だから言ったでしょう?

わらびもち

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能天気なライアス

「違う! 贈り物なんかしなくてもロザリンドは俺を愛していた! それに俺はアニーとは何の関係もないんだ!」

「はあ? お前達不倫していたんじゃないのか?」

「あんな地味な女を相手にするわけないでしょう!? 俺があいつを相手にするとロザリンドが嫉妬してくれたから……だから相手していただけで……」

「はああ? お前それ、どういうことだ?」

 ライアスが村長に事のあらましを話す。

 話が進むにつれ、村長の顔がみるみるうちに嫌悪に歪んでいく。

「…………お前、控えめに言っても最低だな。そりゃ嫁さんに愛想尽かされて当然だ。こんな男が旦那だったなんて、嫁さんも哀れな……」

「で、でも! 俺のしたことはひどいかもしれませんけど……もとはといえばアニーが悪いんです! あいつが俺にちょっかいをかけなきゃこんなことには……」

「いや自業自得だろう? お前が誤解させるようなことしなけりゃアニーも毒殺なんて馬鹿な真似しなかったろうよ」

「それも違います! 菓子に毒を入れたのはアニーじゃなくて……」

 ライアスがロザリンドから聞いた毒殺事件の真相を話すと、村長は一瞬驚いた顔を見せ、すぐに真剣な表情に変えた。

「へえ……そんなことが……。なあ、ライアス、その話を他の誰かに聞かせたか?」

「は? いや、今初めて話しました」

「本当にか? 親父さんたちにも話してないか?」

「ああ、はい。話そうとしたら村長が来たので……」

「そうか……それはよかった。ライアス、その話はこの先決して誰にも口外しないほうがいい。

「は? でも、今のままじゃ俺はアニーみたいな地味な女と不倫した最低野郎って噂されたままじゃないですか!」

「お前が最低なのは今に始まったことじゃないだろう!? というか、そんな危ない話を簡単に喋ろうとするお前の神経が信じられねえよ! いいか、お前はもう貴族じゃなくて平民なんだ。お貴族様のやべえ情報を話せば簡単に首が飛ぶ立場なのが分かんねえのかよ!?」

「え? そんなにヤバい話ですか、これ?」

 能天気なライアスの態度に村長はため息をついた。
 こんな楽観的な思考でよく貴族をやれていたなと逆に感心してしまう。

「当たり前だろうが! 考えてみろ、アニーに濡れ衣を着せたってことは、そのお貴族様が自分の仕業だと知られたくないからだ。つまりはそのお貴族様の弱みも同然、それをお前がペラペラ喋ったら……どうなると思う?」

「え? あー……なるほど。それはヤバいですね」

 事の重大さを理解していないライアスの態度に村長は頭を抱えた。
 こいつはどこまで能天気なのかと。

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