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夫に想いを寄せる女性
ロザリンドが夫のライアスに差し入れをする女の存在を知ったのは、もう数か月も前のことだった。
所用で夫の職場を訪れた際、偶然その現場を目にしてしまい、あまりのショックで呆然としてしまったほどだ。
「ライアス隊長~! これ差し入れです、食べてください!」
まるで小動物のような小柄な少女が夫に可愛らしい小袋を渡していた。
頬を赤く染め、恋する乙女の眼差しを送る彼女。それを見たロザリンドは全身の血が抜けるような感覚に襲われた。
軍人である夫は若くして高い地位について出世頭なので言い寄る女がいてもおかしくない。
そう自分に言い聞かせるも、夫が次にした行為は更にロザリンドを驚かせるものであった。
「お~、ありがとう。これガキのころの好物でさ、たまーに食べたくなるんだわ」
なんと夫は女から貰った物をその場で食べ始めたのだ。
女が作ったであろうそれを、何の躊躇もなく口にする夫にロザリンドは驚愕した。
「旦那様……! 何をしてらっしゃるの!!」
慌ててロザリンドは夫の元に駆け寄った。
ここにいるはずのない妻の登場に、ライアスもその女も目を見開く。
「ロザリンド!? どうしてここに?」
「本日は師団長様と会う用事がございましたの。それよりも旦那様、こちらの方は?」
こちらの方、とロザリンドに聞かれて肩をビクッとさせる女。
その姿は怯えた小動物のようだが、目はしっかりとロザリンドを見据えていた。
「あ、ああ……この子は事務方の新人で、俺と同じ村出身なんだ。名前はアニーっていう」
「アニーです、初めまして」
アニーという少女はまだ子供と言えるような外見だが、目はしっかり女の目をしていた。
愛する男を慕うドロリとした欲を孕んだ茶色の瞳は、敵対する女に向けて挑戦的な眼差しを送っている。
どう考えてもこの少女は夫に気がある。
だからこそ危ない。そう思ったロザリンドは先手を打つことにした。
「まあ、可愛らしいお嬢さんですこと。……ところで、先ほどわたくしの夫に何か差し入れていたようですが?」
ロザリンドは他者を圧倒する声音でアニーにそう問いかける。
生粋の貴族令嬢である彼女の声には有無を言わさぬ力がある。
「えっ……こ、これはその、アタシやライアス隊長の故郷のお菓子です……!」
「まあ、そうなのですか? 夫にお気遣いいただきありがとうございます。こちらはお礼ですので是非お受け取り下さいまし」
ロザリンドは専属のメイドに目配せし、アニーにお礼として銀貨を一袋分渡した。
「えっ? え? いや、こんなに貰うわけには……」
「お気持ちですので、気にしないでくださいませ。それではわたくしは約束がありますのでこれで失礼します。旦那様、お仕事頑張ってくださいましね?」
優美な所作でお辞儀をし、ロザリンドはその場から離れた。
横目で周囲を見ると、何の騒ぎかと他の軍人たちが野次馬と化しているのが分かる。
大勢の人間が見ている場で、好意を寄せる男の妻にここまでされたらもう同じことは繰り返さないだろう。
そう考えたロザリンドだが、それが甘かったと後に知ることとなる……。
所用で夫の職場を訪れた際、偶然その現場を目にしてしまい、あまりのショックで呆然としてしまったほどだ。
「ライアス隊長~! これ差し入れです、食べてください!」
まるで小動物のような小柄な少女が夫に可愛らしい小袋を渡していた。
頬を赤く染め、恋する乙女の眼差しを送る彼女。それを見たロザリンドは全身の血が抜けるような感覚に襲われた。
軍人である夫は若くして高い地位について出世頭なので言い寄る女がいてもおかしくない。
そう自分に言い聞かせるも、夫が次にした行為は更にロザリンドを驚かせるものであった。
「お~、ありがとう。これガキのころの好物でさ、たまーに食べたくなるんだわ」
なんと夫は女から貰った物をその場で食べ始めたのだ。
女が作ったであろうそれを、何の躊躇もなく口にする夫にロザリンドは驚愕した。
「旦那様……! 何をしてらっしゃるの!!」
慌ててロザリンドは夫の元に駆け寄った。
ここにいるはずのない妻の登場に、ライアスもその女も目を見開く。
「ロザリンド!? どうしてここに?」
「本日は師団長様と会う用事がございましたの。それよりも旦那様、こちらの方は?」
こちらの方、とロザリンドに聞かれて肩をビクッとさせる女。
その姿は怯えた小動物のようだが、目はしっかりとロザリンドを見据えていた。
「あ、ああ……この子は事務方の新人で、俺と同じ村出身なんだ。名前はアニーっていう」
「アニーです、初めまして」
アニーという少女はまだ子供と言えるような外見だが、目はしっかり女の目をしていた。
愛する男を慕うドロリとした欲を孕んだ茶色の瞳は、敵対する女に向けて挑戦的な眼差しを送っている。
どう考えてもこの少女は夫に気がある。
だからこそ危ない。そう思ったロザリンドは先手を打つことにした。
「まあ、可愛らしいお嬢さんですこと。……ところで、先ほどわたくしの夫に何か差し入れていたようですが?」
ロザリンドは他者を圧倒する声音でアニーにそう問いかける。
生粋の貴族令嬢である彼女の声には有無を言わさぬ力がある。
「えっ……こ、これはその、アタシやライアス隊長の故郷のお菓子です……!」
「まあ、そうなのですか? 夫にお気遣いいただきありがとうございます。こちらはお礼ですので是非お受け取り下さいまし」
ロザリンドは専属のメイドに目配せし、アニーにお礼として銀貨を一袋分渡した。
「えっ? え? いや、こんなに貰うわけには……」
「お気持ちですので、気にしないでくださいませ。それではわたくしは約束がありますのでこれで失礼します。旦那様、お仕事頑張ってくださいましね?」
優美な所作でお辞儀をし、ロザリンドはその場から離れた。
横目で周囲を見ると、何の騒ぎかと他の軍人たちが野次馬と化しているのが分かる。
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そう考えたロザリンドだが、それが甘かったと後に知ることとなる……。
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