32 / 41
副ギルド長の場合、再び
第捌章 神殿騎士、修行に出される
しおりを挟む
「ふぅん、“りんね”“てんどう”“にんげん”ね。異端審問会が魔女に連れられてぞろぞろと何の用かと思えば、そういう事かい」
あの後、落ち着きを取り戻したミーケ将軍と一緒に再び管理室に戻ってきた。
早速、本来の目的である事件の鍵となるであろう三つの言葉を伝えると、クーア先生が睨んだ通りミーケ将軍には心当たりがあるようだ。
神殿騎士達はこの場にはいない。あまりに未熟過ぎる彼らにミーケ将軍は“こんなレベルの雑魚をルクスの配下と名乗らせるの業腹だ”とご実家である道場に送り込んでしまったんだよ。
この道場こそ将軍の強さを生み出している最大の秘密なんだ。
相手を殺す事なく無手により制圧及び捕縛をする制圧術、剣術を中心に槍や弓、十手に杖等々幅広く扱う武器術だけではなく馬術や魔術も教えている。この魔術道場のマニュアルはクーアさんをして“突出した天才を育てるのには向かないけど一定レベルの魔法遣いを一度に大勢育てる事が出来る”と評価しているそうだ。しかも上位精霊から受ける試練に合格するまでサポートしてくれると云うのだから恐れ入るというものだね。
他にも読み書き、算術を子供に教えているそうで、料理や裁縫、果てには歌のレッスンまでしていると聞いた時は、何を目指している道場なのかと呆れたものだよ。
料理教室は兎も角、武術道場の教育は鬼も泣いて夜逃げすると噂されるほどの厳しさなので、私のような手加減と甘さがごっちゃになっている師につくよりは余程善い修行にはなるだろう。いや、ただ厳しく指導するだけなら私も出来るんだ。ただ優しく導き、打ち込み稽古で手加減をするとなると途端に私の指導はただ甘いものになるだけだとクーア先生に指摘されたばかりだ。
弟子の力量を見極めて限界ギリギリのところで打ち合うのが師というものだとゲヒルンさんにも云われてしまったし、難しいところだね。
まあ、神殿騎士達が魔法遣いのクーア先生の小刀術に翻弄されている時点で私の指導力はお察しというものかも知れない。
ただクーア先生は謙遜しているけど、先生の小刀術は牙狼月光剣の流れを汲んだ正統な技術であるんだ。クーア先生のお父様、オアーゼ公爵は牙狼月光剣の達人でもあり、なんと大将軍閣下から直接指導を受けた直弟子で私の兄弟子に当たる。
オアーゼ公爵は魔法の才を幼い頃から開花させて恐るべき速さで魔法を修得していたクーア先生にこう諭したという。
「魔法遣いといえども男子であるならば武芸の一つは身に着けるべきである」
人が持つには強大な魔力を誇ると云っても何らかの原因で魔法を封じられたり、或いは魔力切れを起こすまで消耗させられるかも知れない。その時に攻撃手段が無ければ命を失う事になる。何より魔法使いが武芸を嗜んで何が悪い。
この言葉に深い感銘を受けたクーア先生は非力な魔法遣いでも扱えると小刀術を学ぶ事となるのだけど、これは先生の為にオアーゼ公爵が牙狼月光剣を元に編み出したというのだから驚きだ。
事実、クーア先生に取って切り札になったようで、魔法遣い=接近戦が出来ないという思い込みをも利用して多くの戦士を屠ってきたらしい。
神殿騎士達もクーア先生を魔法遣いなら接近戦に持ち込めば勝てると思い込んだ結果、不用意に間合いを詰めては小刀の柄で急所を打たれて悶絶する事となったんだ。
牙狼月光剣の奥義に『月食』というものがある。
この兵法は小刀で防御・牽制をして大剣で斬るものだと多くの人に思われているけど、実は小刀の扱いこそが牙狼月光剣のキモであり極意なんだ。
月食とは太陽の光をこの世界そのものの影に月が隠される事で起こる現象だ。
牙狼月光剣は大剣を太陽、小刀を月に見立てた兵法で、本来の『月食』は大剣の動きで如何に小刀の動きを隠すかが腕の見せ所である。大剣の攻撃を防ぐ、乃至躱す事に成功した敵に生じた僅かな心の隙を突いて小刀で敵を穿つ事に極意があるんだ。
そしてクーア先生の場合は魔法遣いには接近戦が出来ないという思い込みこそが必殺の小刀を隠す。
ミーケ将軍の前で行われた模擬戦で、クーア先生一人に全滅させられた神殿騎士達を見て目を覆いたくなったものさ。目を覚ましたばかりのクーア先生に神殿騎士達との模擬戦を命じた時は五十年放って迎えに来なかった意趣返しかと思ったけど、先生は文句を云わずに危なげないどころか無傷で彼らを打ち倒してしまったのだから恐れ入ったよ。
「僕、もうちょっと背が伸びたら本格的に牙狼月光剣を学ぶつもりなんだ。剣を握って良し、魔法を遣って良しのオールラウンダーって実は憧れていたんだよね」
そう云って照れ臭そうに笑うクーア先生をミーケ将軍とゲヒルンさんは褒めそやしているけど、魔法遣いの小刀術に全滅させられて落ち込んでいる神殿騎士にも少しは気を使って頂けないものだろうか?
「バータレ。魔法遣いに剣で負けるような雑魚騎士なんぞ労えるか。このままじゃコイツらは今回の事件を追うだけで死ぬぞ? そうならない為にも俺が預かってやろうよ。なぁに、剣の振り方を見るに剣術の基本は出来てンだ。一月もあれば一端にしてやるよ」
そう云われて彼らを預けたのが一時間前の事。
神殿騎士達は過酷な修行を想像してか、地獄へと引き摺られていく亡者のように泣き叫びながら将軍の部下達に送られていったんだ。
私は彼らを見送りながら無意識に合掌していた。
いや、ミーケ将軍の道場って本当に厳しいんだよ。
何せ無限に近いスタミナを誇るユウお姉さんが一日の修行を終えた時にはへばっていたんだからね。しかも化け物染みて強かったのはミーケ将軍だけじゃない。
弟子達の中でも熟練者になると魔界の将校達の攻撃が温く感じる程に強いんだ。
この道場には四つの段階があり、入門したばかりの門下生は白虎衆の呼ばれている。これは十五歳未満或いは入門から三年未満の者で構成されており、基礎となる走り込みや素振り稽古をこなしつつ、基本となる技の稽古を徹底的に仕込まれるんだ。
そして入門三年以上かつ十五歳以上になった者が試験を受けて合格すると次の段階である朱雀衆に進む事を許される。
朱雀衆は真剣による稽古を許され、奥義を除く応用技の稽古や希望すれば槍、弓、馬術、鎖鎌、棒術など武器術の受講も出来るんだ。
門下生の大半はこの朱雀衆であり、修行期間も一番長いだろうね。
それだけ覚えるべき内容が多いのだけど、仲間も多く、何より上達を実感できる時期でもあるので、修行の中では最も面白い段階であると云えるかもね。
朱雀衆の中でも奥義を得るに相応しいと師に見込まれた者達は青龍衆に入り、奥義修得の修行を許されるようになる。
また青龍衆は奥義を別とすれば全ての技術の熟達者であるので、将軍の許可があれば師範代として白虎衆や朱雀衆の指導を任される事もあるという。師範代となった者はその段階で指南料を免除され、逆に師範代としての給金が支払われるようになる。
そして奥義を含めた全ての技を修得したと認められた門下生は玄武衆を名乗る事を許されるのだけど、当然ながら修行が終わった訳では無い。
奥義修得はゴールではなく、むしろそこからが新たな修行の始まりであるとしており、各々が師から離れて独自の修行をしていく事になる。
基礎を初めから練り直す者。工夫を凝らし新たなる技を開発する者。ミーケ将軍を想定敵とし彼の打倒を志す者。それそれが高みを目指して邁進していくんだ。
ちなみに玄武衆の中でも一番若くて力量が劣るとされている者でも魔王と戦えば軽く一捻りするだけの実力があるのだからオソロシイ。
私なんて『不死鳥』の力で身体能力を上げて一撃を受けた途端に悶絶して分析どころじゃなかったからね。
「敢えて私の一撃を受けようとする姿勢に腹が立った。反省も後悔も無い」
骨が分厚く下手に殴れば拳の方がいかれる額を殴っておいて平然とそうコメントするんだからオソロシイ。
しかも魔王との最終決戦でユウお姉さんを守る為に魔王の最強奥義を盾となって受けたのだけど、何と云うか玄武衆の一撃の方が痛くて怖かったのだから笑えない。
そんな玄武衆に鍛えられるんだから神殿騎士達も強くはなれると思う。
ただ徹底的に可愛がられた結果、トラウマにならなければ良いけどね
私としてはそこだけが心配だよ。
「ま、玄武衆も厳しいようで教え方は上手いし強くなれるんじゃないかな。脱走者だって実際にはいないし、大丈夫だと思うよ」
『限界ギリギリまで追い込むのがまた上手いんだ。そして、もうすぐ殻が破れそうだと見極めたら極限まで追い込んで限界を突破させるんだ。俺もミーケ将軍の道場で扱かれたクチだけど、何回限界の壁をぶち抜いた事か』
「何が壁だよ。俺に云わせればテメェの場合は周りに怒られて本気を出しただけのように見えたぜ」
『これは手厳しい』
彼らは笑っているけど、心配は心配なんだよ。
何しろ玄武衆は面白いと思えば滅茶苦茶な修行を提案するからなァ。
適性があれば何でも叩き込むのが流儀と云わんばかりに詰め込んでくるんだ。
私なんてパーティーの盾役なのに、気が付けば敵の攻撃を惹き付けつつ、それを躱しながら敵の背後を取って仕留めるという忍びの技を仕込まれていたしね。
あれから五十年、当時の玄武衆はいないだろうけど、悪い予感がするのは何故なんだろうなァ……
そして悪い予感というのは当たるもので、一ヶ月の修行を終えた神殿騎士達は私の想像を遙かに超えた成長を遂げる事になる…しかも悪い意味で。
苦情を云おうにも、“騎士として育てろと注文をつけなかったお主が悪い”と老いてますますな玄武衆に笑ってあしらわれる事になるとは思わなかったんだ。
あの後、落ち着きを取り戻したミーケ将軍と一緒に再び管理室に戻ってきた。
早速、本来の目的である事件の鍵となるであろう三つの言葉を伝えると、クーア先生が睨んだ通りミーケ将軍には心当たりがあるようだ。
神殿騎士達はこの場にはいない。あまりに未熟過ぎる彼らにミーケ将軍は“こんなレベルの雑魚をルクスの配下と名乗らせるの業腹だ”とご実家である道場に送り込んでしまったんだよ。
この道場こそ将軍の強さを生み出している最大の秘密なんだ。
相手を殺す事なく無手により制圧及び捕縛をする制圧術、剣術を中心に槍や弓、十手に杖等々幅広く扱う武器術だけではなく馬術や魔術も教えている。この魔術道場のマニュアルはクーアさんをして“突出した天才を育てるのには向かないけど一定レベルの魔法遣いを一度に大勢育てる事が出来る”と評価しているそうだ。しかも上位精霊から受ける試練に合格するまでサポートしてくれると云うのだから恐れ入るというものだね。
他にも読み書き、算術を子供に教えているそうで、料理や裁縫、果てには歌のレッスンまでしていると聞いた時は、何を目指している道場なのかと呆れたものだよ。
料理教室は兎も角、武術道場の教育は鬼も泣いて夜逃げすると噂されるほどの厳しさなので、私のような手加減と甘さがごっちゃになっている師につくよりは余程善い修行にはなるだろう。いや、ただ厳しく指導するだけなら私も出来るんだ。ただ優しく導き、打ち込み稽古で手加減をするとなると途端に私の指導はただ甘いものになるだけだとクーア先生に指摘されたばかりだ。
弟子の力量を見極めて限界ギリギリのところで打ち合うのが師というものだとゲヒルンさんにも云われてしまったし、難しいところだね。
まあ、神殿騎士達が魔法遣いのクーア先生の小刀術に翻弄されている時点で私の指導力はお察しというものかも知れない。
ただクーア先生は謙遜しているけど、先生の小刀術は牙狼月光剣の流れを汲んだ正統な技術であるんだ。クーア先生のお父様、オアーゼ公爵は牙狼月光剣の達人でもあり、なんと大将軍閣下から直接指導を受けた直弟子で私の兄弟子に当たる。
オアーゼ公爵は魔法の才を幼い頃から開花させて恐るべき速さで魔法を修得していたクーア先生にこう諭したという。
「魔法遣いといえども男子であるならば武芸の一つは身に着けるべきである」
人が持つには強大な魔力を誇ると云っても何らかの原因で魔法を封じられたり、或いは魔力切れを起こすまで消耗させられるかも知れない。その時に攻撃手段が無ければ命を失う事になる。何より魔法使いが武芸を嗜んで何が悪い。
この言葉に深い感銘を受けたクーア先生は非力な魔法遣いでも扱えると小刀術を学ぶ事となるのだけど、これは先生の為にオアーゼ公爵が牙狼月光剣を元に編み出したというのだから驚きだ。
事実、クーア先生に取って切り札になったようで、魔法遣い=接近戦が出来ないという思い込みをも利用して多くの戦士を屠ってきたらしい。
神殿騎士達もクーア先生を魔法遣いなら接近戦に持ち込めば勝てると思い込んだ結果、不用意に間合いを詰めては小刀の柄で急所を打たれて悶絶する事となったんだ。
牙狼月光剣の奥義に『月食』というものがある。
この兵法は小刀で防御・牽制をして大剣で斬るものだと多くの人に思われているけど、実は小刀の扱いこそが牙狼月光剣のキモであり極意なんだ。
月食とは太陽の光をこの世界そのものの影に月が隠される事で起こる現象だ。
牙狼月光剣は大剣を太陽、小刀を月に見立てた兵法で、本来の『月食』は大剣の動きで如何に小刀の動きを隠すかが腕の見せ所である。大剣の攻撃を防ぐ、乃至躱す事に成功した敵に生じた僅かな心の隙を突いて小刀で敵を穿つ事に極意があるんだ。
そしてクーア先生の場合は魔法遣いには接近戦が出来ないという思い込みこそが必殺の小刀を隠す。
ミーケ将軍の前で行われた模擬戦で、クーア先生一人に全滅させられた神殿騎士達を見て目を覆いたくなったものさ。目を覚ましたばかりのクーア先生に神殿騎士達との模擬戦を命じた時は五十年放って迎えに来なかった意趣返しかと思ったけど、先生は文句を云わずに危なげないどころか無傷で彼らを打ち倒してしまったのだから恐れ入ったよ。
「僕、もうちょっと背が伸びたら本格的に牙狼月光剣を学ぶつもりなんだ。剣を握って良し、魔法を遣って良しのオールラウンダーって実は憧れていたんだよね」
そう云って照れ臭そうに笑うクーア先生をミーケ将軍とゲヒルンさんは褒めそやしているけど、魔法遣いの小刀術に全滅させられて落ち込んでいる神殿騎士にも少しは気を使って頂けないものだろうか?
「バータレ。魔法遣いに剣で負けるような雑魚騎士なんぞ労えるか。このままじゃコイツらは今回の事件を追うだけで死ぬぞ? そうならない為にも俺が預かってやろうよ。なぁに、剣の振り方を見るに剣術の基本は出来てンだ。一月もあれば一端にしてやるよ」
そう云われて彼らを預けたのが一時間前の事。
神殿騎士達は過酷な修行を想像してか、地獄へと引き摺られていく亡者のように泣き叫びながら将軍の部下達に送られていったんだ。
私は彼らを見送りながら無意識に合掌していた。
いや、ミーケ将軍の道場って本当に厳しいんだよ。
何せ無限に近いスタミナを誇るユウお姉さんが一日の修行を終えた時にはへばっていたんだからね。しかも化け物染みて強かったのはミーケ将軍だけじゃない。
弟子達の中でも熟練者になると魔界の将校達の攻撃が温く感じる程に強いんだ。
この道場には四つの段階があり、入門したばかりの門下生は白虎衆の呼ばれている。これは十五歳未満或いは入門から三年未満の者で構成されており、基礎となる走り込みや素振り稽古をこなしつつ、基本となる技の稽古を徹底的に仕込まれるんだ。
そして入門三年以上かつ十五歳以上になった者が試験を受けて合格すると次の段階である朱雀衆に進む事を許される。
朱雀衆は真剣による稽古を許され、奥義を除く応用技の稽古や希望すれば槍、弓、馬術、鎖鎌、棒術など武器術の受講も出来るんだ。
門下生の大半はこの朱雀衆であり、修行期間も一番長いだろうね。
それだけ覚えるべき内容が多いのだけど、仲間も多く、何より上達を実感できる時期でもあるので、修行の中では最も面白い段階であると云えるかもね。
朱雀衆の中でも奥義を得るに相応しいと師に見込まれた者達は青龍衆に入り、奥義修得の修行を許されるようになる。
また青龍衆は奥義を別とすれば全ての技術の熟達者であるので、将軍の許可があれば師範代として白虎衆や朱雀衆の指導を任される事もあるという。師範代となった者はその段階で指南料を免除され、逆に師範代としての給金が支払われるようになる。
そして奥義を含めた全ての技を修得したと認められた門下生は玄武衆を名乗る事を許されるのだけど、当然ながら修行が終わった訳では無い。
奥義修得はゴールではなく、むしろそこからが新たな修行の始まりであるとしており、各々が師から離れて独自の修行をしていく事になる。
基礎を初めから練り直す者。工夫を凝らし新たなる技を開発する者。ミーケ将軍を想定敵とし彼の打倒を志す者。それそれが高みを目指して邁進していくんだ。
ちなみに玄武衆の中でも一番若くて力量が劣るとされている者でも魔王と戦えば軽く一捻りするだけの実力があるのだからオソロシイ。
私なんて『不死鳥』の力で身体能力を上げて一撃を受けた途端に悶絶して分析どころじゃなかったからね。
「敢えて私の一撃を受けようとする姿勢に腹が立った。反省も後悔も無い」
骨が分厚く下手に殴れば拳の方がいかれる額を殴っておいて平然とそうコメントするんだからオソロシイ。
しかも魔王との最終決戦でユウお姉さんを守る為に魔王の最強奥義を盾となって受けたのだけど、何と云うか玄武衆の一撃の方が痛くて怖かったのだから笑えない。
そんな玄武衆に鍛えられるんだから神殿騎士達も強くはなれると思う。
ただ徹底的に可愛がられた結果、トラウマにならなければ良いけどね
私としてはそこだけが心配だよ。
「ま、玄武衆も厳しいようで教え方は上手いし強くなれるんじゃないかな。脱走者だって実際にはいないし、大丈夫だと思うよ」
『限界ギリギリまで追い込むのがまた上手いんだ。そして、もうすぐ殻が破れそうだと見極めたら極限まで追い込んで限界を突破させるんだ。俺もミーケ将軍の道場で扱かれたクチだけど、何回限界の壁をぶち抜いた事か』
「何が壁だよ。俺に云わせればテメェの場合は周りに怒られて本気を出しただけのように見えたぜ」
『これは手厳しい』
彼らは笑っているけど、心配は心配なんだよ。
何しろ玄武衆は面白いと思えば滅茶苦茶な修行を提案するからなァ。
適性があれば何でも叩き込むのが流儀と云わんばかりに詰め込んでくるんだ。
私なんてパーティーの盾役なのに、気が付けば敵の攻撃を惹き付けつつ、それを躱しながら敵の背後を取って仕留めるという忍びの技を仕込まれていたしね。
あれから五十年、当時の玄武衆はいないだろうけど、悪い予感がするのは何故なんだろうなァ……
そして悪い予感というのは当たるもので、一ヶ月の修行を終えた神殿騎士達は私の想像を遙かに超えた成長を遂げる事になる…しかも悪い意味で。
苦情を云おうにも、“騎士として育てろと注文をつけなかったお主が悪い”と老いてますますな玄武衆に笑ってあしらわれる事になるとは思わなかったんだ。
0
あなたにおすすめの小説
莫大な遺産を相続したら異世界でスローライフを楽しむ
翔千
ファンタジー
小鳥遊 紅音は働く28歳OL
十八歳の時に両親を事故で亡くし、引き取り手がなく天涯孤独に。
高校卒業後就職し、仕事に明け暮れる日々。
そんなある日、1人の弁護士が紅音の元を訪ねて来た。
要件は、紅音の母方の曾祖叔父が亡くなったと言うものだった。
曾祖叔父は若い頃に単身外国で会社を立ち上げ生涯独身を貫いき、血縁者が紅音だけだと知り、曾祖叔父の遺産を一部を紅音に譲ると遺言を遺した。
その額なんと、50億円。
あまりの巨額に驚くがなんとか手続きを終える事が出来たが、巨額な遺産の事を何処からか聞きつけ、金の無心に来る輩が次々に紅音の元を訪れ、疲弊した紅音は、誰も知らない土地で一人暮らしをすると決意。
だが、引っ越しを決めた直後、突然、異世界に召喚されてしまった。
だが、持っていた遺産はそのまま異世界でも使えたので、遺産を使って、スローライフを楽しむことにしました。
ウルティメイド〜クビになった『元』究極メイドは、素材があれば何でも作れるクラフト系スキルで魔物の大陸を生き抜いていく〜
西館亮太
ファンタジー
「お前は今日でクビだ。」
主に突然そう宣告された究極と称されるメイドの『アミナ』。
生まれてこの方、主人の世話しかした事の無かった彼女はクビを言い渡された後、自分を陥れたメイドに魔物の巣食う島に転送されてしまう。
その大陸は、街の外に出れば魔物に襲われる危険性を伴う非常に危険な土地だった。
だがそのまま死ぬ訳にもいかず、彼女は己の必要のないスキルだと思い込んでいた、素材と知識とイメージがあればどんな物でも作れる『究極創造』を使い、『物作り屋』として冒険者や街の住人相手に商売することにした。
しかし街に到着するなり、外の世界を知らない彼女のコミュ障が露呈したり、意外と知らない事もあったりと、悩みながら自身は究極なんかでは無かったと自覚する。
そこから始まる、依頼者達とのいざこざや、素材収集の中で起こる騒動に彼女は次々と巻き込まれていく事になる。
これは、彼女が本当の究極になるまでのお話である。
※かなり冗長です。
説明口調も多いのでそれを加味した上でお楽しみ頂けたら幸いです
元万能技術者の冒険者にして釣り人な日々
於田縫紀
ファンタジー
俺は神殿技術者だったが過労死して転生。そして冒険者となった日の夜に記憶や技能・魔法を取り戻した。しかしかつて持っていた能力や魔法の他に、釣りに必要だと神が判断した様々な技能や魔法がおまけされていた。
今世はこれらを利用してのんびり釣り、最小限に仕事をしようと思ったのだが……
(タイトルは異なりますが、カクヨム投稿中の『何でも作れる元神殿技術者の冒険者にして釣り人な日々』と同じお話です。更新が追いつくまでは毎日更新、追いついた後は隔日更新となります)
チート魔力を持ったせいで世界を束ねる管理者に目を付けられたが、巻き込まれたくないので金稼ぎします
桜桃-サクランボ-
ファンタジー
金さえあれば人生はどうにでもなる――そう信じている二十八歳の守銭奴、鏡谷知里。
交通事故で意識が朦朧とする中、目を覚ますと見知らぬ異世界で、目の前には見たことがないドラゴン。
そして、なぜか“チート魔力持ち”になっていた。
その莫大な魔力は、もともと自分が持っていた付与魔力に、封印されていた冒険者の魔力が重なってしまった結果らしい。
だが、それが不幸の始まりだった。
世界を恐怖で支配する集団――「世界を束ねる管理者」。
彼らに目をつけられてしまった知里は、巻き込まれたくないのに狙われる羽目になってしまう。
さらに、人を疑うことを知らない純粋すぎる二人と行動を共にすることになり、望んでもいないのに“冒険者”として動くことになってしまった。
金を稼ごうとすれば邪魔が入り、巻き込まれたくないのに事件に引きずられる。
面倒ごとから逃げたい守銭奴と、世界の頂点に立つ管理者。
本来交わらないはずの二つが、過去の冒険者の残した魔力によってぶつかり合う、異世界ファンタジー。
※小説家になろう・カクヨムでも更新中
※表紙:あニキさん
※ ※がタイトルにある話に挿絵アリ
※月、水、金、更新予定!
異世界召喚は7回目…って、いい加減にしろよ‼︎
アノマロカリス
ファンタジー
『おぉ、勇者達よ! 良くぞ来てくれた‼︎』
見知らぬ城の中、床には魔法陣、王族の服装は中世の時代を感じさせる衣装…
俺こと不知火 朔夜(しらぬい さくや)は、クラスメートの4人と一緒に異世界に召喚された。
突然の事で戸惑うクラスメート達…
だが俺はうんざりした顔で深い溜息を吐いた。
「またか…」
王族達の話では、定番中の定番の魔王が世界を支配しているから倒してくれという話だ。
そして儀式により…イケメンの正義は【勇者】を、ギャルっぽい美紅は【聖戦士】を、クラス委員長の真美は【聖女】を、秀才の悠斗は【賢者】になった。
そして俺はというと…?
『おぉ、伝承にある通り…異世界から召喚された者には、素晴らしい加護が与えられた!』
「それよりも不知火君は何を得たんだ?」
イケメンの正義は爽やかな笑顔で聞いてきた。
俺は儀式の札を見ると、【アンノウン】と書かれていた。
その場にいた者達は、俺の加護を見ると…
「正体不明で気味が悪い」とか、「得体が知れない」とか好き放題言っていた。
『ふむ…朔夜殿だけ分からずじまいか。だが、異世界から来た者達よ、期待しておるぞ!』
王族も前の4人が上位のジョブを引いた物だから、俺の事はどうでも良いらしい。
まぁ、その方が気楽で良い。
そして正義は、リーダーとして皆に言った。
「魔王を倒して元の世界に帰ろう!」
正義の言葉に3人は頷いたが、俺は正義に言った。
「魔王を倒すという志は立派だが、まずは魔物と戦って勝利をしてから言え!」
「僕達には素晴らしい加護の恩恵があるから…」
「肩書きがどんなに立派でも、魔物を前にしたら思う様には動けないんだ。現実を知れ!」
「何よ偉そうに…アンタだったら出来るというの?」
「良いか…殴り合いの喧嘩もしたことがない奴が、いきなり魔物に勝てる訳が無いんだ。お前達は、ゲーム感覚でいるみたいだが現実はそんなに甘く無いぞ!」
「ずいぶん知ったような口を聞くね。不知火は経験があるのか?」
「あるよ、異世界召喚は今回が初めてでは無いからな…」
俺は右手を上げると、頭上から光に照らされて黄金の甲冑と二振の聖剣を手にした。
「その…鎧と剣は?」
「これが証拠だ。この鎧と剣は、今迄の世界を救った報酬として貰った。」
「今迄って…今回が2回目では無いのか?」
「今回で7回目だ!マジでいい加減にして欲しいよ。」
俺はうんざりしながら答えた。
そう…今回の異世界召喚で7回目なのだ。
いずれの世界も救って来た。
そして今度の世界は…?
6月22日
HOTランキングで6位になりました!
6月23日
HOTランキングで4位になりました!
昼過ぎには3位になっていました.°(ಗдಗ。)°.
6月24日
HOTランキングで2位になりました!
皆様、応援有り難う御座いますm(_ _)m
異世界に召喚されて2日目です。クズは要らないと追放され、激レアユニークスキルで危機回避したはずが、トラブル続きで泣きそうです。
もにゃむ
ファンタジー
父親に教師になる人生を強要され、父親が死ぬまで自分の望む人生を歩むことはできないと、人生を諦め淡々とした日々を送る清泉だったが、夏休みの補習中、突然4人の生徒と共に光に包まれ異世界に召喚されてしまう。
異世界召喚という非現実的な状況に、教師1年目の清泉が状況把握に努めていると、ステータスを確認したい召喚者と1人の生徒の間にトラブル発生。
ステータスではなく職業だけを鑑定することで落ち着くも、清泉と女子生徒の1人は職業がクズだから要らないと、王都追放を言い渡されてしまう。
残留組の2人の生徒にはクズな職業だと蔑みの目を向けられ、
同時に追放を言い渡された女子生徒は問題行動が多すぎて退学させるための監視対象で、
追加で追放を言い渡された男子生徒は言動に違和感ありまくりで、
清泉は1人で自由に生きるために、問題児たちからさっさと離れたいと思うのだが……
月が出ない空の下で ~異世界移住準備施設・寮暮らし~
於田縫紀
ファンタジー
交通事故で死んだ筈の私は、地球ではない星の一室にいた。ここは地球からみて異世界で、人口不足の為に他世界から移民を求めており、私も移民として転移させられたらしい。ただし移民だから言葉は通じないし生活習慣も違う。だから正式居住までの1年間、寮がある施設で勉強することになるようだ。
突然何もかも変わって、身体まで若返ってしまった私の、異世界居住の為の日々が始まった。
チートなし、戦闘なし、魔物無し、貴族や国王なし、恋愛たぶんなしというお話です。魔法だけはありますが、ファンタジーという意味では微妙な存在だったりします。基本的に異世界での日常生活+α程度のお話です。
なお、カクヨムでも同じタイトルで投稿しています。
クラス転移したら種族が変化してたけどとりあえず生きる
アルカス
ファンタジー
16歳になったばかりの高校2年の主人公。
でも、主人公は昔から体が弱くなかなか学校に通えなかった。
でも学校には、行っても俺に声をかけてくれる親友はいた。
その日も体の調子が良くなり、親友と久しぶりの学校に行きHRが終わり先生が出ていったとき、クラスが眩しい光に包まれた。
そして僕は一人、違う場所に飛ばされいた。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる