貴方といると、お茶が不味い

わらびもち

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カサンドラの後悔⑥

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「エドワードの元婚約者がなんでこんな所のメイドやってるのよ?」 

 彼の婚約者は確か子爵家の令嬢だったはず。
 この女は随分と彼にベタ惚れのようだけど……彼はいつもアンタのこと『地味だ』と悪し様に罵っていたわよ?

「パティはね、。元婚約者以外とは結婚しないと頑なに縁談を拒否していたら家から追い出されてしまったんだよ。彼女は嫡女だったにも関わらずね。……結局パティの家は親類から養子をとったようだ。それで行くあてがなくなった彼女を私がメイドとして雇ったというわけさ」

 また涙を流し始めたメイドの代わりに夫が答えた。

「……貴族の義務を果たさないなら、追い出されても仕方ないじゃない」

「それ、君が言う? 婚約者の責務も果たさず、貴族令嬢にあるまじき奔放さで数々の男の間を渡り歩いた君が?」

「ふしだらな女扱いしないでちょうだい! 彼等とは別にそういう関係じゃないわ!!」

「誰が信じるのさ、それ。まあそれはともかくとして……パティはこんな目に合わなかったんだよ? 可哀想なパティ、愛する人の妻となり子爵夫人として優雅に暮らせただろうに……」

「わ……わたくしが全て悪いみたいに言わないで! 婚約者を大切にしないエドワードが悪いんじゃないの! そして彼女を追い出す子爵家が悪いのよ……!!」

 そうよ、わたくしだけのせいじゃない……!

 婚約者を大切にしない不誠実な男達や、娘を政略の駒としか見ない非情な親にも罪はあるわ……!

「……もしかして君さ、現実を見るのが怖いの?」

「は……? な、なにを言ってるのよ……?」

 全てを見透かすような鋭い瞳がわたくしを射抜く。
 その目には暴かれたくない部分を知られているような、何とも言えない居心地の悪さを感じてしまう。

 怖い。この目にこれ以上見られたくない……。

「君が、君の我儘でをだよ。君の家族、君の友人だった男達、そしてここにいるパティ。断言できる、彼等は君と関わらなければ不幸にはならなかった。確かに先ほど君が言ったように、君だけが悪いわけではない。だが、そもそもの原因は君だ。君が公爵家の名に相応しい淑女であったなら、そんなことにはならなかったんじゃないか?」

「ち、ちが……そんなはずない! だって、だって……」

 だって元のカサンドラは高慢で傲慢で……あのままだったらゲームの展開通りに王太子に断罪されるはず……。

 いいえ、待って……それは……本当にそうかしら?

 ここは確かに乙女ゲームの世界そっくりだけど……全部がそのままというわけではないわ。

 ヒロインのアイリスは既にネイサンと結婚していたし、そうなると他の攻略対象と出会うこともないわよね?
 
 レオナは……カサンドラと友人関係にすらなってないし。

 そもそも、元のカサンドラならばあの二人に固執することもなかった。
 
 甲斐甲斐しく王太子に尽くし、王妃教育に励んで……。
 そのまま……王太子妃になっていたかもしれない……。

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