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条件
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「……私は言ったよな? 配下の者達にきちんと戦の労をねぎらえと。言葉だけでは足りぬので十分な量の金を与えろと。お前はどちらもしていないよな?」
そこでダニエルは「そういえばそんなことを言われたような……」と叔父に言われたことを思い出す。
「騎士が戦に出るのは当然のことだろう? それが仕事で、給金だって支払ってやっているのにどうしてわざわざ余計な出費をせねばならない? そんなの無駄じゃないか」
「……無駄じゃないと説明したはずだが? たとえ仕事といえども命を懸けてくれた配下を十分ねぎらうのは長として大切なことだと。兄上……お前の父親はそういったことはしっかりしていたぞ? だから配下の者達から慕われていたんだ。それに比べてお前はどうだ? 配下の者から信用を失い、国を守る気概もなく、頭にあるのはあの平民娘のことばかり。そんな自分にオーガスタ辺境伯家の当主たる器があると本気で思うのか?」
子爵は先代の忘れ形見だからとダニエルを甘やかしてしまったことを後悔した。
今は未熟でもいつかは立派な当主になってくれたなら……と見守ってきた結果がこれだ。
王家の姫君にも無礼を働き、反省もしなければ態度を改めることもしない甥にいい加減愛想が尽きた。
「…………だったら叔父上は私にどうしろというんだ!? アニーと別れろというのか?」
「別れることが出来るのか? あれだけ周囲が咎めても拒み続けてきたくせに、今更あの平民娘と完全に縁を切れるとでも?」
「それは………………」
勢いで言ってしまったものの、アニーと縁を切るなど考えられない。
ダニエルが心を許したたった一人の女性がアニーなのだから。
だが、全てを捨ててでも添い遂げるという気概は持ち合わせていない。
人一倍気位の高いダニエルに当主の座も貴族の身分も捨てるという選択肢はないのだから。
しかし、現状のままでは確実に当主の座を失う。
今まで何だかんだと自分に甘かった叔父が今回ばかりは本気の目をしているからこそ分かる。このまま何も変わらなければ終わりだと。
「…………時間をくれたなら、出来ると思う……」
「ほう? 言ったな。ならば王女殿下が王都へお戻りになる日までが期限だ。それ以降もあの平民娘と関りがあるならばすぐにでも当主を罷免する手続きを行う。それと平民娘と縁切りしただけでは駄目だとは勿論分かっているな? 地の底まで下がった配下達の信頼を得るよう努力し、王女殿下に一切の失礼がないよう丁重に接することも条件だ」
「は? そこまでやるのか?」
「……言っておくがこれは当主というより貴族として最低限の常識だ。出来ないのであれば当主の座を下りてもらうまでだ」
有無を言わさぬ叔父の迫力に負け、ダニエルは渋々「分かったよ……」と頷く。
まるで叱られた子供のような、とても成人した当主とは思えぬほどの幼稚な態度をラティーシャ夫人は冷めた眼で眺めていた……。
そこでダニエルは「そういえばそんなことを言われたような……」と叔父に言われたことを思い出す。
「騎士が戦に出るのは当然のことだろう? それが仕事で、給金だって支払ってやっているのにどうしてわざわざ余計な出費をせねばならない? そんなの無駄じゃないか」
「……無駄じゃないと説明したはずだが? たとえ仕事といえども命を懸けてくれた配下を十分ねぎらうのは長として大切なことだと。兄上……お前の父親はそういったことはしっかりしていたぞ? だから配下の者達から慕われていたんだ。それに比べてお前はどうだ? 配下の者から信用を失い、国を守る気概もなく、頭にあるのはあの平民娘のことばかり。そんな自分にオーガスタ辺境伯家の当主たる器があると本気で思うのか?」
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今は未熟でもいつかは立派な当主になってくれたなら……と見守ってきた結果がこれだ。
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「…………だったら叔父上は私にどうしろというんだ!? アニーと別れろというのか?」
「別れることが出来るのか? あれだけ周囲が咎めても拒み続けてきたくせに、今更あの平民娘と完全に縁を切れるとでも?」
「それは………………」
勢いで言ってしまったものの、アニーと縁を切るなど考えられない。
ダニエルが心を許したたった一人の女性がアニーなのだから。
だが、全てを捨ててでも添い遂げるという気概は持ち合わせていない。
人一倍気位の高いダニエルに当主の座も貴族の身分も捨てるという選択肢はないのだから。
しかし、現状のままでは確実に当主の座を失う。
今まで何だかんだと自分に甘かった叔父が今回ばかりは本気の目をしているからこそ分かる。このまま何も変わらなければ終わりだと。
「…………時間をくれたなら、出来ると思う……」
「ほう? 言ったな。ならば王女殿下が王都へお戻りになる日までが期限だ。それ以降もあの平民娘と関りがあるならばすぐにでも当主を罷免する手続きを行う。それと平民娘と縁切りしただけでは駄目だとは勿論分かっているな? 地の底まで下がった配下達の信頼を得るよう努力し、王女殿下に一切の失礼がないよう丁重に接することも条件だ」
「は? そこまでやるのか?」
「……言っておくがこれは当主というより貴族として最低限の常識だ。出来ないのであれば当主の座を下りてもらうまでだ」
有無を言わさぬ叔父の迫力に負け、ダニエルは渋々「分かったよ……」と頷く。
まるで叱られた子供のような、とても成人した当主とは思えぬほどの幼稚な態度をラティーシャ夫人は冷めた眼で眺めていた……。
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