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Tier A-1【赫連勃勃・陳叔宝・司馬衷・宇文贇】
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【企画全ページ共通エクスキューズ】
この企画にて紹介される人物たちの事績において重要なのは「史書にこのように書かれている」=「史書がこのように書く必要があった、と評価していた」です。「その人物が実際にそうであった」と言うことではないと、割と強めにご認識下さい。
つまりキャラクターとして消費するのはアリ、と言うか大切な入り口だと思うんですが「史学的な人物評価に直結させてしまうとあぶないよ」とは書いておきます。
上位陣ともなってくると、匂い立たんばかりのクソッぷりにむせかえりそうです。……が、ここから先に踏み込むに当たって、一回これを見ておくべきでしょう。「各君主の悪魔化」のベースです。悪魔化されるとはどういうことか。「討伐されても仕方がない」なんです。そうすると、言うまでもなく大義名分が成立する討伐対象はそこまで悪魔化がキツくならず、大義名分がやや苦しい場合は悪魔化がキツくなる、という一般傾向が示されるでしょう。
そしてここに追加要素があります。その悪魔化が承認されるか、否か。つまり悪魔化のキツさは基本的にある程度正統に近いところで発生しやすい、と言えるでしょう。ではここで、今後に展開する十七人がだいたいどんな感じ位置づけなのかを見てみます。
石虎:前燕の怨敵。
侯景:南朝の魔王。
劉子業:劉彧の防衛反応?
苻生:苻堅マジ苻堅。
孫晧:天下統一の大義名分。
慕容熙:んぅ? 北魏?
高洋:北周から見た北斉。
冉閔:前燕の討伐対象。
劉聡:石勒の大義名分。
蕭宝巻:蕭衍の大義名分。
高緯:北周から見た北斉。
劉劭:うーんまぁ。
劉昱:蕭道成の大義名分。
宇文贇:隋から見た北周。
司馬衷:肉粥。
陳叔宝:天下統一の大義名分。
赫連勃勃:北魏の怨敵。
ちょっと待って劉宋君主こわい。なにこれ。大義名分のための糊塗を想定しようにも厳しいひとが多すぎる。あと慕容熙はもうエピソードの突き抜けぶりだけで上位に駆けのぼっている感じがあります。ともあれ、他のクソ君主たちはご覧の通りかなりの割合で「これこれこういうクソッぷりだから討伐されても仕方がないんだよ!」と糊塗されがちなのです。
もちろんこれが糊塗でなく、事実であったのかもしれません。けど事実ではないかもしれません。わかりません。だからこそ俺は「結果」を強く見ます。エピソードはいくらでも盛れるからです。
そして、結果を重く見るんであれば SSS はどうしても苻堅・元宏・蕭衍の三人を譲れなくなってしまうわけです。あ、ちなみにこの三人に順位づけをする気はありません。ちょっとレベルが違いすぎて順位づけするのも馬鹿馬鹿しいので。
なお、見出しは
名前(生年-即位年-没年 時代・国諡号)
とあらわします。
○20位 赫連勃勃(381-407-425 五胡後期・夏武烈帝)
夏を建国し残忍な統治。統万城建設での虐待。(DeepSeek)
夏は建国したが短命。残虐だが戦士としては有能。建築労働者の大量殺害。(Claude)
皮剥ぎ・頭蓋骨で城を飾る系の暴力センス、しかし建国者でもあるので国体破壊点はやや控えめ。(ChatGPT)
「蒸土築城」(築城した職人を壁に埋める)、裏切りの常習。名前の通り勃々たる野心と残虐性の塊。(Gemini)
夏建国だが暴君。生贄・拷問・異常建築(人柱)。(Grok)
豪放だが残虐、夏を築くも短命。(Copilot)
偏差順位12:かなり分散
統万城城壁から人骨が出てきたという報告を寡聞にして聴いたことがない今日このごろ、みなさまいかがお過ごしでしょうか。
赫連勃勃。名前のインパクトと残虐無比であった、というインパクトが先行しています。まあたぶん残虐無比は事実です。っが、そもそもにしてこの人匈奴鉄払部大人の御曹司なんですよね。つまりバッキバキに由緒正しい遊牧血統で、ついでに言えば代々北魏の拓跋氏と対立し続けています。最悪の君主なんです、拓跋氏から見ると。では赫連勃勃の事績が載った本、十六国春秋とは? 北魏の本なんです。しかも皇帝が親覧するレベルの。
北魏と対立して親が滅ぼされ、後秦に逃げ込むも後秦が北魏と結んだため怒り、独立。以降後秦を悩ませ続け、劉裕の関中掌握の野望をへし折り、統万城にて天下の覇を唱える。気宇は壮大、クソ野郎なのもたぶんそう。が、「統万城城壁にもろいところがあると、そこを担当した職人を城壁に塗り込めた」みたいなやつに代表されるクソエピソードの数々については北魏史観の潤色がかなりべったりだと思ったほうがいいです。赫連勃勃に対しては「当時の人間が考える最悪の悪人ってこんな造形になるんだー★」で止めておくのが一番楽しいです。
○19位 陳叔宝(553-582-589陳滅-604 南北朝後期・陳後主)
陳を滅亡させ、奢侈と無能。悪行は中程度。(DeepSeek)
陳滅亡の象徴的人物。ただし個人的には「クソ」というより「最後まで遊んでた人」。(ChatGPT)
井戸に隠れた陳の後主。「玉樹後庭花」など文化面は良いが、国を滅ぼした責任は重い。(Gemini)
陳朝を滅亡させ、南朝時代を終焉させた。酒色に溺れ、張麗華ら後宮と詩作に耽溺。「玉樹後庭花」を作曲しながら国を失う。(Claude)
陳滅亡。奢侈・酒色に耽り、国防無視。亡国君の典型。(Grok)
享楽と無能で陳を滅ぼした。(Copilot)
偏差順位34:まぁまぁ一致
隋の天下統一への最大の貢献者。たぶん劉禅の暗君イメージにだいぶ流用されてます。明の劉基の鄱陽湖の戦いにおける策略が赤壁の戦いにおける諸葛亮の策略に流用されたようなもんだと思えばいいでしょう。笑っちゃうほど劉禅、孫晧、そしてこの陳叔宝って扱いが一緒なんですよね。あと面白い話としてはこのひと、死後に隋の煬帝から「煬」と諡をもらっています。
さて、このひとがどの程度悪魔化の犠牲者なのか。これはちょっと不安です。本当にそうだったのかもしれないと思わせるだけの貫禄があります。自分自身が愛妾とともに井戸の中に隠れる中、息子の陳深が城内にて居住まいを正して隋の兵らの来訪をねぎらったエピソードとか本当に大好きです。
あとはなんていうんでしょうね、司馬衷と並んできたのもとても示唆的だな、と思うんです。基本的には君主として国を滅ぼしたこと、そこに事態を転がしてしまったこと、そのものがヤバい。本当にヤバい。確かにそれだけで上位に食い込めてしまうレベルです。……けれども、それって司馬衷を暗君のアイコンとして悪魔化するほどのことなのか? となるわけです。俺からすると陳叔宝のほうが遥かに極悪ですけど。
けど、なる。なっちゃうんですよね。というわけで第二の当企画本命、西晋恵帝に参りましょう。
○18位 司馬衷(259-290-307 西晋恵帝)
西晋衰退(八王の乱)、無能が原因だが悪行は少ない。(DeepSeek)
永嘉の乱時の皇帝。本人の責任は議論あるが、国体破綻点は高く。(ChatGPT)
八王の乱を招き、西晋滅亡の直接原因。無能による間接的被害が甚大。「何不食肉糜」の逸話に象徴される常軌を逸した無能。(Claude)
知的障害があったとされ、本人に悪意はないが、八王の乱を招き国を物理的に崩壊させた。「肉粥」発言でボーナス満点。(Gemini)
西晋恵帝。愚昧・八王の乱原因。無能型。(Grok)
知的障害で政務不能、混乱を招いた「恵帝」。(Copilot)
偏差順位4:評価不能
すでに劉禅の項で語った内容の繰り返しとはなってしまいますが、改めて書きましょう。最悪の君主なのです、「中華のあるべき姿」からすれば。ここで司馬衷のあるべき姿とは「天下統一をした国を引き継いでの、天下安寧」。では結果はどうですか? と言うことです。実際のところ、結果だけで評価をする、と言ってしまえば十分にSSSだとも思ってるんですよ。一方で、これがある。「ではその安寧の喪失は、どれだけ司馬衷自身の主体的統治の賜物ですか?」
司馬炎のところでも語った通り、司馬衷即位周りは外戚による政局コントロールの結果、と言うのが実情に近いです。ならばその失政は皇帝に据えようとした機構、すなわち先代皇帝、外戚、そして宗室に帰されるべきです。けど、司馬衷の場合これが出てきます。分かりづらい。実際のところ司馬衷周りを話し始めれば五胡十六国のカオスをのぞいてみたい人が真っ先に殺される八王の乱にぶち当たるわけでして、しかもこれの発端が祖父世代、司馬師から。このへんをそれなりに把握してもらうだけでも、ぶっちぎりでこの記事が厚くなります。さすがにそれはだるい。こうしたところからも、司馬衷の悪魔化が強化された、と見るべきでしょう。なので劉禅と同じ「最悪の愚君」扱いですが、そのルートについてはかなり違い「あの時代の流れの集約」とするのが相応しいのでしょう。
ひとは一人では何もできません。暗愚と呼ばれる人物であればなおのことです。乱世に至る潮流を食い止められなかったこと、そのものが一つの責任問題であるのも間違いのないこと。けれどもそこを隠れ蓑にして、あの時代にいるもっと糾弾すべき人物を見過してはならん、と思うのです。現代においても、そうしたスケープゴートを立てることによる責任逃れなど、決して許してはなりません。
まあ、それはそれとしてクソ無能肉粥おじさんとして擦ると……楽しい、んです、よねっ!
○17位 宇文贇(559-578-579譲位-580 南北朝後期・北周宣帝)
北周を弱体化させ、暴政と乱行。(DeepSeek)
変態趣味と暴政で北周を揺らしたが、楊堅が有能すぎてフォロー。(ChatGPT)
北周の基盤を1年で崩壊させた。5人の皇后を同時に立てる、臣下への拷問、酒色三昧。22歳で死ぬまでの異常な享楽ぶり。(Claude)
5人の皇后を立てる、自分だけ皇帝を辞めて上皇になり遊び呆ける、理不尽な粛清。北周滅亡の原因。(Gemini)
北周宣帝。異常残虐・奢侈・家族虐待。短命王朝の乱因。(Grok)
享楽に溺れ、北周を衰退させた。(Copilot)
偏差順位22:結構分散
実質の隋文帝にバトン渡しニキ。詩経文王も言ってます、「宜鑒于殷 駿命不易」ーー殷を見れば明らかなように、天命とは保つことが重要、だがなしうるのは極めて難しい。なら北周の天命が残念な後継者で尽きるのもやむを得ないよ、ねーっ!
そんなわけで隋文帝の禅譲正当化という視点を踏まえると「なにもかもがほんまかいな」みたいな気持ちにしかなれません。だって、上に載ってる悪行、全部があまりにテンプレなんですもの。もちろんここもこれです、そうじゃないかもしれないし、そうかもしれない。確定的なことは何も言えません。
ただ、事実として北周は宇文贇の父たる武帝宇文邕が華北統一を成し遂げて、直後に死に、直後に劇的衰退を遂げました。この流れをようやく加冠したばかりの弱帝になすりつけるの無理ありませんかね? とはどうしても思ってしまうのです。皇帝親征が当たり前だった北魏初期ならともかく、基本的に宮殿鎮座がデフォになる宣帝の立場で国体が傾くように統治を主体的にコントロールするのは難しい気がします。もちろん、全部を楊堅楊堅と言い過ぎちゃうのはさすがに陰謀論史観じみていますが、とはいえいくら何でも周隋革命っておきれいにすぎる、スマートにすぎる禅譲の流れなんですよね。ここに独孤伽羅の関与疑うなって方が無理じゃない?
あ、すみません間違えた、間違えた。楊堅でしたね。あのおじさん奥さんにめちゃくちゃ助けられてそうだし、なんならコントロールもされてそうだなんて、そんなそんな。
○予告
明日は高緯・劉劭・劉昱。南北朝激ヤバ君主祭です。ここで前後二人はまだ後世人による筆誅を可能性として論じることが出来るんですが、真ん中については……どうあがいても無理。なんなんだこいつは。逆に、こいつを越えてしまう上位君主どももなんなんだ、という感じです。
明日も戦慄、戦慄ゥ!
この企画にて紹介される人物たちの事績において重要なのは「史書にこのように書かれている」=「史書がこのように書く必要があった、と評価していた」です。「その人物が実際にそうであった」と言うことではないと、割と強めにご認識下さい。
つまりキャラクターとして消費するのはアリ、と言うか大切な入り口だと思うんですが「史学的な人物評価に直結させてしまうとあぶないよ」とは書いておきます。
上位陣ともなってくると、匂い立たんばかりのクソッぷりにむせかえりそうです。……が、ここから先に踏み込むに当たって、一回これを見ておくべきでしょう。「各君主の悪魔化」のベースです。悪魔化されるとはどういうことか。「討伐されても仕方がない」なんです。そうすると、言うまでもなく大義名分が成立する討伐対象はそこまで悪魔化がキツくならず、大義名分がやや苦しい場合は悪魔化がキツくなる、という一般傾向が示されるでしょう。
そしてここに追加要素があります。その悪魔化が承認されるか、否か。つまり悪魔化のキツさは基本的にある程度正統に近いところで発生しやすい、と言えるでしょう。ではここで、今後に展開する十七人がだいたいどんな感じ位置づけなのかを見てみます。
石虎:前燕の怨敵。
侯景:南朝の魔王。
劉子業:劉彧の防衛反応?
苻生:苻堅マジ苻堅。
孫晧:天下統一の大義名分。
慕容熙:んぅ? 北魏?
高洋:北周から見た北斉。
冉閔:前燕の討伐対象。
劉聡:石勒の大義名分。
蕭宝巻:蕭衍の大義名分。
高緯:北周から見た北斉。
劉劭:うーんまぁ。
劉昱:蕭道成の大義名分。
宇文贇:隋から見た北周。
司馬衷:肉粥。
陳叔宝:天下統一の大義名分。
赫連勃勃:北魏の怨敵。
ちょっと待って劉宋君主こわい。なにこれ。大義名分のための糊塗を想定しようにも厳しいひとが多すぎる。あと慕容熙はもうエピソードの突き抜けぶりだけで上位に駆けのぼっている感じがあります。ともあれ、他のクソ君主たちはご覧の通りかなりの割合で「これこれこういうクソッぷりだから討伐されても仕方がないんだよ!」と糊塗されがちなのです。
もちろんこれが糊塗でなく、事実であったのかもしれません。けど事実ではないかもしれません。わかりません。だからこそ俺は「結果」を強く見ます。エピソードはいくらでも盛れるからです。
そして、結果を重く見るんであれば SSS はどうしても苻堅・元宏・蕭衍の三人を譲れなくなってしまうわけです。あ、ちなみにこの三人に順位づけをする気はありません。ちょっとレベルが違いすぎて順位づけするのも馬鹿馬鹿しいので。
なお、見出しは
名前(生年-即位年-没年 時代・国諡号)
とあらわします。
○20位 赫連勃勃(381-407-425 五胡後期・夏武烈帝)
夏を建国し残忍な統治。統万城建設での虐待。(DeepSeek)
夏は建国したが短命。残虐だが戦士としては有能。建築労働者の大量殺害。(Claude)
皮剥ぎ・頭蓋骨で城を飾る系の暴力センス、しかし建国者でもあるので国体破壊点はやや控えめ。(ChatGPT)
「蒸土築城」(築城した職人を壁に埋める)、裏切りの常習。名前の通り勃々たる野心と残虐性の塊。(Gemini)
夏建国だが暴君。生贄・拷問・異常建築(人柱)。(Grok)
豪放だが残虐、夏を築くも短命。(Copilot)
偏差順位12:かなり分散
統万城城壁から人骨が出てきたという報告を寡聞にして聴いたことがない今日このごろ、みなさまいかがお過ごしでしょうか。
赫連勃勃。名前のインパクトと残虐無比であった、というインパクトが先行しています。まあたぶん残虐無比は事実です。っが、そもそもにしてこの人匈奴鉄払部大人の御曹司なんですよね。つまりバッキバキに由緒正しい遊牧血統で、ついでに言えば代々北魏の拓跋氏と対立し続けています。最悪の君主なんです、拓跋氏から見ると。では赫連勃勃の事績が載った本、十六国春秋とは? 北魏の本なんです。しかも皇帝が親覧するレベルの。
北魏と対立して親が滅ぼされ、後秦に逃げ込むも後秦が北魏と結んだため怒り、独立。以降後秦を悩ませ続け、劉裕の関中掌握の野望をへし折り、統万城にて天下の覇を唱える。気宇は壮大、クソ野郎なのもたぶんそう。が、「統万城城壁にもろいところがあると、そこを担当した職人を城壁に塗り込めた」みたいなやつに代表されるクソエピソードの数々については北魏史観の潤色がかなりべったりだと思ったほうがいいです。赫連勃勃に対しては「当時の人間が考える最悪の悪人ってこんな造形になるんだー★」で止めておくのが一番楽しいです。
○19位 陳叔宝(553-582-589陳滅-604 南北朝後期・陳後主)
陳を滅亡させ、奢侈と無能。悪行は中程度。(DeepSeek)
陳滅亡の象徴的人物。ただし個人的には「クソ」というより「最後まで遊んでた人」。(ChatGPT)
井戸に隠れた陳の後主。「玉樹後庭花」など文化面は良いが、国を滅ぼした責任は重い。(Gemini)
陳朝を滅亡させ、南朝時代を終焉させた。酒色に溺れ、張麗華ら後宮と詩作に耽溺。「玉樹後庭花」を作曲しながら国を失う。(Claude)
陳滅亡。奢侈・酒色に耽り、国防無視。亡国君の典型。(Grok)
享楽と無能で陳を滅ぼした。(Copilot)
偏差順位34:まぁまぁ一致
隋の天下統一への最大の貢献者。たぶん劉禅の暗君イメージにだいぶ流用されてます。明の劉基の鄱陽湖の戦いにおける策略が赤壁の戦いにおける諸葛亮の策略に流用されたようなもんだと思えばいいでしょう。笑っちゃうほど劉禅、孫晧、そしてこの陳叔宝って扱いが一緒なんですよね。あと面白い話としてはこのひと、死後に隋の煬帝から「煬」と諡をもらっています。
さて、このひとがどの程度悪魔化の犠牲者なのか。これはちょっと不安です。本当にそうだったのかもしれないと思わせるだけの貫禄があります。自分自身が愛妾とともに井戸の中に隠れる中、息子の陳深が城内にて居住まいを正して隋の兵らの来訪をねぎらったエピソードとか本当に大好きです。
あとはなんていうんでしょうね、司馬衷と並んできたのもとても示唆的だな、と思うんです。基本的には君主として国を滅ぼしたこと、そこに事態を転がしてしまったこと、そのものがヤバい。本当にヤバい。確かにそれだけで上位に食い込めてしまうレベルです。……けれども、それって司馬衷を暗君のアイコンとして悪魔化するほどのことなのか? となるわけです。俺からすると陳叔宝のほうが遥かに極悪ですけど。
けど、なる。なっちゃうんですよね。というわけで第二の当企画本命、西晋恵帝に参りましょう。
○18位 司馬衷(259-290-307 西晋恵帝)
西晋衰退(八王の乱)、無能が原因だが悪行は少ない。(DeepSeek)
永嘉の乱時の皇帝。本人の責任は議論あるが、国体破綻点は高く。(ChatGPT)
八王の乱を招き、西晋滅亡の直接原因。無能による間接的被害が甚大。「何不食肉糜」の逸話に象徴される常軌を逸した無能。(Claude)
知的障害があったとされ、本人に悪意はないが、八王の乱を招き国を物理的に崩壊させた。「肉粥」発言でボーナス満点。(Gemini)
西晋恵帝。愚昧・八王の乱原因。無能型。(Grok)
知的障害で政務不能、混乱を招いた「恵帝」。(Copilot)
偏差順位4:評価不能
すでに劉禅の項で語った内容の繰り返しとはなってしまいますが、改めて書きましょう。最悪の君主なのです、「中華のあるべき姿」からすれば。ここで司馬衷のあるべき姿とは「天下統一をした国を引き継いでの、天下安寧」。では結果はどうですか? と言うことです。実際のところ、結果だけで評価をする、と言ってしまえば十分にSSSだとも思ってるんですよ。一方で、これがある。「ではその安寧の喪失は、どれだけ司馬衷自身の主体的統治の賜物ですか?」
司馬炎のところでも語った通り、司馬衷即位周りは外戚による政局コントロールの結果、と言うのが実情に近いです。ならばその失政は皇帝に据えようとした機構、すなわち先代皇帝、外戚、そして宗室に帰されるべきです。けど、司馬衷の場合これが出てきます。分かりづらい。実際のところ司馬衷周りを話し始めれば五胡十六国のカオスをのぞいてみたい人が真っ先に殺される八王の乱にぶち当たるわけでして、しかもこれの発端が祖父世代、司馬師から。このへんをそれなりに把握してもらうだけでも、ぶっちぎりでこの記事が厚くなります。さすがにそれはだるい。こうしたところからも、司馬衷の悪魔化が強化された、と見るべきでしょう。なので劉禅と同じ「最悪の愚君」扱いですが、そのルートについてはかなり違い「あの時代の流れの集約」とするのが相応しいのでしょう。
ひとは一人では何もできません。暗愚と呼ばれる人物であればなおのことです。乱世に至る潮流を食い止められなかったこと、そのものが一つの責任問題であるのも間違いのないこと。けれどもそこを隠れ蓑にして、あの時代にいるもっと糾弾すべき人物を見過してはならん、と思うのです。現代においても、そうしたスケープゴートを立てることによる責任逃れなど、決して許してはなりません。
まあ、それはそれとしてクソ無能肉粥おじさんとして擦ると……楽しい、んです、よねっ!
○17位 宇文贇(559-578-579譲位-580 南北朝後期・北周宣帝)
北周を弱体化させ、暴政と乱行。(DeepSeek)
変態趣味と暴政で北周を揺らしたが、楊堅が有能すぎてフォロー。(ChatGPT)
北周の基盤を1年で崩壊させた。5人の皇后を同時に立てる、臣下への拷問、酒色三昧。22歳で死ぬまでの異常な享楽ぶり。(Claude)
5人の皇后を立てる、自分だけ皇帝を辞めて上皇になり遊び呆ける、理不尽な粛清。北周滅亡の原因。(Gemini)
北周宣帝。異常残虐・奢侈・家族虐待。短命王朝の乱因。(Grok)
享楽に溺れ、北周を衰退させた。(Copilot)
偏差順位22:結構分散
実質の隋文帝にバトン渡しニキ。詩経文王も言ってます、「宜鑒于殷 駿命不易」ーー殷を見れば明らかなように、天命とは保つことが重要、だがなしうるのは極めて難しい。なら北周の天命が残念な後継者で尽きるのもやむを得ないよ、ねーっ!
そんなわけで隋文帝の禅譲正当化という視点を踏まえると「なにもかもがほんまかいな」みたいな気持ちにしかなれません。だって、上に載ってる悪行、全部があまりにテンプレなんですもの。もちろんここもこれです、そうじゃないかもしれないし、そうかもしれない。確定的なことは何も言えません。
ただ、事実として北周は宇文贇の父たる武帝宇文邕が華北統一を成し遂げて、直後に死に、直後に劇的衰退を遂げました。この流れをようやく加冠したばかりの弱帝になすりつけるの無理ありませんかね? とはどうしても思ってしまうのです。皇帝親征が当たり前だった北魏初期ならともかく、基本的に宮殿鎮座がデフォになる宣帝の立場で国体が傾くように統治を主体的にコントロールするのは難しい気がします。もちろん、全部を楊堅楊堅と言い過ぎちゃうのはさすがに陰謀論史観じみていますが、とはいえいくら何でも周隋革命っておきれいにすぎる、スマートにすぎる禅譲の流れなんですよね。ここに独孤伽羅の関与疑うなって方が無理じゃない?
あ、すみません間違えた、間違えた。楊堅でしたね。あのおじさん奥さんにめちゃくちゃ助けられてそうだし、なんならコントロールもされてそうだなんて、そんなそんな。
○予告
明日は高緯・劉劭・劉昱。南北朝激ヤバ君主祭です。ここで前後二人はまだ後世人による筆誅を可能性として論じることが出来るんですが、真ん中については……どうあがいても無理。なんなんだこいつは。逆に、こいつを越えてしまう上位君主どももなんなんだ、という感じです。
明日も戦慄、戦慄ゥ!
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