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更なる嫌悪
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「だってそうではありませんか!? だいたいもう父上は亡くなったというのに、いつまでもこの邸に残るなんて図々しいでしょう!」
「お前……どの口がそれを言うんだ? そもそもイザベラ殿がこの邸から出て行かなかったのは、お前が彼女に弟の遺産を渡さなかったからだろう!」
「そ、それは……だって、ガーネット家の資産を他人でしかない義母上に渡すなんて……」
「他人ではない! イザベラ殿はエドワードの妻だ! この国の法律では妻にも遺産相続が認められているし、弟はきちんと遺言状にイザベラ殿へ遺産が渡るよう記載しておった。それに異を唱えたのは誰だ? お前だろう? 遺言状通りに遺産が配分されていれば、そもそもイザベラ殿はここに残らなかった。それを忘れたか?」
「いや……でも、それは……」
苛立つ公爵にエリオットは煮え切らない態度を取り続ける。
それがますます彼の怒りに火をつけた。
「くどい! お前がイザベラ殿の分であった遺産を奪ったせいで彼女はここに残らざるを得なかった。つまりはお前のせいだ! 元婚約者がイザベラ殿の存在を忌避したのなら、本来彼女が受け取るはずだった財産を渡せばよかっただけの話だぞ? そうすれば彼女は今頃海辺でのんびりと暮らしていただろうよ」
「そ、それは……そうですが、でも……」
「くどい! お前の婚約が破談になったのはイザベラ殿のせいではない! 分かったら二度とその話をするな!」
公爵の怒り様にセシリアは話の内容について詳しく聞くことが出来なかった。
会話の内容から亡くなった先代ガーネット侯爵の遺産相続の話ということは分かる。
義母に配分される分をエリオットが奪おうとしたことも。
(それが本当なら……最低じゃない、この人……)
夫となった男が初夜に花嫁を放置して他の女に会いに行くという非常識な言動だけでなく、更に他人の分の遺産を奪うという強欲さまで兼ね備えていた。最悪でしかない。
条件付きで婚姻を続けると言ったものの、すぐにでも離婚したくて仕方ない。
怒りを通り越して生理的嫌悪を感じている相手と夫婦でいなくてはならないなんて……とセシリアは思わず天を仰いだ。
「……あの、発言よろしいでしょうか?」
「おお、勿論だとも。すまなかったな、変な話を聞かせてしまって」
「いえ……。それで、エリオット様のお話を聞く限りですと未だキャサリン様に未練があるご様子。これでは条件を付けたところで早々に破られかねません。となると、婚姻を続けることは難しいかと」
本当は「生理的に無理。こんな奴と夫婦でいるなんて無理無理無理」と言ってしまいたい。だが、それは悪手だ。感情論で伝えたところで我慢を強いられるか、もしくはこちらが我儘だと言われかねない。
だからあくまで現実的に無理ですよ、止めときましょうと穏便に離婚を推奨する。
非常識なうえに金銭にがめつい男と仮でも夫婦でいたくない。
「うむ……セシリア嬢が不安に思うのも当然だな。では、こうしよう。万が一エリオットがあの小娘と何かしらの形で接触した場合は離婚とは別に罰を与える」
「え? 罰、とは……」
婚姻継続を諦めてくれるだけでいいのに、思わぬ方向に話が進みそうだ。
ごくり、と喉を鳴らし公爵の次の言葉を待っていると、彼はとんでもないことを言い出した。
「我がガーネット公爵家がエリオットと一切の縁を絶つ。現在行っている支援も止めるとしよう」
まさかそこまでするなんて……と絶句しているセシリアをよそにエリオットが「そんな! 伯父上!」と悲鳴のような声をあげた。
「お前……どの口がそれを言うんだ? そもそもイザベラ殿がこの邸から出て行かなかったのは、お前が彼女に弟の遺産を渡さなかったからだろう!」
「そ、それは……だって、ガーネット家の資産を他人でしかない義母上に渡すなんて……」
「他人ではない! イザベラ殿はエドワードの妻だ! この国の法律では妻にも遺産相続が認められているし、弟はきちんと遺言状にイザベラ殿へ遺産が渡るよう記載しておった。それに異を唱えたのは誰だ? お前だろう? 遺言状通りに遺産が配分されていれば、そもそもイザベラ殿はここに残らなかった。それを忘れたか?」
「いや……でも、それは……」
苛立つ公爵にエリオットは煮え切らない態度を取り続ける。
それがますます彼の怒りに火をつけた。
「くどい! お前がイザベラ殿の分であった遺産を奪ったせいで彼女はここに残らざるを得なかった。つまりはお前のせいだ! 元婚約者がイザベラ殿の存在を忌避したのなら、本来彼女が受け取るはずだった財産を渡せばよかっただけの話だぞ? そうすれば彼女は今頃海辺でのんびりと暮らしていただろうよ」
「そ、それは……そうですが、でも……」
「くどい! お前の婚約が破談になったのはイザベラ殿のせいではない! 分かったら二度とその話をするな!」
公爵の怒り様にセシリアは話の内容について詳しく聞くことが出来なかった。
会話の内容から亡くなった先代ガーネット侯爵の遺産相続の話ということは分かる。
義母に配分される分をエリオットが奪おうとしたことも。
(それが本当なら……最低じゃない、この人……)
夫となった男が初夜に花嫁を放置して他の女に会いに行くという非常識な言動だけでなく、更に他人の分の遺産を奪うという強欲さまで兼ね備えていた。最悪でしかない。
条件付きで婚姻を続けると言ったものの、すぐにでも離婚したくて仕方ない。
怒りを通り越して生理的嫌悪を感じている相手と夫婦でいなくてはならないなんて……とセシリアは思わず天を仰いだ。
「……あの、発言よろしいでしょうか?」
「おお、勿論だとも。すまなかったな、変な話を聞かせてしまって」
「いえ……。それで、エリオット様のお話を聞く限りですと未だキャサリン様に未練があるご様子。これでは条件を付けたところで早々に破られかねません。となると、婚姻を続けることは難しいかと」
本当は「生理的に無理。こんな奴と夫婦でいるなんて無理無理無理」と言ってしまいたい。だが、それは悪手だ。感情論で伝えたところで我慢を強いられるか、もしくはこちらが我儘だと言われかねない。
だからあくまで現実的に無理ですよ、止めときましょうと穏便に離婚を推奨する。
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「うむ……セシリア嬢が不安に思うのも当然だな。では、こうしよう。万が一エリオットがあの小娘と何かしらの形で接触した場合は離婚とは別に罰を与える」
「え? 罰、とは……」
婚姻継続を諦めてくれるだけでいいのに、思わぬ方向に話が進みそうだ。
ごくり、と喉を鳴らし公爵の次の言葉を待っていると、彼はとんでもないことを言い出した。
「我がガーネット公爵家がエリオットと一切の縁を絶つ。現在行っている支援も止めるとしよう」
まさかそこまでするなんて……と絶句しているセシリアをよそにエリオットが「そんな! 伯父上!」と悲鳴のような声をあげた。
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