PictureScroll 昼下がりのガンマン

薔薇美

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第4弾 聖なる夜に

a warning beep(警告のビープ音)

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 あくる日。

「パァー」

 今日もウルフと男は午前10時のオープンからタウンにやってきた。

 この温泉地の温泉旅館の送迎バスから降りてきたところを見ると昨日は旅館に泊まったようだ。

「パァー、はやく~」

 ウルフはクーンスキンキャップの尻尾をブンッと揺らし、男に振り返る。

「ほら、そっぽ見て、走んない」

 男は笑顔で後からブラブラと歩いていった。

 
 一方、

 キャスト食堂。

「――ルルちゃんから部屋に来たいって言ったのに。ホントにメインストリートを歩くだけのつもりだったのに。ジョーさんに妨害されちゃってさ」

 メラリーは恨みがましく言ってから朝定食の大盛りご飯をムシャクシャと掻き込んだ。

 昨日はメラリーがキャスト宿舎に着替えに帰ると言ったらルルが部屋を見たいとくっ付いてきたのだ。

 ジョーの妨害によってメラリーはクリスマスのイルミネーションの中を可愛い女のコと歩くことすらままならなかった。

「いや~、さすがジョーさん。グッチョブですっ」

 太田は嬉々としてジョーを称える。

「当然のことをしたまでだぜ」

 ジョーは得意満面だ。

 そこへ、

「――メラリーちゃん」

 ルルが浮かない顔してテーブルにやってきた。

「昨日はごめんね。ルルがメラリーちゃんの部屋を見てみたいなんて言ったから。帰ってからお兄ちゃんに叱られちゃった」


「ルル~。そんなこと言ったら自分から誘ってるとしか思われねえだろっ。たとえ女のコと見分けの付かないメラリーでも男なんだからな。人気ひとけのない場所で2人っきりになったらダメだぞ。分かったなっ?」

 そうレッドストンはルルに厳しく説教したのだった。


「――え――?」

 メラリーはサーッと青ざめて先住民キャストのテーブルにチラッと目を向けた。

「――(ギロリ)」

 レッドストンが恐ろしい形相でメラリーを睨み付けている。

「――ひぃ」

 ビビるメラリー。

「そ、そうだよね~。全っ然っ、やましい気持ち無くってもヒトに誤解されちゃうもんね~」

 メラリーはレッドストンに聞こえるように声を張り上げて訴えた。

「……」

 ジョーはケッという表情だ。

「ルル、気が付かなくって。ごめんね」

 ルルはペコリとすると兄のレッドストンの目を気にして足早にキャスト食堂を去っていった。

「――(ギロリ)」

 なおもレッドストンは恐ろしい形相でメラリーを睨み続けている。

 さらに、

「――(ギロリ)」
「――(ギロリ)」
「――(ギロリ)」

「――(ギロリ)」
「――(ギロリ)」
「――(ギロリ)」

 以下略。

 あちこちのテーブルから仲間の先住民キャストがメラリーを睨み付けている。

 総勢15人のインディアンの無表情の怖い目が矢のようにメラリーに降り注ぐ。

「ひ、ひぃ――」

 Beep!
 Beep!

 Beep!
 Beep!

 メラリーの頭の中に警告のビープ音が鳴り響いた。

「こ、こわっ。釘を刺されまくった感じ」

 メラリーは身を抱き締めてブルブルと震えた。

「アイツ等、敵に回すとこだったぜ~。俺のおかげで助かったじゃん。あのコが先住民キャストのリーダー、レッドストンの妹だってこと忘れてたんだろ?」

 ジョーは「そら見たことか」という顔をする。

「昨日、覚えてたら部屋に呼ばない」

 メラリーはホントにうっかり忘れていたのだ。

「レッドストンの強力なガードがあればこそルルちゃんの純潔が保たれているんですね。やっぱり、ルルちゃん、天使ですよね」

 太田はルルが清らかなままでいられることに安堵して恍惚の表情である。

「あんな面倒くせぇ天使、イラネ」

 ジョーが顔をしかめて言うと、

「うんっ」

 メラリーは力強く頷いた。
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