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副ギルド長の場合
第壱章 冒険者ギルドへようこそ
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「気に入らねぇなぁ、オイ」
そう呟いてギルド長はテーブルの上に資料を放り投げた。
「何が気に入らないとおっしゃるんですの?」
テーブルを挟んで対面に座る伯爵家のご令嬢が唇を尖らせて資料とギルド長を交互に見やる。
「あのな、ここは冒険者ギルドだぞ、冒険者ギルド」
ギルド長は皺が寄った眉間を指で揉みほぐしながら上目遣いで目の前の少女を睨む。
いや、それはもう上目遣いなどと生易しいものではなく、凄みのある三白眼と云えよう。
「それくらい世事に疎い私だって存じておりますわ。だからこうして依頼を持ってきたのではありませんか」
一軍を率いる将ですら数秒で目をそらすギルド長の眼光に怯むことなく平然と答えるこのお嬢様は将来大物になるだけの器を持っているに違いない。
「するてぇと何か? お前さんの判断じゃ、このご依頼は冒険者ギルドに持っていくべきだとそう思ったってぇ訳かい?」
ギルド長の目が細くなり口角がつり上がってくる。
やばい。
僕の脳内でけたたましいまでの警報が鳴り響いた。
この無理矢理に作った笑顔はギルド長が怒りを堪えている兆候である。
「そう通りですわ。私のピンチに駆けつける希望の勇者を早急に用意できるのはここだけですもの」
「ピンチなぁ……ところで話は変わるがお前さん、俺が今、何を考えてるか分かるか?」
出たよ。このセリフが出るということは、完全にギルド長が頭に来ている証拠だ。
そんなギルド長の様子に微塵も気づくことなく、伯爵令嬢は挑むようにギルド長の瞳を見据えて云った。云ってしまった。
「そうですわね……私を救う勇者をピックアップしているってところかしら? 外れていて?」
大外れだよ! 的外れだよ! 問題外だよ!
見てよ。見てご覧なさいよ。ギルド長のこめかみに浮かんだ別個の生き物のように脈動する青筋を。
「それでいつ我が勇者を派遣してくれるのかしら? 私としては明日でも待ちきれないくらいですわ」
あ、ギルド長のこめかみから何かを引きちぎるような音がした。
「貴族の見合いをぶち壊すのに冒険者を使えるかぁ!」
ああ、お茶請けのマフィン、美味しいなぁ。
流石は伯爵家が持ってきたお土産なだけあって、高級感を感じるよ。
「ご乱心! ギルド長殿、ご乱心!」
「クーア殿? クーア殿! お茶など啜ってないでギルド長を止めて下され!」
あーあー、聞こえなーい。
僕も元宮廷治療術師。死なない限りはどんな怪我でも治してあげるから頑張って。
伯爵家の護衛騎士達が無手によって殲滅される音を聞き流しながら、僕は折角のマフィンとお茶に埃が被らないよう魔力のヴェールでテーブルを覆った。
ここは聖帝陛下の統治のもとに繁栄する国家、聖都スチューデリア。
僕はその名の通り世界中を旅する冒険者達を支援する組織、冒険者ギルド・スチューデリア支部において副ギルド長という役目を務めている。
冒険者ギルドのコンセプトは、後世を担う若者達に旅を通じて世界の広さ、大きさ、様々な国の文化の違い、問題などを肌で知ってもらい、それを糧に大きく成長して欲しいというものだ。
世界を股にかける冒険者達のほぼ九割は冒険者ギルドに所属している。ギルドは特に加入を強要していないけど、入った方が何かと便利だからだ。
まずは何といっても情報だろう。
冒険者ギルドに籍を置けばその土地々々に跋扈するモンスターや盗賊団などの情報を格安で買うことができるし、初めて訪れた街であれば一度に限り周辺地図を無料で手に入れられるのだ。過去の冒険者達が十数年をかけ実測によって作製した精密な地図は、それだけに結構値が張るからこれは嬉しい特典だろう。
そして路銀を得るための仕事もギルドの方で周旋している。
仕事の内容は、日雇いの人足から始まり、要人警護、モンスター退治、盗賊討伐、変わったのでは好事家に自分達が体験した冒険を物語にして聞かせるというのもある。
当然ながら仕事を仲介するにあたって報酬に応じたバックマージンを貰っているけど、それこそが冒険者ギルドの収入源の一つなのだから仕方ないね。
冒険者達はその力量、達成した依頼の質や数に応じてAからFまでの六段階でランク付けがされている。
ギルドに持ち込まれる依頼の方も難易度によってランクが分かれており、冒険者達は自分のランクと依頼内容を吟味してギルドに申請、許可が降りれば仕事にありつけるってシステムなんだ。
そうそうギルドの収入源と云えば、訓練場も忘れてはいけないね。
これは一線を退いた元冒険者達を教官とした訓練施設で、未熟な者や新しいスキルを獲得したい者達から指南料を受け取って訓練を施している。
かく云う僕も防御魔法と治療魔法の講師として訓練場で教鞭を振るうこともあるんだよ。
と、このように冒険者達へ提供する情報の収集、仕事の斡旋、宝石の原石の如き若手達の育成が冒険者ギルドの主な仕事なんだ。
分かって貰えたところで、話を冒頭に戻そうと思う。
伯爵令嬢の護衛達が応接間のあちこちで呻き声を上げながら床に転がっている中、ギルド長が憤然として腕を組んでいる。
まあ、当然だとは思う。
貴族のお見合いを潰すなんて暴挙を犯せばお縄になるのは当然だし、最悪首を刎ねられても文句は云えない。そんな事に冒険者を使うなどもっての外だろう。
「貴方、私にこんな事をして只で済むと思っていますの?」
伯爵令嬢ことクアルソ嬢は足を折りたたむ正座というギルド長考案の座り方をさせられつつもギルド長を睨みつけていた。
庶民の持つ貴族のイメージそのままに縦ロールにした金髪を持ち、碧眼を勝気そうに釣り上げたドレス姿のお嬢様が床に座らせられているというのも中々にシュールである。
仮にも伯爵家の御令嬢にこれだけの真似をしている時点で我々冒険者ギルドの立場は相当ヤバくなるだろう。
しかしギルド長は鼻を鳴らすとクアルソ嬢の頭をペシンと叩くのだった。
この人はそうなのだ。
この世の全て、森羅万象を自分の天秤によって裁量して決めてしまう。
相手の方に非があるならば、ギルド長は貴族だろうと聖帝陛下であろうと躊躇いなく喧嘩を売る。それも真正面から正々堂々とだ。
「舐めンな。只で済ますに決まってンだろ。俺を誰だと思っていやがる?」
聖帝陛下にも平気で喧嘩を売るような人が伯爵家に尻込みするはずがなく、逆に侮蔑の視線をクアルソ嬢へ向ける始末である。
勿論、誰に対しても横柄な態度を取るギルド長を快く思わない貴族や知識人、宗教家は多い。
何よりこの国の国家元首である聖帝陛下さえもギルド長を嫌っているらしい。
こうなると不敬罪で逮捕、下手すれば討伐されても可笑しくはないのだけど、今のところそのような動きは見受けられない。
理由としては、まず世界各国に点在する冒険者ギルド同士の横の繋がりが挙げられる。
そもそも冒険者ギルドは冒険者達が権力に利用されないようある程度の権利が認められており、どのような権力者であろうと自由に我々を使うことは許されない。
その上、権利を確保するための自衛手段としてギルド同士の結び付きが相当に強い。つまり、仮に我ら冒険者ギルド・スチューデリア支部が攻撃を受けたならば近在の街にあるギルドから救援がすぐに駆けつけて共に戦ってくれる。如何に軍隊と云えども屈強な冒険者達を相手取って戦っては少なくない犠牲が出ることは間違いないだろう。だから余程の事がない限り軍隊を動かす事態にはならない。
次にギルド長が領主クラスの貴族や数多くの店を持つ豪商に並ぶほどの税金を国に納めている事実も攻撃の手を鈍らせているに違いない。
ギルド長は剛胆であるが馬鹿ではないし商才もある。渡すべき相手には相応のお金を融通するだけの知恵もある。
誰が相手でも媚びることは絶対にしないけど、便宜を図ってくれる人物には鼻が効く狡猾さも持ち合わせているからこそギルド長なんて大役が務まるのだろう。
そして最後に、クアルソ嬢の屈強な護衛をものの数十秒で、しかも素手で殲滅した事からも分かる通り、ギルド長自身の戦闘能力の高さこそが相手を怯ませる最大の防御策なのである。
ギルド長もかつては冒険者であり、現役時代に残した伝説の数々は引退から早十数年を数える現在でも冒険者達の間で語り草となっている。
やれオークやゴブリンの中隊を一人で倒すどころか一睨みで追い返しただの、やれ魔界の王子を関節技で首を折って仕留めただの、やれ鉄より硬いドラゴンの鱗を歯で毟り取っただの、おおよそ英雄譚に書かれないような伝説ばかり残している。と云うか、何故ドラゴンの鱗を歯で毟らにゃならないのかシチュエーションが想像できない。
本当に人間かと問い詰めたくなるような強さを誇るギルド長に正面切って喧嘩を売れば聖帝陛下であっても只では済まない。だから誰もギルド長に攻撃なんてできないのだ。
「俺は冒険者どもをテメェの餓鬼のように思ってンだ。そんな可愛い餓鬼共を縛り首やギロチンにかけられるような真似ェさせると思ってンのか? ああ?」
そう、何より人一倍配下の冒険者達を大切にしているギルド長を慕い愛する者達が権力者からの無体を見過ごす訳がないのだ。
「では、どのようにすれば宜しいのですか? 若い娘に鞭を打ち、蝋を垂らし、その悲鳴を聞くのが何よりの楽しみという変態に嫁げとおっしゃるの?」
「嫁げよ。お前さんの家は伯爵なんて名ばかりの貧乏貴族だろ? お相手の侯爵様はお前、変態嗜好に目を瞑れば領民に慕われる名君で大層な金持ちだそうじゃねぇか。今まで育ててくれた両親に僅かでも感謝してンなら鞭打ちの十発や二十発くれぇ我慢しねぇな」
目尻に涙の粒を浮かべても必死に泣くまいとしながら訴えるクアルソ嬢に対してギルド長の態度は冷淡である。
「貴族、王族の娘の使い道なンざ政略結婚以外に無ェだろ。貧乏貴族とはいえ今まで領民の血税でアハハ、オホホと何不自由なく生きてきたンだ。それをお前、相手が変態だから結婚したくねぇって筋が通らねぇだろがよ」
ギルド長が王侯貴族から嫌われるもう一つの理由として、王は民にために死ね。貴族は民のために働け、と公言して憚らないところがある。
物語では望まぬ結婚を強いられる貴族の娘というのは確かに悲劇だろう。特に愛する者と引き離される悲恋の描写があれば民衆には受ける。
けど、これは現実であり、相手はギルド長である。
「最初は純潔を奪われるわ、拷問紛いのプレイを強いられるわで苦労するだろうがな。確かあの侯爵のボンボンは正室との間に嫡子はいねぇはずだ。だったら頑張って男ォ産めや。跡取りを産ンだとなりゃ待遇だってナンボか違ってくンだろ」
と、このようにシビアだ。
「ギ、ギルド長殿! それではあまりにも惨い。確かに有力な貴族、他国の実力者と誼みを結ぶ為の結婚は姫君の義務ではあります! しかし、地獄の苦しみを受けると分かっているところへ嫁がなければならぬお嬢様の心痛を少しは察して下さらぬか?」
抗議の声を挙げたのは、クアルソ嬢の後ろに控えていた伯爵家の執事長って人だった。
白髪をオールバックにして、鼻髭をダンディに蓄えた、なんと云うか、如何にも執事で御座いといった風貌の人である。
「爺さん、惨いと云うがな。アンタのお嬢様を助けるために首を斬られる羽目になる冒険者はどうなンだよ? まさか貴族のためなら冒険者はいくら死ンでも結構ってぇそういう了見かい?」
「そ、それは……」
云い淀む執事のお爺さんをギルド長は冷めた目で見る。
「後ろ手にお縄が回らない策があるってンなら話を聞くけどよ。代案も無しに口を開くモンじゃねぇぜ」
「あ、あのぅ……」
次第に重たくなっていく空気に耐え切れなくなった僕が控えめに手を挙げると、ギルド長は何故か驚いた表情を見せた。
「クーア君。いつからここにいたンだ? いや、今はもう昼過ぎだ。重役出勤というにも遅すぎる時間だろ」
「朝からいましたからね! て云うか、朝、ギルド長を起こしてあげたのも朝ご飯を作ってあげたのも僕ですからね!」
「あー……今朝のスクランブルエッグ、俺が作ったにしては半熟でやたら出来が良いと思って食ったけど、クーア君が作ってくれていたのか。そういや、カリカリに焼いたベーコンも美味かったなぁ」
どれだけ僕の存在感は薄いんだ?
しかも、あーた、僕も一緒に朝ご飯食べたよね?
今日のギルドの予定についても綿密にミーティングしたよね?
そもそもクアルソ嬢がいきなり現れた時、君も来いって同席させたよね?
虐めか? 虐めはカッコ悪いんだぞ! 泣いちゃうぞ。コンチクショウ!
「ああ、なんだ。いい大人が泣くモンじゃないぜ? ほれ、このマフィン、美味いぞ。食べるか?」
さっきまで食べてましたよ!
しかも、クアルソ嬢のお土産じゃないですか、ソレ!
って、違う、違う。そうじゃない。
「おほん! そうじゃなくて要はクアルソ様が幸せな結婚生活を送れれば問題無いんですよね?」
僕の言葉に三人は揃って眉を顰める。
「クーア君。幸せな結婚って云うが、どうすンだ? 変態に嫁いで幸せになれると思うか? それとも変態の嗜好に合うよう鞭を打たれることに喜びを感じるまで特訓でもさせようってのか? 話を聞く限りあの変態は嫌がる娘に鞭を打つのが良いンであって、順応させたところで変態が二人になるだけで侯爵のボンボンは喜ばンだろ」
あまり変態、変態と連呼しないで下さい。
ほら、クアルソ嬢がまた涙目になってるじゃないですか。
「いや、ですから侯爵様の方の性癖を矯正できないのかなぁって」
「無理だろ」
僕の案はギルド長によって一刀両断にされてしまった。
「あのボンボンのサディスティックぶりは筋金入りだ。むしろ普段、善政を敷いているからこその反動とも云えるだろうよ。それにかの侯爵様を貴族専用の秘密クラブに誘って変態嗜好を植えつけたのは何を隠そう正室のババァだって専らの噂だぜ」
ギルド長、いやさ冒険者ギルドには副ギルド長の僕ですら把握していない子飼いの隠密集団がいるらしい。彼らは世界各国の民衆、貴族、研究機関、大使館、王宮などに潜り込んで情報をギルドへ送り続けているそうだ。
これは冒険者ギルドに寄せられた依頼を鵜呑みにしてそのまま引き受けると、後に禍根となって襲いかかってくることがあるかららしい。
どこそこの貴族を殺した犯人を始末して欲しいと頼まれて、実際倒してみればそちらの方が仇を探している側で、依頼者の方が犯人であったということなど珍しくないそうな。
だから疑わしい依頼があった場合は隠密を使って仕事の裏を取るようにしているとか。
つまり件の侯爵の性癖云々というのは既に調べがついた確かな情報だということだ。
「兎に角、この話はおしまいだ。冒険者ギルドは見合いの妨害なンて仕事は引き受けねぇ」
ギルド長は護衛騎士達に気付を嗅がせて蘇生させると、クアルソ嬢と執事長共々冒険者ギルドから蹴り出した。
「ああ、この世に神の御加護があるなんて嘘っぱちだったのね! 私は不幸な星のもとに生まれた哀しき無力な乙女なのだわ!」
「クーア君、塩ォ……」
芝居がかった身振り手振りを交えながら帰っていくクアルソ嬢を見送りながらギルド長は玄関前に塩を撒く。
やがてクアルソ嬢を乗せた馬車が見えなくなると、ギルド長はズボンのポケットに手を突っ込んで歩き始めた。
「さてと、ちと遅いランチと洒落込むか。クーア君はどうする? 来るってンなら毎朝、飯作ってくれてる礼に奢ってやるぞ」
あ……こういう所があるから僕はこの人を憎めないんだよなぁ。
勿論、お供しますよ。
僕はギルド長の大きな歩幅に四苦八苦しながら横に並んだ。
その時、僕は知らなかったんだ。
ついていった先でとんでもない話を聞くことになるなんてね。
そして、ギルド職員であるはずの僕が冒険をする事になるとは予想すらしていなかったんだ。
この先、僕に何が待ち構えているのか。
それはまた次回の講釈にて。
そう呟いてギルド長はテーブルの上に資料を放り投げた。
「何が気に入らないとおっしゃるんですの?」
テーブルを挟んで対面に座る伯爵家のご令嬢が唇を尖らせて資料とギルド長を交互に見やる。
「あのな、ここは冒険者ギルドだぞ、冒険者ギルド」
ギルド長は皺が寄った眉間を指で揉みほぐしながら上目遣いで目の前の少女を睨む。
いや、それはもう上目遣いなどと生易しいものではなく、凄みのある三白眼と云えよう。
「それくらい世事に疎い私だって存じておりますわ。だからこうして依頼を持ってきたのではありませんか」
一軍を率いる将ですら数秒で目をそらすギルド長の眼光に怯むことなく平然と答えるこのお嬢様は将来大物になるだけの器を持っているに違いない。
「するてぇと何か? お前さんの判断じゃ、このご依頼は冒険者ギルドに持っていくべきだとそう思ったってぇ訳かい?」
ギルド長の目が細くなり口角がつり上がってくる。
やばい。
僕の脳内でけたたましいまでの警報が鳴り響いた。
この無理矢理に作った笑顔はギルド長が怒りを堪えている兆候である。
「そう通りですわ。私のピンチに駆けつける希望の勇者を早急に用意できるのはここだけですもの」
「ピンチなぁ……ところで話は変わるがお前さん、俺が今、何を考えてるか分かるか?」
出たよ。このセリフが出るということは、完全にギルド長が頭に来ている証拠だ。
そんなギルド長の様子に微塵も気づくことなく、伯爵令嬢は挑むようにギルド長の瞳を見据えて云った。云ってしまった。
「そうですわね……私を救う勇者をピックアップしているってところかしら? 外れていて?」
大外れだよ! 的外れだよ! 問題外だよ!
見てよ。見てご覧なさいよ。ギルド長のこめかみに浮かんだ別個の生き物のように脈動する青筋を。
「それでいつ我が勇者を派遣してくれるのかしら? 私としては明日でも待ちきれないくらいですわ」
あ、ギルド長のこめかみから何かを引きちぎるような音がした。
「貴族の見合いをぶち壊すのに冒険者を使えるかぁ!」
ああ、お茶請けのマフィン、美味しいなぁ。
流石は伯爵家が持ってきたお土産なだけあって、高級感を感じるよ。
「ご乱心! ギルド長殿、ご乱心!」
「クーア殿? クーア殿! お茶など啜ってないでギルド長を止めて下され!」
あーあー、聞こえなーい。
僕も元宮廷治療術師。死なない限りはどんな怪我でも治してあげるから頑張って。
伯爵家の護衛騎士達が無手によって殲滅される音を聞き流しながら、僕は折角のマフィンとお茶に埃が被らないよう魔力のヴェールでテーブルを覆った。
ここは聖帝陛下の統治のもとに繁栄する国家、聖都スチューデリア。
僕はその名の通り世界中を旅する冒険者達を支援する組織、冒険者ギルド・スチューデリア支部において副ギルド長という役目を務めている。
冒険者ギルドのコンセプトは、後世を担う若者達に旅を通じて世界の広さ、大きさ、様々な国の文化の違い、問題などを肌で知ってもらい、それを糧に大きく成長して欲しいというものだ。
世界を股にかける冒険者達のほぼ九割は冒険者ギルドに所属している。ギルドは特に加入を強要していないけど、入った方が何かと便利だからだ。
まずは何といっても情報だろう。
冒険者ギルドに籍を置けばその土地々々に跋扈するモンスターや盗賊団などの情報を格安で買うことができるし、初めて訪れた街であれば一度に限り周辺地図を無料で手に入れられるのだ。過去の冒険者達が十数年をかけ実測によって作製した精密な地図は、それだけに結構値が張るからこれは嬉しい特典だろう。
そして路銀を得るための仕事もギルドの方で周旋している。
仕事の内容は、日雇いの人足から始まり、要人警護、モンスター退治、盗賊討伐、変わったのでは好事家に自分達が体験した冒険を物語にして聞かせるというのもある。
当然ながら仕事を仲介するにあたって報酬に応じたバックマージンを貰っているけど、それこそが冒険者ギルドの収入源の一つなのだから仕方ないね。
冒険者達はその力量、達成した依頼の質や数に応じてAからFまでの六段階でランク付けがされている。
ギルドに持ち込まれる依頼の方も難易度によってランクが分かれており、冒険者達は自分のランクと依頼内容を吟味してギルドに申請、許可が降りれば仕事にありつけるってシステムなんだ。
そうそうギルドの収入源と云えば、訓練場も忘れてはいけないね。
これは一線を退いた元冒険者達を教官とした訓練施設で、未熟な者や新しいスキルを獲得したい者達から指南料を受け取って訓練を施している。
かく云う僕も防御魔法と治療魔法の講師として訓練場で教鞭を振るうこともあるんだよ。
と、このように冒険者達へ提供する情報の収集、仕事の斡旋、宝石の原石の如き若手達の育成が冒険者ギルドの主な仕事なんだ。
分かって貰えたところで、話を冒頭に戻そうと思う。
伯爵令嬢の護衛達が応接間のあちこちで呻き声を上げながら床に転がっている中、ギルド長が憤然として腕を組んでいる。
まあ、当然だとは思う。
貴族のお見合いを潰すなんて暴挙を犯せばお縄になるのは当然だし、最悪首を刎ねられても文句は云えない。そんな事に冒険者を使うなどもっての外だろう。
「貴方、私にこんな事をして只で済むと思っていますの?」
伯爵令嬢ことクアルソ嬢は足を折りたたむ正座というギルド長考案の座り方をさせられつつもギルド長を睨みつけていた。
庶民の持つ貴族のイメージそのままに縦ロールにした金髪を持ち、碧眼を勝気そうに釣り上げたドレス姿のお嬢様が床に座らせられているというのも中々にシュールである。
仮にも伯爵家の御令嬢にこれだけの真似をしている時点で我々冒険者ギルドの立場は相当ヤバくなるだろう。
しかしギルド長は鼻を鳴らすとクアルソ嬢の頭をペシンと叩くのだった。
この人はそうなのだ。
この世の全て、森羅万象を自分の天秤によって裁量して決めてしまう。
相手の方に非があるならば、ギルド長は貴族だろうと聖帝陛下であろうと躊躇いなく喧嘩を売る。それも真正面から正々堂々とだ。
「舐めンな。只で済ますに決まってンだろ。俺を誰だと思っていやがる?」
聖帝陛下にも平気で喧嘩を売るような人が伯爵家に尻込みするはずがなく、逆に侮蔑の視線をクアルソ嬢へ向ける始末である。
勿論、誰に対しても横柄な態度を取るギルド長を快く思わない貴族や知識人、宗教家は多い。
何よりこの国の国家元首である聖帝陛下さえもギルド長を嫌っているらしい。
こうなると不敬罪で逮捕、下手すれば討伐されても可笑しくはないのだけど、今のところそのような動きは見受けられない。
理由としては、まず世界各国に点在する冒険者ギルド同士の横の繋がりが挙げられる。
そもそも冒険者ギルドは冒険者達が権力に利用されないようある程度の権利が認められており、どのような権力者であろうと自由に我々を使うことは許されない。
その上、権利を確保するための自衛手段としてギルド同士の結び付きが相当に強い。つまり、仮に我ら冒険者ギルド・スチューデリア支部が攻撃を受けたならば近在の街にあるギルドから救援がすぐに駆けつけて共に戦ってくれる。如何に軍隊と云えども屈強な冒険者達を相手取って戦っては少なくない犠牲が出ることは間違いないだろう。だから余程の事がない限り軍隊を動かす事態にはならない。
次にギルド長が領主クラスの貴族や数多くの店を持つ豪商に並ぶほどの税金を国に納めている事実も攻撃の手を鈍らせているに違いない。
ギルド長は剛胆であるが馬鹿ではないし商才もある。渡すべき相手には相応のお金を融通するだけの知恵もある。
誰が相手でも媚びることは絶対にしないけど、便宜を図ってくれる人物には鼻が効く狡猾さも持ち合わせているからこそギルド長なんて大役が務まるのだろう。
そして最後に、クアルソ嬢の屈強な護衛をものの数十秒で、しかも素手で殲滅した事からも分かる通り、ギルド長自身の戦闘能力の高さこそが相手を怯ませる最大の防御策なのである。
ギルド長もかつては冒険者であり、現役時代に残した伝説の数々は引退から早十数年を数える現在でも冒険者達の間で語り草となっている。
やれオークやゴブリンの中隊を一人で倒すどころか一睨みで追い返しただの、やれ魔界の王子を関節技で首を折って仕留めただの、やれ鉄より硬いドラゴンの鱗を歯で毟り取っただの、おおよそ英雄譚に書かれないような伝説ばかり残している。と云うか、何故ドラゴンの鱗を歯で毟らにゃならないのかシチュエーションが想像できない。
本当に人間かと問い詰めたくなるような強さを誇るギルド長に正面切って喧嘩を売れば聖帝陛下であっても只では済まない。だから誰もギルド長に攻撃なんてできないのだ。
「俺は冒険者どもをテメェの餓鬼のように思ってンだ。そんな可愛い餓鬼共を縛り首やギロチンにかけられるような真似ェさせると思ってンのか? ああ?」
そう、何より人一倍配下の冒険者達を大切にしているギルド長を慕い愛する者達が権力者からの無体を見過ごす訳がないのだ。
「では、どのようにすれば宜しいのですか? 若い娘に鞭を打ち、蝋を垂らし、その悲鳴を聞くのが何よりの楽しみという変態に嫁げとおっしゃるの?」
「嫁げよ。お前さんの家は伯爵なんて名ばかりの貧乏貴族だろ? お相手の侯爵様はお前、変態嗜好に目を瞑れば領民に慕われる名君で大層な金持ちだそうじゃねぇか。今まで育ててくれた両親に僅かでも感謝してンなら鞭打ちの十発や二十発くれぇ我慢しねぇな」
目尻に涙の粒を浮かべても必死に泣くまいとしながら訴えるクアルソ嬢に対してギルド長の態度は冷淡である。
「貴族、王族の娘の使い道なンざ政略結婚以外に無ェだろ。貧乏貴族とはいえ今まで領民の血税でアハハ、オホホと何不自由なく生きてきたンだ。それをお前、相手が変態だから結婚したくねぇって筋が通らねぇだろがよ」
ギルド長が王侯貴族から嫌われるもう一つの理由として、王は民にために死ね。貴族は民のために働け、と公言して憚らないところがある。
物語では望まぬ結婚を強いられる貴族の娘というのは確かに悲劇だろう。特に愛する者と引き離される悲恋の描写があれば民衆には受ける。
けど、これは現実であり、相手はギルド長である。
「最初は純潔を奪われるわ、拷問紛いのプレイを強いられるわで苦労するだろうがな。確かあの侯爵のボンボンは正室との間に嫡子はいねぇはずだ。だったら頑張って男ォ産めや。跡取りを産ンだとなりゃ待遇だってナンボか違ってくンだろ」
と、このようにシビアだ。
「ギ、ギルド長殿! それではあまりにも惨い。確かに有力な貴族、他国の実力者と誼みを結ぶ為の結婚は姫君の義務ではあります! しかし、地獄の苦しみを受けると分かっているところへ嫁がなければならぬお嬢様の心痛を少しは察して下さらぬか?」
抗議の声を挙げたのは、クアルソ嬢の後ろに控えていた伯爵家の執事長って人だった。
白髪をオールバックにして、鼻髭をダンディに蓄えた、なんと云うか、如何にも執事で御座いといった風貌の人である。
「爺さん、惨いと云うがな。アンタのお嬢様を助けるために首を斬られる羽目になる冒険者はどうなンだよ? まさか貴族のためなら冒険者はいくら死ンでも結構ってぇそういう了見かい?」
「そ、それは……」
云い淀む執事のお爺さんをギルド長は冷めた目で見る。
「後ろ手にお縄が回らない策があるってンなら話を聞くけどよ。代案も無しに口を開くモンじゃねぇぜ」
「あ、あのぅ……」
次第に重たくなっていく空気に耐え切れなくなった僕が控えめに手を挙げると、ギルド長は何故か驚いた表情を見せた。
「クーア君。いつからここにいたンだ? いや、今はもう昼過ぎだ。重役出勤というにも遅すぎる時間だろ」
「朝からいましたからね! て云うか、朝、ギルド長を起こしてあげたのも朝ご飯を作ってあげたのも僕ですからね!」
「あー……今朝のスクランブルエッグ、俺が作ったにしては半熟でやたら出来が良いと思って食ったけど、クーア君が作ってくれていたのか。そういや、カリカリに焼いたベーコンも美味かったなぁ」
どれだけ僕の存在感は薄いんだ?
しかも、あーた、僕も一緒に朝ご飯食べたよね?
今日のギルドの予定についても綿密にミーティングしたよね?
そもそもクアルソ嬢がいきなり現れた時、君も来いって同席させたよね?
虐めか? 虐めはカッコ悪いんだぞ! 泣いちゃうぞ。コンチクショウ!
「ああ、なんだ。いい大人が泣くモンじゃないぜ? ほれ、このマフィン、美味いぞ。食べるか?」
さっきまで食べてましたよ!
しかも、クアルソ嬢のお土産じゃないですか、ソレ!
って、違う、違う。そうじゃない。
「おほん! そうじゃなくて要はクアルソ様が幸せな結婚生活を送れれば問題無いんですよね?」
僕の言葉に三人は揃って眉を顰める。
「クーア君。幸せな結婚って云うが、どうすンだ? 変態に嫁いで幸せになれると思うか? それとも変態の嗜好に合うよう鞭を打たれることに喜びを感じるまで特訓でもさせようってのか? 話を聞く限りあの変態は嫌がる娘に鞭を打つのが良いンであって、順応させたところで変態が二人になるだけで侯爵のボンボンは喜ばンだろ」
あまり変態、変態と連呼しないで下さい。
ほら、クアルソ嬢がまた涙目になってるじゃないですか。
「いや、ですから侯爵様の方の性癖を矯正できないのかなぁって」
「無理だろ」
僕の案はギルド長によって一刀両断にされてしまった。
「あのボンボンのサディスティックぶりは筋金入りだ。むしろ普段、善政を敷いているからこその反動とも云えるだろうよ。それにかの侯爵様を貴族専用の秘密クラブに誘って変態嗜好を植えつけたのは何を隠そう正室のババァだって専らの噂だぜ」
ギルド長、いやさ冒険者ギルドには副ギルド長の僕ですら把握していない子飼いの隠密集団がいるらしい。彼らは世界各国の民衆、貴族、研究機関、大使館、王宮などに潜り込んで情報をギルドへ送り続けているそうだ。
これは冒険者ギルドに寄せられた依頼を鵜呑みにしてそのまま引き受けると、後に禍根となって襲いかかってくることがあるかららしい。
どこそこの貴族を殺した犯人を始末して欲しいと頼まれて、実際倒してみればそちらの方が仇を探している側で、依頼者の方が犯人であったということなど珍しくないそうな。
だから疑わしい依頼があった場合は隠密を使って仕事の裏を取るようにしているとか。
つまり件の侯爵の性癖云々というのは既に調べがついた確かな情報だということだ。
「兎に角、この話はおしまいだ。冒険者ギルドは見合いの妨害なンて仕事は引き受けねぇ」
ギルド長は護衛騎士達に気付を嗅がせて蘇生させると、クアルソ嬢と執事長共々冒険者ギルドから蹴り出した。
「ああ、この世に神の御加護があるなんて嘘っぱちだったのね! 私は不幸な星のもとに生まれた哀しき無力な乙女なのだわ!」
「クーア君、塩ォ……」
芝居がかった身振り手振りを交えながら帰っていくクアルソ嬢を見送りながらギルド長は玄関前に塩を撒く。
やがてクアルソ嬢を乗せた馬車が見えなくなると、ギルド長はズボンのポケットに手を突っ込んで歩き始めた。
「さてと、ちと遅いランチと洒落込むか。クーア君はどうする? 来るってンなら毎朝、飯作ってくれてる礼に奢ってやるぞ」
あ……こういう所があるから僕はこの人を憎めないんだよなぁ。
勿論、お供しますよ。
僕はギルド長の大きな歩幅に四苦八苦しながら横に並んだ。
その時、僕は知らなかったんだ。
ついていった先でとんでもない話を聞くことになるなんてね。
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それはまた次回の講釈にて。
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