だから言ったでしょう?

わらびもち

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両親からの叱責

「ライアス……! このっ……馬鹿息子が!!」

「あれほどロザリンドさんを大切にしなさいと言ったのに……! アニーなんかと不倫するなんて!! 母さんは情けないよ!!」

 ロザリンドと離婚したライアスは生まれ故郷である村に戻っていた。

 アニーと不倫したという噂はここにも広まっており、村に足を踏み入れた時から住民の蔑んだ視線が突き刺さる。

 いたたまれなくなったライアスは生家へと急いだが、そこでも不倫と離婚の話を聞いていた両親によって詰られた。   

「あんな綺麗で気立てのいいお嬢様がお嫁さんになってくれたのに……。よりにもよって不倫だと? お前はいつから嫁さん裏切って女遊びが出来るほど偉くなったんだ! 隊長になれたからって調子に乗ってるんじゃないか!?」

「違う! 俺は不倫なんかしていない! アニーとはそういうんじゃない!」

「じゃあどうして離婚されたんだ? それにアニーがお前に手作りの料理に毒を入れて殺そうとしたらしいじゃないか? 何の関係もないならなんでアニーの料理をお前が食べるんだよ! そういう関係としか思えないじゃないか!!」

 ライアスの両親は息子がどういった経緯で毒を摂取したか知らない。
 知っているのはただ“アニーの手料理に毒が入っていた”とそれだけ。

 そこから想像されたのは、息子がアニーの住む部屋に通い、そこで口にした手料理から毒を摂取したのではないかというもの。

「田舎者には到底手にすることが出来ないような幸運を掴んでおきながら……こんなつまらないことで全部ぶち壊しやがって!! あんなどこにでもいるような地味な女アニーに手ぇ出してロザリンドさんを悲しませやがって!」

「はあぁ!? だから誤解だって言ってるだろう? アニーと俺はそんな関係じゃないって!」

「じゃあなんだ? アニーが無理矢理お前の口に毒入りの食べ物でも突っ込んだって言うのか? 軍人のお前が非力な小娘にいいようにされたと?」

「いや……そうじゃないけど……。と、とにかく俺はアニーみたいな地味な女に手を出していない!! ただロザリンドに嫉妬してほしかっただけだ!」

「嫉妬してほしかっただと? お前……それはどういうことだ!」

 ライアスが馬鹿正直に“妻に嫉妬してほしくて他の女の手料理を食べた”ことを話すと、両親の顔は怒りの形相から軽蔑の表情へと変わる。

「はあぁ~……。お前、ロザリンドさんにそんなくだらないことをしたのか? 離婚も毒も自業自得だろう? この馬鹿が!」

「ライアス……アンタ、お嫁さんの愛を試すような行動して恥ずかしくないのかい? 母さんは恥ずかしいし情けないよ! そんなことでロザリンドさんに辛い想いさせて……ああ、もうっ……!」

 二人共ひどく落胆し、母親にいたっては涙を流してすすり泣いている。

「もう終わったことだし仕方ないだろう!? だいたい、息子が毒殺されかけたってのに心配の一つもないのかよ!」

「自業自得だろうが! くっだらないことするからそんな目に合うんだよ! だいたいなんでノコノコとこの村に戻ってきたんだ!? 村中でお前は最低な不倫男だと噂になってるんだぞ? 村一番の大出世を果たしたと言われたお前が、今や村一番の恥さらしだ! 恥ずかしくて俺や母さんも外に出れないんだからな!」

「そんな噂が!? ……俺だってこんな田舎に帰ってきたくなかったけど、他に行く場所もないからしょうがないだろう……!」

 ライアスがなぜ故郷である村に戻ってきたか。
 それにはある理由があった。事の発端はロザリンドに離別を告げられた日まで遡る。

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