三國志 on 世説新語

ヘツポツ斎

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魏編3 前半世代編

孔融1  小人了了

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孔文舉年十歲,隨父到洛。時李元禮有盛名,為司隸校尉,詣門者皆俊才清稱及中表親戚乃通。文舉至門,謂吏曰:「我是李府君親。」既通,前坐。元禮問曰:「君與僕有何親?」對曰:「昔先君仲尼與君先人伯陽,有師資之尊,是僕與君奕世為通好也。」元禮及賓客莫不奇之。太中大夫陳韙後至,人以其語語之。韙曰:「小時了了,大未必佳!」文舉曰:「想君小時,必當了了!」韙大踧踖。(言語3)


孔融こうゆうは十歳ころの時、父親に従って
洛陽らくように出向いたことがあった。

この時、洛陽では李膺りようというひとが
めっちゃ声望を集めていた。

司隸校尉しれいこうい、つまり首都圏の守備隊長、
みたいな地位についており、
面会する人は声望高いか
その清名をよく知られたもの、
の、いずれかに限られていた。

孔融、李膺の家の
門前にまで行くと、門番に言う。

「私は李膺さまの親族です」

あまりにもその堂々としたいい切りに、
門番も特に疑わずに孔融を通した。

一方で、びっくりしたのは李膺である。
初対面のちみっこが、
いきなり目の前に現れたのだ。

「おや? 君と私に縁はないはずだが、
 どういった繋がりなのだろうな?」

すると孔融、答える。

「私の先祖、孔子こうしが、
 あなたのご先祖さま、老子ろうし
 師弟の付き合いにありました。

 ならば、私とあなた様にも、
 よしみがある、と言えるでしょう」

これを言う機知、
これを衆人の前で言い切る度胸。

こいつはただもんじゃないぞ、と
李膺や周りの人たちは思うのだった。

そこに、一人の男が遅れてやって来る。

男の名は陳韙ちんい
太中大夫たいちゅうたいふという高官についているので、
陳羣ちんぐん陳泰ちんたいの親類かもしれない。

陳韙、周りが孔融のことをしきりに
褒めやそすのを聞いて、言う。

「幼い頃に賢かったからと言って、
 大きくなってもなお
 素晴らしくあるとも限るまいに!」

すると孔融、すかさず返した。

「なるほど、ではあなた様は、
 さぞ幼き頃に
 賢くあられたのでしょうね!」

陳韙、ギャフンとした。


 ○


孔融
ここで平然とこういうこと言っちゃうような人だからソソサマの前でも同じようにへーぜんと強い言葉を叩きつけたりとかする。そのせいで殺されたんじゃねえのこのひと、とかは思う。

李膺
清廉な大物として知られるも、三國志さんごくしのきっかけとなった清流派への弾圧、いわゆる党錮とうこの禁にて下獄され、殺されている。三國志前夜の大者の一人、といういでたちである。

陳韙
もし陳羣たちと同族だとしたら、潁川えいせん陳氏。李膺と同郷の人、という事になる。そして潁川陳氏と潁川荀氏が通婚していたことを考えると、きっと潁川李氏もその通婚の輪に加わっていたことだろう。なるほど、親戚枠ね……。
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