やりなおしジュリアーナ姫の復讐劇

わらびもち

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どうして

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「花嫁衣裳……? あら、これは驚きました。卿にはわたくし以外にがいらっしゃるのでしょう? なのに、わたくしに花嫁衣裳を贈るおつもりですか?」

「えっ……!? い、いや……ご冗談を! そんな相手などおりませんよ……」

 白を切るつもりだろうが目は思い切り泳いでいた。
 分かっていたけれどこの男は隠し事が下手だ。嘘を突き通す器も無いくせによくもまあアニーの子をジュリアーナが産んだことにするなんて大それた案を思いつくものだなと呆れてしまう。

「あら……邸の女主人の部屋を渡すほどの深い仲なのでしょう? いない、などと言ってはその方が悲しまれますよ?」

「な、なにをおっしゃいますやら……。あの部屋は誰も使っておりませんよ……?」

「そう? では、わたくしが好きなように改装して構いませんね?」

「っ!? い、いや……それは……その……」

 そこは嘘でも頷けばいいものを……。本当に頭が悪い。

 愛人の存在を上手く隠すことも出来ないほどの頭の悪さにつくづくうんざりする。
 そして、そんな頭の悪い男にまんまと嵌められた時戻り前の自分にもっとうんざりする。

 どうして、こんな男のつたない口車にのってしまったのだろう。
 どうして、こんな嘘の下手な男の嘘を全て鵜呑みにしてしまったのだろう。
 どうして、こんな器の小さい男に人生を狂わされたのだろう……。

 考えれば考えるほど虚しくなってくる。

「と、とにかく! そんな相手などおりません! 私の婚約者は貴女です。婚約者に花嫁衣裳を贈るというのは何もおかしくない、そうですよね!?」

 かなり強引に事を進めようとしてくるダニエルの眼前でわざとため息をつく。
 おかしいのはお前だよ、とでも言いたげな顔をするとダニエルはわずかに怯んだ。

「……おかしくはありませんが、物事には順序というものがあるでしょう? まずは問題を片付けてから次に進むものではなくて?」

 まあ、もう問題アニーは片付いているのだけど。
 他ならぬダニエルが信頼を寄せる乳母の手によって。

 そんなことは知らない……というか知らされていないダニエルは「うっ……」と言葉を詰まらせた。

「はは……問題とは何か分かりませんね。とにかくまずは花嫁衣裳に使う布地を選んでほしいのです。そうしないといつまで経っても結婚の日取りが決まりませんし……。ほ、ほら! 花嫁衣裳くらい用意してくれないと、とおっしゃったのは殿下ではありませんか?」

 それはそうだけど、本当に用意しようとするなんてこれっぽっちも思わなかった。
 時戻り前は既製品の花嫁衣装で式を挙げたし、何だかんだでアニー以外の女にそういうものを贈りたがらないように見えたのだが……。

(何を考えているかはさっぱり分からないけど、さっさと結婚してしまおうって魂胆かしら? まさかとは思うけど……まだアニーが産んだ子をわたくしが産んだようにしようという馬鹿な作戦を諦めていない? 有り得るわ……)

 もう、そのアニーも子供もいないのに。目の前の男はそのことを知らない。
 もし何らかの形で知ったらきっと絶望することだろう。 
 時戻り前のジュリアーナのように……。

 それでも少しも同情は出来ない。それは全部この男がやってきたことの結果なのだから。
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