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1章 回想シーンから
言い伝え
しおりを挟む「いいかい…?人間というものは私たちラビット族を追い詰める憎い存在なのよ。もし、見つかってしまったらあなただけでも逃げなさいっ…」
当時、小さかった私はこのお母さんが言い残してくれた言葉の意味がよく分からなかった。
絵本では、人間と動物たちが仲良しなことを描いていてとても冗談だとは思えなかった。
私たち、ラビット族とは見た目は人間とさほど変わらない。
大きく変わるのは3つ。
1つ、耳にうさぎの耳と同じようなものが生えていること。これによってかなりの遠い距離の音でも聞こえやすい。
2つ、絶滅危惧種に指定されたこと。
これは人間たちが殺してしまったり改造をしてしまったりして私たちの同胞が減ってしまったこと。
3つ目、跳躍がすごいこと。
運動神経が良いもので、戦に駆り出されることもしばしば。見つからないように私たちは逃げて回っている。
同胞たちは、全員で300人ちょっと。
以前はかなりの人数がいた。
そしてあの日、そのとき私たち家族はラビット族の中でも上の位の方で私と弟のフロッセは好奇心に駆られて危険だと言われた道の方向へ足を運んでしまった。
まだ幼かった私たちは大人たちみたいに力はついていなくすぐに近くにいた人間に見つかってしまったのだ…。
「お姉ちゃん…どうしよう」
フロッセは、まだ5歳だ。強面をする人間たちに怖くなってガクガクと震え出す。
「大丈夫…。私だってもう9歳だもん。戦い方なんて知ってるもん!」
(嘘、本当は本でしか戦い方の詳しい仕方は知らないお母さんからは逃げろと言われているけど私だけならまだしも…。フロッセがいる中でどうやって逃げろというものか…)
(誰か助けて欲しい…)
このノノヒリ森は広く私たち以外にもいくつかの人種の者たちが住んでいる。
でも、助けを呼ぼうにしてもここは運悪くあまり人が来ない場所なのだ。
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