュエリーの店は夜10時まで開いているがルルの仕事は5時までらしく、もう普段着に着替えている。
刺繍のブラウスにスエードのフリンジのベストとミニスカート、ビーズ刺繍のモカシンというインディアン娘らしいウェスタン・ファッションだ。
普段着までインディアンの羽根のヘッドバンドをしているのは驚きだが、兄のレッドストンも普段から頭に羽根飾りを被っているのでそういう兄妹なのだろう。
「あのね?タウンはクリスマスのイルミネーションがキラキラで綺麗なの。一緒にメインストリート歩こう?」
ルルは舌足らずな口調でメラリーを誘ってきた。
「うん。歩く歩く♪」
メラリーはあっさりと応じる。
「――あ、ジャージの上下なんかでタウンに入ったらゴードンさんに叱られちゃう。いっぺんキャスト宿舎に帰って着替えないと」
メラリーはハタと気付いて自分の着ているピンク色のバミーのプリントTシャツを引っ張った。
タウンのモットーは『家に帰るまでが遠足』ならぬ、『家に帰るまでがキャスト』である。
そのためにタウンのキャストは仕事の行き帰りでもゲストに見られて恥ずかしくないウェスタン・ファッションが半ば強制されている。
特にウェスタン・ショウのキャストのメラリーがジャージの上下でタウンを歩くなど以ての外なのだ。
「じゃ、ルル、待ってる」
メラリーとルルは一緒にウキウキとした足取りでロビーを出ていった。
「――むうん?メラリーの奴」
ジョーは怪しむようにメラリーの後ろ姿を睨み付ける。
「ルルちゃん、普段着も可愛いなぁ」
太田は物欲しげにルルの後ろ姿を見つめていた。
キャスト宿舎。
ジョーは一人寂しく自分の部屋へ帰った。
帽子掛けにテンガロンハットを引っ掛ける。
その時、
「キャッキャッ」
外から甲高い笑い声が聞こえてきた。
(――ん?んん?女のコの声?)
男子のキャスト宿舎だというのに何故?
ジョーは不審に思って玄関扉から廊下を覗く。
階段を上がってきたのはメラリーとルルだ。
カチャ。
メラリーが自分の部屋の玄関扉を開ける。
「アメリカンで広いんだけど、俺、インテリア、何にも無くて殺風景で」
「いいの。いっぺんキャスト宿舎の部屋、見てみたかったの」
「どーぞ」
「お邪魔しま~す」
玄関に入るルル、続いて入ろうとするメラリー。
そこへ、
「こ、こらっっ。メラリーッ」
ジョーが玄関から飛び出し、背後からメラリーを羽交い絞めにした。
「――げっ?ジョーさんっ」
「お、お前、未成年のくせにっ。女のコ、部屋に連れ込もうなんざ、10年――じゃねぇ、えっと?3月生まれだから、3ヶ月早えだろっ?許さねえからなっ」
「な、何で、ジョーさんがそんなことっ」
「公序良俗に反することは見過ごせねぇ性質なんだよっ。だいたい、お前、ルルちゃん、好みじゃねえって、パスだって言ったくせによっ」
「――っ」
ショックを受けた表情のルル。
「い、言わないよっ。そんなことっ」
メラリーはブンブンと首を振る。
「嘘まで吐くかよっ。コイツ、エロ目的で好きでもねえコを部屋に連れ込んでっ。ただエッチしたいだけなんだろっ?そーだろっ?このやろっ、クリスマスムードだからって発情期かっ。このっ」
「ち、違うっ。スケコマシのジョーさんじゃあるまいしっ」
羽交い締めのままバタバタと足を蹴り上げて暴れるメラリー。
「ル、ルル、帰るっ」
ルルは真っ赤な顔をして脱兎のごとく玄関から身を翻す。
「ル、ルルちゃん――っ」
メラリーは引き止めるように羽交い締めのままバタバタと手を伸ばすが、
ダダダーーッ、
ルルはものすごい速さで階段を駆け下りていった。
「――ふう、一人の乙女の純潔を毒牙から守ったぜ」
ジョーは息をついて、「してやったり]という笑みを浮かべる。
「――ヒ、ヒドイ――」
羽交い絞めのままメラリーはグタッと脱力した。
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