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そんなつもりはなかった②
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「まずは新居を探索する。お前は管理人の注意を引け」
「はい? 探索って……何でですか? それに管理人って誰……?」
セレスタンに食事を運ぶ際、ジェーンは彼からいきなりそう命じられる。
意味が分からずキョトンとするジェーンにセレスタンは呆れたような顔を向けた。
「はあ……分からないなら教えてやろう。新しい邸を建設する際、持ち主に引き渡すまでの間そこを管理する者のことだ」
「へえ、そうなんですか。……ん? まさか、アタシがその管理人とやらの気を引く間に家探しをするつもりで……?」
「家探しなどと人聞きの悪い。いいか、私が再びフランチェスカの婚約者となれば、その新居は私のものとなる。自分の邸を探索することなど当然だ、何も悪くない。そうは思わないか?」
「ああ、はい……そうですね」
現時点では違うのだから悪いに決まっている。ジェーンはそんな言葉が飛び出そうになるのを必死にこらえた。
言ったところで無駄なのだ。この自分が一番正しいと思い込んでいるこの男が、他人の言葉に耳を貸すはずがない。
「それでその管理人の注意を引くということは……世間話でもしていればいいですか?」
「お前のつまらない話では長時間引き付けておくことなど無理だろう? それよりもっといい方法がある」
(はああ!? アタシの話がつまらないですって……!? アタシの話を嬉しそうに聞いていたのは何処のどいつよ!!)
誰とも言葉を交わすことのない日々を送るお前に優しく声をかけてあげたのは誰だと思っている。
そう怒鳴りつけてやりたくなったジェーンだが、ここで彼を怒らせては自分の目的が果たせないと思い我慢した。
あの頃のセレスタンはまだ素直で可愛げがあった。
それが今はどうだ。ジェーンを奴隷のように扱い、口を開けば嫌味ばかりの最低な男に成り下がってしまった。
いや、もしかするとこれが彼の本性なのかもしれない。
(性格は悪いし、浮気もするし……ほんっと最悪! こいつの長所なんて顔と身分だけじゃないの!!)
自分がけしかけたことだが、ジェーンは少しだけ王女に同情した。
こんな性根の腐った男と結婚しても幸せになれないだろうと。
「お前と私はフランチェスカの従者に扮し、新居に荷物を搬入しているよう偽装する。上等な馬車にでも乗って行けば王族の従者だと信じるだろう。そしてお前が馬車から荷物を運んでいる間に私は邸を探索する。だからなるべく時間をかけて荷物を運ぶんだぞ」
「え? 荷物を?」
「そうだ、なるべく運ぶ時間を稼げるような重い物がいい。それで中を改められても怪しまれない物……。そうだな、ワインがいい。ワインを数本箱に詰め、それを数箱用意しろ」
「ええ!? そんなにですか?」
「ああ、この金貨で上等な馬車を一台用意しろ。御者の口止め料にもこれを使え」
セレスタンはベッドの下から銀貨がずっしり詰まった袋を取り出し、ジェーンに手渡した。
「何ですかこのお金……。軟禁されているのに何でこんなに持っているんです?」
「は? これくらい普通に持っているものだろう? 部屋にあったのをそのまま持ってきただけだ。それを使っていい馬車と口の堅い御者を用意してこい」
働きもしないくせに公爵家の子息ってだけでこんな大金持っているの腹立つな。
軟禁中の息子にこんな大金持たせるなよ、甘いんだよ。
ジェーンは心の中でセレスタンと当主夫妻を思い切り罵った。
そのあとセレスタンの言いつけ通り金貨片手に上等な馬車と無口そうな御者を調達してきたのだが、ワインの購入は取りやめた。
(あいつ、アタシ一人でワインの詰まった重い箱を運べって言ったわよね? 無理無理無理! か弱いアタシがそんな重い物持てるわけないじゃない!)
どう考えても自分の力では持てないと考えたジェーンは、空き瓶を箱に詰めることで誤魔化した。
幸い、セレスタンが飲み終えた後の空き瓶が大量に残っているし、それの処理も出来て一石二鳥だと。
荷物は改めない、と言っていたから誰にも見られることはないだろうとジェーンは高を括っていた。
まさか荷物の中身をフランチェスカの目に触れるとはこれっぽっちも思っていなかったのだ。
そしてこの空き瓶が証拠となり追い詰められることとなるのだが、この時のジェーンは知る由もなかった。
「はい? 探索って……何でですか? それに管理人って誰……?」
セレスタンに食事を運ぶ際、ジェーンは彼からいきなりそう命じられる。
意味が分からずキョトンとするジェーンにセレスタンは呆れたような顔を向けた。
「はあ……分からないなら教えてやろう。新しい邸を建設する際、持ち主に引き渡すまでの間そこを管理する者のことだ」
「へえ、そうなんですか。……ん? まさか、アタシがその管理人とやらの気を引く間に家探しをするつもりで……?」
「家探しなどと人聞きの悪い。いいか、私が再びフランチェスカの婚約者となれば、その新居は私のものとなる。自分の邸を探索することなど当然だ、何も悪くない。そうは思わないか?」
「ああ、はい……そうですね」
現時点では違うのだから悪いに決まっている。ジェーンはそんな言葉が飛び出そうになるのを必死にこらえた。
言ったところで無駄なのだ。この自分が一番正しいと思い込んでいるこの男が、他人の言葉に耳を貸すはずがない。
「それでその管理人の注意を引くということは……世間話でもしていればいいですか?」
「お前のつまらない話では長時間引き付けておくことなど無理だろう? それよりもっといい方法がある」
(はああ!? アタシの話がつまらないですって……!? アタシの話を嬉しそうに聞いていたのは何処のどいつよ!!)
誰とも言葉を交わすことのない日々を送るお前に優しく声をかけてあげたのは誰だと思っている。
そう怒鳴りつけてやりたくなったジェーンだが、ここで彼を怒らせては自分の目的が果たせないと思い我慢した。
あの頃のセレスタンはまだ素直で可愛げがあった。
それが今はどうだ。ジェーンを奴隷のように扱い、口を開けば嫌味ばかりの最低な男に成り下がってしまった。
いや、もしかするとこれが彼の本性なのかもしれない。
(性格は悪いし、浮気もするし……ほんっと最悪! こいつの長所なんて顔と身分だけじゃないの!!)
自分がけしかけたことだが、ジェーンは少しだけ王女に同情した。
こんな性根の腐った男と結婚しても幸せになれないだろうと。
「お前と私はフランチェスカの従者に扮し、新居に荷物を搬入しているよう偽装する。上等な馬車にでも乗って行けば王族の従者だと信じるだろう。そしてお前が馬車から荷物を運んでいる間に私は邸を探索する。だからなるべく時間をかけて荷物を運ぶんだぞ」
「え? 荷物を?」
「そうだ、なるべく運ぶ時間を稼げるような重い物がいい。それで中を改められても怪しまれない物……。そうだな、ワインがいい。ワインを数本箱に詰め、それを数箱用意しろ」
「ええ!? そんなにですか?」
「ああ、この金貨で上等な馬車を一台用意しろ。御者の口止め料にもこれを使え」
セレスタンはベッドの下から銀貨がずっしり詰まった袋を取り出し、ジェーンに手渡した。
「何ですかこのお金……。軟禁されているのに何でこんなに持っているんです?」
「は? これくらい普通に持っているものだろう? 部屋にあったのをそのまま持ってきただけだ。それを使っていい馬車と口の堅い御者を用意してこい」
働きもしないくせに公爵家の子息ってだけでこんな大金持っているの腹立つな。
軟禁中の息子にこんな大金持たせるなよ、甘いんだよ。
ジェーンは心の中でセレスタンと当主夫妻を思い切り罵った。
そのあとセレスタンの言いつけ通り金貨片手に上等な馬車と無口そうな御者を調達してきたのだが、ワインの購入は取りやめた。
(あいつ、アタシ一人でワインの詰まった重い箱を運べって言ったわよね? 無理無理無理! か弱いアタシがそんな重い物持てるわけないじゃない!)
どう考えても自分の力では持てないと考えたジェーンは、空き瓶を箱に詰めることで誤魔化した。
幸い、セレスタンが飲み終えた後の空き瓶が大量に残っているし、それの処理も出来て一石二鳥だと。
荷物は改めない、と言っていたから誰にも見られることはないだろうとジェーンは高を括っていた。
まさか荷物の中身をフランチェスカの目に触れるとはこれっぽっちも思っていなかったのだ。
そしてこの空き瓶が証拠となり追い詰められることとなるのだが、この時のジェーンは知る由もなかった。
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