51 / 84
そんなつもりはなかった③
しおりを挟む
「セレスタン様、言われた物を全て用意しました」
「そうか、なら早速新居へと向かおう。変装用の服は持ってきたか?」
「はい、ここにあります」
ジェーンは持参した袋の中から、店で購入した男性用の服一式をセレスタンに渡す。
彼はそれを受け取った瞬間、怪訝な顔を浮かべた。
「は? これは平民用の服じゃないか? こんな安っぽい服では王女の従者に見えないだろうが! どうして執事服を持ってこない!?」
「無茶言わないでくださいよ! そんなもんがそこら辺の店に売っているわけないでしょう!?」
「それなら我が家のものを持ってくればいいじゃないか! 全く気が利かない奴だな!」
「馬鹿な事言わないでください! ヨーク公爵家の家紋が付いた服なんて着ていったら一発でアタシ達の素性がバレるじゃないですか!? それじゃ変装した意味がないでしょう!」
王女の従者が公爵家の使用人の服を着ているなんておかしいと思わないのか。
そんな簡単なことも分からないセレスタンにジェーンはつくづく嫌気がさした。
だいたいここまで準備させておいて労いの一つもかけないなんて、と不満も募る。
「なら仕方ない……。これで我慢してやるか」
ぶつぶつと文句を言いながらもセレスタンはジェーンの用意した衣服に着替えた。
無地の白シャツに若草色のベストとスラックスという平民の男性に多くみられる服装だが、顔だけは貴公子のセレスタンが着るとひどく不自然さが目立つ。
「なんか……似合わな過ぎて逆に目立つので、この帽子も被ってください」
一応顔を隠すためにと用意した帽子を被せると、やっと不自然さが消えた。
無駄に綺麗な顔さえ隠してしまえば、いかに貴公子といえどもそこら辺にいる男と変わらない。
「よし、じゃあ行きますか」
「ああ。警備の騎士はどうしている?」
「彼には煙草を渡しておきましたので、しばらくは戻りません。その間に行きましょう」
ジェーンはセレスタンに渡された金で高級品である煙草を購入し、扉を守る騎士に差し入れと称して手渡した。
渡された騎士は大喜びでそれを受け取り、弾む足取りで邸の外へとそれを吸いに向かっていった。
『ちょっと出てくるから! 話が終わったら扉の外に閂だけ掛けておいてくれよな!」
欲望の為に己の職務を放棄する騎士の背中を軽蔑の目で眺め、彼が完全に外へと向かったことを確認したジェーンは急いでセレスタンの部屋へと入る。
「煙草は高級品ですし、きっとじっくり味わうために時間をかけて吸うでしょう。そして誰かに見つからないよう邸の裏門へと向かいました。なのでアタシ達は正門から出ましょう」
こうしてジェーンはセレスタンを部屋から脱出させることに成功したのだった。
*
「ふう……久方ぶりの外の空気はよいものだな」
部屋から出た後、ジェーンが用意した馬車に乗ったセレスタンは窓の外の景色を眺めながらそう呟いた。
「それで、新居はどの辺にあるんだ?」
「はい、ここからそう遠くない場所にあります」
「ふうん……なら、夜までには戻れそうだな」
「え!? もしかしてまた部屋に戻るんですか? せっかく脱出できたのに?」
「当然だ。他に泊まる場所もないからな」
「それは別に、宿にでも泊まれば……」
「庶民が泊まるような宿にか? そんなの御免だ」
確かにこの辺の地域にある宿は平民向けのものばかりで、貴族が泊まるようなものではない。
だけどそれくらい我慢すればいいものを……。
「一応聞きますけど、新居を探索するのは今回限りですよね……?」
言わずとも脱出にはリスクがある。見張りの騎士に見つかるというリスクが。
それを何度も繰り返すという、正気を失った行動はしないよな?
セレスタンから「今回限りだ」という返答が来るだろうと期待を込めて問いかけたジェーンに、彼が発した言葉はそれを裏切るものだった。
「いや、分からない。目当てのモノが見つかるまで続ける予定だ」
その言葉にジェーンは思わず天を仰いだ。
「いやいやいや、危険ですって! そんな何度も脱出なんて出来ませんよ!? だいたい何ですかその目当てのモノって!?」
「ああ、そういえば言ってなかったな。私が探すのは当主夫妻の寝室に必ずある”隠し扉”だ」
「はい……? 隠し扉?」
セレスタンの話によると、貴族の当主夫妻が使用する寝室には必ず隠し扉が造られているらしい。
有事の際にそこから脱出できるようにと、隠し扉を開けると外に繋がる通路が存在するとか。
「へえ、そんなものがあるなんて知りませんでした。ヨーク公爵家にもあるんですか?」
「ああ、勿論だ。昔、お祖母様に見せてもらったこともある」
「ふーん……そうなんですね」
外と繋がっている扉が寝室にあるなんて怖くないか、と疑問に思ったジェーンだが、今はそれどころじゃない。
「せめて一回で見つけてくださいよ……。そう何度も脱出なんて出来ませんって!」
「そう喚くな。こればかりは運に任せるしかない」
何で他人事みたいに言うんだよ!?
ジェーンは怒りのあまりセレスタンの胸倉を掴みそうになってしまった。
「隠し扉さえ見つければ、後は”前泊り”の日に合わせてそこに隠れていればいいからな」
「はい? ”前泊り”? 何ですかそれ……?」
「知らないのか? ”前泊り”というのは、貴族が新居の完成前に一晩だけそこに宿泊することを言う。我が国の伝統的な習慣なんだぞ?」
「アタシも一応貴族ですけど……新居とか建てたことないんで知りませんでした。ところで、何でそんな習慣が?」
「それは邸に不具合がないか確かめるためだ。無ければそれで完成、有ればその部分を修正する。ちなみに修正は当主が満足がいくまで続ける」
「へー……」
満足するまで修正し続けるなんて大変だし面倒だな。
そんなことを考えていたジェーンだが、自分には関係ないかと考えるのを止めた。
「その部屋にフランチェスカが泊まり、夜一人になったところを狙って隠し扉から出て契りを交わす。そうすればフランチェスカはもう私と結婚するしかなくなるだろう」
「うん………?」
(女性が夜、一人になった隙を狙って……? 契りを交わすとか、耳障りのいい言葉で誤魔化しているけど……それってただの犯罪じゃない……?)
セレスタンの発言に違和感を覚え、ジェーンはふと王女の立場を自分に置き換えて考えてみた。
夜寝静まったところにいきなり男が現れ、成すすべもなく襲われる……。
いや、怖い。普通に怖い。怖すぎる。
「あ、あのー……セレスタン様、それって女性にとってはかなりの恐怖だと思いますよ? 部屋に男が現れていきなり襲われるって……」
「私を暴漢みたいに言うんじゃない! ちゃんと甘く口説いてから事を進めるから安心しろ」
それを聞いた瞬間、ジェーンはゾワッと背筋に悪寒が走った。
暴漢に甘く口説かれたからって何なの?
ただ気持ち悪いだけじゃない!?
というか、こいつが甘い口説き文句を吐くところなんて想像できない!
「セ……セレスタン様、やっぱり止めましょうよ……! こんなの駄目ですって……!」
「今更何だ? 言っておくがこれ以外方法はないし、私は止めるつもりはないぞ。お前だってルイと添い遂げたいのだろう?」
「それは……そうですけど、でも……」
「この機会を逃せばルイはフランチェスカの婿になってしまうのだぞ? 王女の婿はお前のような下女には手の届かない存在だ。それでもいいのか?」
「う……それは……」
そんなの嫌だ。ルイが他の人のモノになるなんて耐えられない。
でも……だからといって、このままこいつが王女を襲うのを見過ごしまえば、自分はどうなる?
王女への暴行を加担した罪なんて……下手すれば死罪になるのではないだろうか。
ジェーンは自分がとんでもないことをしようとしているのではないかと、今更ながら怖気づいた。
「ああ、そうだ。これを付けておけ」
「……は!? 何ですかこれは?」
恐怖で俯くジェーンにセレスタンが差し出したのは、大粒のエメラルドが煌めく上等なブローチだった。
「それを着けておけば管理人もお前を王女の従者だと信じるだろう。フランチェスカの侍女は皆、このエメラルドのブローチを身に着けているからな」
「は、はあ……ありがとうございます」
宝石の眩さに少しだけジェーンの心が和らいだ。
こんな大粒の石をはめ込んだアクセサリーを身に着けるのは初めてだ。
「分かっているだろうが、お前と私はもう共犯だ。今更裏切ろうとしても無駄だぞ」
その言葉はジェーンの和らいだ心を一瞬で打ち砕いた。
共犯、という言葉にジェーンは再び己の行動に怖れを抱く。
(違う……共犯だなんてそんな……。アタシは犯罪に手を染めるつもりなんてなかったのに……。王女を襲うだなんて……そんなつもりはなかったのに!!)
後悔してももう戻れない。
ここでセレスタンを裏切ったのなら、彼は必ず報復に出る。
ジェーンが自分を逃がそうとした、なんてバラされたらもうおしまいだ。
公爵家を追い出され、二度とルイに会えなくなってしまう……。
こうなったのならもう、セレスタンが王女と結ばれるまで後には引けない。
ジェーンは膝の上で強くこぶしを握り、このまま進む覚悟を決めた。
「そうか、なら早速新居へと向かおう。変装用の服は持ってきたか?」
「はい、ここにあります」
ジェーンは持参した袋の中から、店で購入した男性用の服一式をセレスタンに渡す。
彼はそれを受け取った瞬間、怪訝な顔を浮かべた。
「は? これは平民用の服じゃないか? こんな安っぽい服では王女の従者に見えないだろうが! どうして執事服を持ってこない!?」
「無茶言わないでくださいよ! そんなもんがそこら辺の店に売っているわけないでしょう!?」
「それなら我が家のものを持ってくればいいじゃないか! 全く気が利かない奴だな!」
「馬鹿な事言わないでください! ヨーク公爵家の家紋が付いた服なんて着ていったら一発でアタシ達の素性がバレるじゃないですか!? それじゃ変装した意味がないでしょう!」
王女の従者が公爵家の使用人の服を着ているなんておかしいと思わないのか。
そんな簡単なことも分からないセレスタンにジェーンはつくづく嫌気がさした。
だいたいここまで準備させておいて労いの一つもかけないなんて、と不満も募る。
「なら仕方ない……。これで我慢してやるか」
ぶつぶつと文句を言いながらもセレスタンはジェーンの用意した衣服に着替えた。
無地の白シャツに若草色のベストとスラックスという平民の男性に多くみられる服装だが、顔だけは貴公子のセレスタンが着るとひどく不自然さが目立つ。
「なんか……似合わな過ぎて逆に目立つので、この帽子も被ってください」
一応顔を隠すためにと用意した帽子を被せると、やっと不自然さが消えた。
無駄に綺麗な顔さえ隠してしまえば、いかに貴公子といえどもそこら辺にいる男と変わらない。
「よし、じゃあ行きますか」
「ああ。警備の騎士はどうしている?」
「彼には煙草を渡しておきましたので、しばらくは戻りません。その間に行きましょう」
ジェーンはセレスタンに渡された金で高級品である煙草を購入し、扉を守る騎士に差し入れと称して手渡した。
渡された騎士は大喜びでそれを受け取り、弾む足取りで邸の外へとそれを吸いに向かっていった。
『ちょっと出てくるから! 話が終わったら扉の外に閂だけ掛けておいてくれよな!」
欲望の為に己の職務を放棄する騎士の背中を軽蔑の目で眺め、彼が完全に外へと向かったことを確認したジェーンは急いでセレスタンの部屋へと入る。
「煙草は高級品ですし、きっとじっくり味わうために時間をかけて吸うでしょう。そして誰かに見つからないよう邸の裏門へと向かいました。なのでアタシ達は正門から出ましょう」
こうしてジェーンはセレスタンを部屋から脱出させることに成功したのだった。
*
「ふう……久方ぶりの外の空気はよいものだな」
部屋から出た後、ジェーンが用意した馬車に乗ったセレスタンは窓の外の景色を眺めながらそう呟いた。
「それで、新居はどの辺にあるんだ?」
「はい、ここからそう遠くない場所にあります」
「ふうん……なら、夜までには戻れそうだな」
「え!? もしかしてまた部屋に戻るんですか? せっかく脱出できたのに?」
「当然だ。他に泊まる場所もないからな」
「それは別に、宿にでも泊まれば……」
「庶民が泊まるような宿にか? そんなの御免だ」
確かにこの辺の地域にある宿は平民向けのものばかりで、貴族が泊まるようなものではない。
だけどそれくらい我慢すればいいものを……。
「一応聞きますけど、新居を探索するのは今回限りですよね……?」
言わずとも脱出にはリスクがある。見張りの騎士に見つかるというリスクが。
それを何度も繰り返すという、正気を失った行動はしないよな?
セレスタンから「今回限りだ」という返答が来るだろうと期待を込めて問いかけたジェーンに、彼が発した言葉はそれを裏切るものだった。
「いや、分からない。目当てのモノが見つかるまで続ける予定だ」
その言葉にジェーンは思わず天を仰いだ。
「いやいやいや、危険ですって! そんな何度も脱出なんて出来ませんよ!? だいたい何ですかその目当てのモノって!?」
「ああ、そういえば言ってなかったな。私が探すのは当主夫妻の寝室に必ずある”隠し扉”だ」
「はい……? 隠し扉?」
セレスタンの話によると、貴族の当主夫妻が使用する寝室には必ず隠し扉が造られているらしい。
有事の際にそこから脱出できるようにと、隠し扉を開けると外に繋がる通路が存在するとか。
「へえ、そんなものがあるなんて知りませんでした。ヨーク公爵家にもあるんですか?」
「ああ、勿論だ。昔、お祖母様に見せてもらったこともある」
「ふーん……そうなんですね」
外と繋がっている扉が寝室にあるなんて怖くないか、と疑問に思ったジェーンだが、今はそれどころじゃない。
「せめて一回で見つけてくださいよ……。そう何度も脱出なんて出来ませんって!」
「そう喚くな。こればかりは運に任せるしかない」
何で他人事みたいに言うんだよ!?
ジェーンは怒りのあまりセレスタンの胸倉を掴みそうになってしまった。
「隠し扉さえ見つければ、後は”前泊り”の日に合わせてそこに隠れていればいいからな」
「はい? ”前泊り”? 何ですかそれ……?」
「知らないのか? ”前泊り”というのは、貴族が新居の完成前に一晩だけそこに宿泊することを言う。我が国の伝統的な習慣なんだぞ?」
「アタシも一応貴族ですけど……新居とか建てたことないんで知りませんでした。ところで、何でそんな習慣が?」
「それは邸に不具合がないか確かめるためだ。無ければそれで完成、有ればその部分を修正する。ちなみに修正は当主が満足がいくまで続ける」
「へー……」
満足するまで修正し続けるなんて大変だし面倒だな。
そんなことを考えていたジェーンだが、自分には関係ないかと考えるのを止めた。
「その部屋にフランチェスカが泊まり、夜一人になったところを狙って隠し扉から出て契りを交わす。そうすればフランチェスカはもう私と結婚するしかなくなるだろう」
「うん………?」
(女性が夜、一人になった隙を狙って……? 契りを交わすとか、耳障りのいい言葉で誤魔化しているけど……それってただの犯罪じゃない……?)
セレスタンの発言に違和感を覚え、ジェーンはふと王女の立場を自分に置き換えて考えてみた。
夜寝静まったところにいきなり男が現れ、成すすべもなく襲われる……。
いや、怖い。普通に怖い。怖すぎる。
「あ、あのー……セレスタン様、それって女性にとってはかなりの恐怖だと思いますよ? 部屋に男が現れていきなり襲われるって……」
「私を暴漢みたいに言うんじゃない! ちゃんと甘く口説いてから事を進めるから安心しろ」
それを聞いた瞬間、ジェーンはゾワッと背筋に悪寒が走った。
暴漢に甘く口説かれたからって何なの?
ただ気持ち悪いだけじゃない!?
というか、こいつが甘い口説き文句を吐くところなんて想像できない!
「セ……セレスタン様、やっぱり止めましょうよ……! こんなの駄目ですって……!」
「今更何だ? 言っておくがこれ以外方法はないし、私は止めるつもりはないぞ。お前だってルイと添い遂げたいのだろう?」
「それは……そうですけど、でも……」
「この機会を逃せばルイはフランチェスカの婿になってしまうのだぞ? 王女の婿はお前のような下女には手の届かない存在だ。それでもいいのか?」
「う……それは……」
そんなの嫌だ。ルイが他の人のモノになるなんて耐えられない。
でも……だからといって、このままこいつが王女を襲うのを見過ごしまえば、自分はどうなる?
王女への暴行を加担した罪なんて……下手すれば死罪になるのではないだろうか。
ジェーンは自分がとんでもないことをしようとしているのではないかと、今更ながら怖気づいた。
「ああ、そうだ。これを付けておけ」
「……は!? 何ですかこれは?」
恐怖で俯くジェーンにセレスタンが差し出したのは、大粒のエメラルドが煌めく上等なブローチだった。
「それを着けておけば管理人もお前を王女の従者だと信じるだろう。フランチェスカの侍女は皆、このエメラルドのブローチを身に着けているからな」
「は、はあ……ありがとうございます」
宝石の眩さに少しだけジェーンの心が和らいだ。
こんな大粒の石をはめ込んだアクセサリーを身に着けるのは初めてだ。
「分かっているだろうが、お前と私はもう共犯だ。今更裏切ろうとしても無駄だぞ」
その言葉はジェーンの和らいだ心を一瞬で打ち砕いた。
共犯、という言葉にジェーンは再び己の行動に怖れを抱く。
(違う……共犯だなんてそんな……。アタシは犯罪に手を染めるつもりなんてなかったのに……。王女を襲うだなんて……そんなつもりはなかったのに!!)
後悔してももう戻れない。
ここでセレスタンを裏切ったのなら、彼は必ず報復に出る。
ジェーンが自分を逃がそうとした、なんてバラされたらもうおしまいだ。
公爵家を追い出され、二度とルイに会えなくなってしまう……。
こうなったのならもう、セレスタンが王女と結ばれるまで後には引けない。
ジェーンは膝の上で強くこぶしを握り、このまま進む覚悟を決めた。
594
あなたにおすすめの小説
【完結】私を捨てた皆様、どうぞその選択を後悔なさってください 〜婚約破棄された令嬢の、遅すぎる謝罪はお断りです〜
くろねこ
恋愛
王太子の婚約者として尽くしてきた公爵令嬢エリシアは、ある日突然、身に覚えのない罪で断罪され婚約破棄を言い渡される。
味方だと思っていた家族も友人も、誰一人として彼女を庇わなかった。
――けれど、彼らは知らなかった。
彼女こそが国を支えていた“本当の功労者”だったことを。
すべてを失ったはずの令嬢が選んだのは、
復讐ではなく「関わらない」という選択。
だがその選択こそが、彼らにとって最も残酷な“ざまぁ”の始まりだった。
八年間の恋を捨てて結婚します
abang
恋愛
八年間愛した婚約者との婚約解消の書類を紛れ込ませた。
無関心な彼はサインしたことにも気づかなかった。
そして、アルベルトはずっと婚約者だった筈のルージュの婚約パーティーの記事で気付く。
彼女がアルベルトの元を去ったことをーー。
八年もの間ずっと自分だけを盲目的に愛していたはずのルージュ。
なのに彼女はもうすぐ別の男と婚約する。
正式な結婚の日取りまで記された記事にアルベルトは憤る。
「今度はそうやって気を引くつもりか!?」
花嫁に「君を愛することはできない」と伝えた結果
藍田ひびき
恋愛
「アンジェリカ、君を愛することはできない」
結婚式の後、侯爵家の騎士のレナード・フォーブズは妻へそう告げた。彼は主君の娘、キャロライン・リンスコット侯爵令嬢を愛していたのだ。
アンジェリカの言葉には耳を貸さず、キャロラインへの『真実の愛』を貫こうとするレナードだったが――。
※ 他サイトにも投稿しています。
乙女ゲームの悪役令嬢の兄の婚約者に転生しましたが傷物になったので退場を希望します!
ユウ
恋愛
平凡な伯爵令嬢のリネットは優しい婚約者と妹と穏やかで幸福な日々を送っていた。
相手は公爵家の嫡男であり第一王子殿下の側近で覚えもめでたく社交界の憧れの漆黒の騎士と呼ばれる貴族令息だった。
結婚式前夜、婚約者の妹に会いに学園に向かったが、そこで事件が起きる。
現在学園で騒動を起こしている第二王子とその友人達に勘違いから暴行を受け階段から落ちてしまう…
その時に前世の記憶を取り戻すのだった…
「悪役令嬢の兄の婚約者って…」
なんとも微妙なポジション。
しかも結婚前夜で傷物になる失態を犯してしまったリネットは婚約解消を望むのだが、悪役令嬢の義妹が王子に婚約破棄を突きつける事件に発展してしまう。
《完結》「パパはいますか?」ある日、夫に似た子供が訪ねて来た。
ヴァンドール
恋愛
嫁いですぐに夫は戦地に赴いた。すると突然一人の男の子が訪ねて来た「パパはいますか?」
その子供の顔は戦地に行った夫にそっくりだった。
【完結】婚約者の義妹と恋に落ちたので婚約破棄した処、「妃教育の修了」を条件に結婚が許されたが結果が芳しくない。何故だ?同じ高位貴族だろう?
つくも茄子
恋愛
国王唯一の王子エドワード。
彼は婚約者の公爵令嬢であるキャサリンを公の場所で婚約破棄を宣言した。
次の婚約者は恋人であるアリス。
アリスはキャサリンの義妹。
愛するアリスと結婚するには「妃教育を修了させること」だった。
同じ高位貴族。
少し頑張ればアリスは直ぐに妃教育を終了させると踏んでいたが散々な結果で終わる。
八番目の教育係も辞めていく。
王妃腹でないエドワードは立太子が遠のく事に困ってしまう。
だが、エドワードは知らなかった事がある。
彼が事実を知るのは何時になるのか……それは誰も知らない。
他サイトにも公開中。
『白い結婚だったので、勝手に離婚しました。何か問題あります?』
夢窓(ゆめまど)
恋愛
「――離婚届、受理されました。お疲れさまでした」
教会の事務官がそう言ったとき、私は心の底からこう思った。
ああ、これでようやく三年分の無視に終止符を打てるわ。
王命による“形式結婚”。
夫の顔も知らず、手紙もなし、戦地から帰ってきたという噂すらない。
だから、はい、離婚。勝手に。
白い結婚だったので、勝手に離婚しました。
何か問題あります?
愛すべきマリア
志波 連
恋愛
幼い頃に婚約し、定期的な交流は続けていたものの、互いにこの結婚の意味をよく理解していたため、つかず離れずの穏やかな関係を築いていた。
学園を卒業し、第一王子妃教育も終えたマリアが留学から戻った兄と一緒に参加した夜会で、令嬢たちに囲まれた。
家柄も美貌も優秀さも全て揃っているマリアに嫉妬したレイラに指示された女たちは、彼女に嫌味の礫を投げつける。
早めに帰ろうという兄が呼んでいると知らせを受けたマリアが発見されたのは、王族の居住区に近い階段の下だった。
頭から血を流し、意識を失っている状態のマリアはすぐさま医務室に運ばれるが、意識が戻ることは無かった。
その日から十日、やっと目を覚ましたマリアは精神年齢が大幅に退行し、言葉遣いも仕草も全て三歳児と同レベルになっていたのだ。
体は16歳で心は3歳となってしまったマリアのためにと、兄が婚約の辞退を申し出た。
しかし、初めから結婚に重きを置いていなかった皇太子が「面倒だからこのまま結婚する」と言いだし、予定通りマリアは婚姻式に臨むことになった。
他サイトでも掲載しています。
表紙は写真ACより転載しました。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる