18 / 41
第一章 ー魔王と出会い編ー
第16話 ―ミリアと救出―
しおりを挟む
ホーミン家族の救出を命令されたミリアは親衛隊の待機室へと駆け込む。
待機室と言っても騎士団にとっての執務室も兼ねているので机や椅子、棚などの家具類も配置されている。
特筆すべきは仮眠用の簡易ベッドがあることと奥には各種装備が置かれている着替え部屋があることぐらいだろうか。
「…どうしたんだ、隊長。そんなに慌てて」
「ガレオ!居てくれて助かった!」
ガレオと呼ばれた中年の男は親衛隊の副隊長である。
ずんぐりとした背の低い筋骨隆々のの外見だが隊長であるミリアより事務作業は得意だった。
今日も今日とて姫様の所に入り浸りの彼女に代わって雑務を片付けていた所だ。
「動けるものは討伐装備を整えて南門手前にあるスラム街へ行くぞ」
「討伐装備とは、穏やかじゃないね」
この親衛隊騎士団には大きく3つの装備が準備してある。
祭事などで使用する儀礼装備。
日常の巡回などで最も多く使う平時装備。
そして街の外に出て増え過ぎた魔物などを狩る際の討伐装備。
要するに討伐装備とは一番の重装備である。
ミリアはそれを用意するようにと伝えたのだ。
「詳しくは道中で話す。今はとにかく従ってくれ」
「了解ですよ」
その場にいた隊員と非番で動けるものを集めたミリア達はスラム街へと急いだ。
城内で警備にあたっているものは動かさなかった。
ルザード大臣に勘付かれる恐れがあったからだ。
「隊長様からのお達しだ!急げよっ!」
ガレオが声をかけると同時に部屋の中は慌ただしく動き出した。
ーーーーーーーーー
ーーーーーー
「ここだな」
ミリア達親衛隊は装備を整え、スラム街でも外れにある朽ちかけた屋敷の前に来ていた。
集まった隊員は全部で12人。
急に集めたにしてはなかなかの人数だ。
ミリアからガレオ達への説明は既に済ませてある。
ホーミン医師に世話になった者も少なくないので皆やる気は満々だ。
「では予定通り三班に分ける。ガレオ達は裏口へ。二班は玄関ホールで逃げるやつが居ないか見張りを。私の班は正面から突入し内部を捜索する。第一目標はホーミン医師のご家族の救出だ。敵の捕縛や対応は二の次でいい。間違えるなよ」
「「はっ」」
「では突入だ!」
騎士達は一斉にそれぞれの持ち場へと突き進む。
外からみた屋敷はそれ程大きくない。
せいぜい10~12部屋程度だろう。
ミリアは自分の班の先陣を切り、内部へと侵入する。
入り口を潜ると外観と同じ様に内部もボロボロだった。
玄関ホールの中央には大きなシャンデリアが転がっている。
二階部分まで吹き抜けの玄関ホールは左右対称にカーブを描く階段とそれぞれ階段の上と下に廊下が伸びている。
ここまではミリア達の予想通り玄関ホールを中心にした左右対称の間取りのようだ。
事前の打ち合わせ通りミリアの班は入って左の廊下へ進む。
出来るだけ音は立てないように気を配りながら部屋を一つずつ確認していく。
その作業を何回か繰り返した後、不意に鍵のかかった部屋を見つけた。
「隊長」
扉に耳をあて内部の様子を探っていた隊員がミリアに声をかけた。
どうやらここで当たりのようだ。
「分かっている。皆、準備はいいな?」
ミリアと同じく内部を調査していた全員が頷く。
そして、隊員の1人が鍵のかかった扉を蹴破った。
そして同時に、
「王国騎士団だ!ここにいる全員、確保させてもらう!」
ミリアが叫んだ。
部屋の中にいたのはゴロツキ風情が3人。
手にはそれぞれナイフと棍棒、杖を持っている。
更に部屋の奥には女性が倒れているのが目に入る。
「魔術師がいるぞ。気をつけろ!」
「クソっ!どこからここを嗅ぎ付けやがった!」
ナイフを持ったゴロツキがミリア達に襲いかかる。
だが、ミリアはあっさりと身をかわし、そのまま後方にいる隊員に任せた。
取りあえず足払いだけかけてバランスを崩す。
前へとつんのめったゴロツキはそのまま2歩ほど進み、ようやく止まって顔を上げた先には騎士の固く握られた手甲付きの拳が待ちかまえていた。
「このっ!」
次いで棍棒の男がミリアの頭を叩き割ろうと棍棒を振り下ろす。
彼女はこれもあっさりと回避し、腰に差した細剣を抜く。
流石にこの刺突用の剣では棍棒を受けることは出来ない。
故に受け流す。
横に払われた棍棒の二撃目をミリアはその細い剣で捌いた。
同時に伸びた腕へと細剣を差し込む。
「ぐあぁああーー」
男の悲鳴があがる。
血と共に取りこぼした棍棒はすかさず蹴り飛ばす。
これで残りは1人。
「まだやるか?大人しくしていれば痛い思いはしないで済むぞ?」
杖を構えた男はミリアの最終通告を無視して呪文を唱えた。
「伝え!風の導き手とその囁き声を!ウィンドシグナルス」
魔術の発動と同時にミリアが魔術師を取り押さえる。
当然、魔術の発動に必要な杖は真っ先に取り上げた。
だが、魔術を阻止できたかはミリアにはわからなかった。
少なくとも自分を含め隊員達に影響は出ていないようだ。
「隊長!奥で縛られてたのはホーミン先生の娘さんです」
気絶しているのかぐったりして動かない。
痣や擦り傷はあるが大きな出血などは見当たらなかった。
内臓や骨を痛めている可能性はあるがそれこそホーミン先生に診てもらう方が確実だろう。
「あとは孫娘さんですね」
「それより最後の魔術。風系統のようだから誰かに合図を送ったのかもしれない。全員気を引き締めろ」
「「はっ」」
縛り上げたゴロツキ達を問い詰めたい所だが全員口を割る気はないようだった。
試しに「子供はどうした?」と問いかけて見るがゴロツキ達は揃って視線を外し、ふてくされt表情のまま口を閉じている。
「隊長、彼らを締め上げて吐かせましょう。」
「ダメだ。今は時間が惜しい。最低でもこの屋敷を全て調べてからだ」
「…了解です」
もう少し人数がいれば尋問組と探索組に分けられたのだが仕方ない。
また別の隊員が報告を上げる。
「隊長、僅かですが剣戟の音が聞こえます。裏口の方です」
やはり先程の魔術で仲間に何か合図を送っていたようだ。
「上から足音もしなかったですし、こっちから出てくる様子も無かったですから反対側の部屋に隠れていたんですかね」
「そうだな…。一度彼女を正面の班に預けて外に出そう。その後残りの部屋の捜索を続ける。」
「副隊長の所には行かなくて大丈夫ですか?」
「ガレオなら大丈夫だろう。」
こちらに3人。
魔術師がいたのは予想外だったが、恐らく反対側に潜んでいた敵も同程度だろう。
仮にも副隊長を始めとした4人の親衛隊に敵うとは思えない。
もし、彼らが手に負えない状況になるとしたら…人質を盾にされた場合。
気付けばミリアにも聞こえていた剣戟の音は聞こえて来なくなっていた。
「…やはり私が様子を見てこよう。三人は彼女を頼む。」
「了解です」
ミリアは駆ける。
身の軽さと1人だけ軽鎧のため、殆ど音は立てずに内部から裏口へと進む。
取り残された隊員達は、
「殆ど1人で片づけちゃいそうですね」
「だね。さすが隊長です」
誘拐犯達に同情していた。
ーーーーーーーーー
裏口の戦闘は膠着状態に陥っていた。
理由はミリアの予想通り、人質を盾にされたためだ。
「もうお前らは取り囲まれてるんだ。大人しく捕まった方が身のためだぞ」
「ウルサい!人質がいる限りテメェ等は手が出せないだろ!大人しくそこをどきやがれっ!」
副隊長ガレオ達の前にはゴロツキ風情の男が3人。それぞれナイフとショートソードで武装している。
その内の1人の肩には目隠し、猿轡で拘束されている子供が乗っている。
必死で暴れているが手足を縛られている状況では対した抵抗にはなっていない。
最初の遭遇は互いに不意をつかれた形だった。
人質を連れて逃げようとする誘拐犯達と裏口から中に入ろうとしたガレオ達がちょうど同時に裏口を開けた為だ。
驚いた双方が思わず剣を抜き、数度剣を交えたが誘拐犯達が人質を盾にしたため、現在の状況になった。
ガレオ達からすると人質は一番奥の男が連れている。
建物の内部にすら入れていない現状ではとても一瞬の隙をついて救出という訳にはいかない。
かと言ってここで誘拐犯達を逃がす訳にはいかない。
どうしたものか、と頭を働かせるガレオ達に転機は突然訪れた。
「ぐあっ」
一番奥にいた…人質を連れていた男が突然短い悲鳴を挙げて崩れ落ちる。
その背後から右手に細剣を構え、逆の手で子供を抱えたミリアが姿を現した。
「なっ」
「今だ!取り押さえろ!」
驚く誘拐犯達にガレオの怒号。
残りの誘拐犯も程なく捕縛を終える。
「助かりました、隊長」
「気にしないでくれ。人質優先と伝えたのは私だ。それよりこれで2人共助ける事が出来た。私の班は2人を連れて城へ戻る。ガレオ達はー」
「屋敷の残りの調査と犯人達の連行ですね、わかっとります」
「では、頼んだぞ」
後処理をガレオ達に任せたミリアは急ぎ帰路に就く。
これで憂いはなくなった。
王族に…いや、姫様に仇なすルザード大臣を懲らしめることが出来るのだ。
ミリアの歩調は自然と早まった。
待機室と言っても騎士団にとっての執務室も兼ねているので机や椅子、棚などの家具類も配置されている。
特筆すべきは仮眠用の簡易ベッドがあることと奥には各種装備が置かれている着替え部屋があることぐらいだろうか。
「…どうしたんだ、隊長。そんなに慌てて」
「ガレオ!居てくれて助かった!」
ガレオと呼ばれた中年の男は親衛隊の副隊長である。
ずんぐりとした背の低い筋骨隆々のの外見だが隊長であるミリアより事務作業は得意だった。
今日も今日とて姫様の所に入り浸りの彼女に代わって雑務を片付けていた所だ。
「動けるものは討伐装備を整えて南門手前にあるスラム街へ行くぞ」
「討伐装備とは、穏やかじゃないね」
この親衛隊騎士団には大きく3つの装備が準備してある。
祭事などで使用する儀礼装備。
日常の巡回などで最も多く使う平時装備。
そして街の外に出て増え過ぎた魔物などを狩る際の討伐装備。
要するに討伐装備とは一番の重装備である。
ミリアはそれを用意するようにと伝えたのだ。
「詳しくは道中で話す。今はとにかく従ってくれ」
「了解ですよ」
その場にいた隊員と非番で動けるものを集めたミリア達はスラム街へと急いだ。
城内で警備にあたっているものは動かさなかった。
ルザード大臣に勘付かれる恐れがあったからだ。
「隊長様からのお達しだ!急げよっ!」
ガレオが声をかけると同時に部屋の中は慌ただしく動き出した。
ーーーーーーーーー
ーーーーーー
「ここだな」
ミリア達親衛隊は装備を整え、スラム街でも外れにある朽ちかけた屋敷の前に来ていた。
集まった隊員は全部で12人。
急に集めたにしてはなかなかの人数だ。
ミリアからガレオ達への説明は既に済ませてある。
ホーミン医師に世話になった者も少なくないので皆やる気は満々だ。
「では予定通り三班に分ける。ガレオ達は裏口へ。二班は玄関ホールで逃げるやつが居ないか見張りを。私の班は正面から突入し内部を捜索する。第一目標はホーミン医師のご家族の救出だ。敵の捕縛や対応は二の次でいい。間違えるなよ」
「「はっ」」
「では突入だ!」
騎士達は一斉にそれぞれの持ち場へと突き進む。
外からみた屋敷はそれ程大きくない。
せいぜい10~12部屋程度だろう。
ミリアは自分の班の先陣を切り、内部へと侵入する。
入り口を潜ると外観と同じ様に内部もボロボロだった。
玄関ホールの中央には大きなシャンデリアが転がっている。
二階部分まで吹き抜けの玄関ホールは左右対称にカーブを描く階段とそれぞれ階段の上と下に廊下が伸びている。
ここまではミリア達の予想通り玄関ホールを中心にした左右対称の間取りのようだ。
事前の打ち合わせ通りミリアの班は入って左の廊下へ進む。
出来るだけ音は立てないように気を配りながら部屋を一つずつ確認していく。
その作業を何回か繰り返した後、不意に鍵のかかった部屋を見つけた。
「隊長」
扉に耳をあて内部の様子を探っていた隊員がミリアに声をかけた。
どうやらここで当たりのようだ。
「分かっている。皆、準備はいいな?」
ミリアと同じく内部を調査していた全員が頷く。
そして、隊員の1人が鍵のかかった扉を蹴破った。
そして同時に、
「王国騎士団だ!ここにいる全員、確保させてもらう!」
ミリアが叫んだ。
部屋の中にいたのはゴロツキ風情が3人。
手にはそれぞれナイフと棍棒、杖を持っている。
更に部屋の奥には女性が倒れているのが目に入る。
「魔術師がいるぞ。気をつけろ!」
「クソっ!どこからここを嗅ぎ付けやがった!」
ナイフを持ったゴロツキがミリア達に襲いかかる。
だが、ミリアはあっさりと身をかわし、そのまま後方にいる隊員に任せた。
取りあえず足払いだけかけてバランスを崩す。
前へとつんのめったゴロツキはそのまま2歩ほど進み、ようやく止まって顔を上げた先には騎士の固く握られた手甲付きの拳が待ちかまえていた。
「このっ!」
次いで棍棒の男がミリアの頭を叩き割ろうと棍棒を振り下ろす。
彼女はこれもあっさりと回避し、腰に差した細剣を抜く。
流石にこの刺突用の剣では棍棒を受けることは出来ない。
故に受け流す。
横に払われた棍棒の二撃目をミリアはその細い剣で捌いた。
同時に伸びた腕へと細剣を差し込む。
「ぐあぁああーー」
男の悲鳴があがる。
血と共に取りこぼした棍棒はすかさず蹴り飛ばす。
これで残りは1人。
「まだやるか?大人しくしていれば痛い思いはしないで済むぞ?」
杖を構えた男はミリアの最終通告を無視して呪文を唱えた。
「伝え!風の導き手とその囁き声を!ウィンドシグナルス」
魔術の発動と同時にミリアが魔術師を取り押さえる。
当然、魔術の発動に必要な杖は真っ先に取り上げた。
だが、魔術を阻止できたかはミリアにはわからなかった。
少なくとも自分を含め隊員達に影響は出ていないようだ。
「隊長!奥で縛られてたのはホーミン先生の娘さんです」
気絶しているのかぐったりして動かない。
痣や擦り傷はあるが大きな出血などは見当たらなかった。
内臓や骨を痛めている可能性はあるがそれこそホーミン先生に診てもらう方が確実だろう。
「あとは孫娘さんですね」
「それより最後の魔術。風系統のようだから誰かに合図を送ったのかもしれない。全員気を引き締めろ」
「「はっ」」
縛り上げたゴロツキ達を問い詰めたい所だが全員口を割る気はないようだった。
試しに「子供はどうした?」と問いかけて見るがゴロツキ達は揃って視線を外し、ふてくされt表情のまま口を閉じている。
「隊長、彼らを締め上げて吐かせましょう。」
「ダメだ。今は時間が惜しい。最低でもこの屋敷を全て調べてからだ」
「…了解です」
もう少し人数がいれば尋問組と探索組に分けられたのだが仕方ない。
また別の隊員が報告を上げる。
「隊長、僅かですが剣戟の音が聞こえます。裏口の方です」
やはり先程の魔術で仲間に何か合図を送っていたようだ。
「上から足音もしなかったですし、こっちから出てくる様子も無かったですから反対側の部屋に隠れていたんですかね」
「そうだな…。一度彼女を正面の班に預けて外に出そう。その後残りの部屋の捜索を続ける。」
「副隊長の所には行かなくて大丈夫ですか?」
「ガレオなら大丈夫だろう。」
こちらに3人。
魔術師がいたのは予想外だったが、恐らく反対側に潜んでいた敵も同程度だろう。
仮にも副隊長を始めとした4人の親衛隊に敵うとは思えない。
もし、彼らが手に負えない状況になるとしたら…人質を盾にされた場合。
気付けばミリアにも聞こえていた剣戟の音は聞こえて来なくなっていた。
「…やはり私が様子を見てこよう。三人は彼女を頼む。」
「了解です」
ミリアは駆ける。
身の軽さと1人だけ軽鎧のため、殆ど音は立てずに内部から裏口へと進む。
取り残された隊員達は、
「殆ど1人で片づけちゃいそうですね」
「だね。さすが隊長です」
誘拐犯達に同情していた。
ーーーーーーーーー
裏口の戦闘は膠着状態に陥っていた。
理由はミリアの予想通り、人質を盾にされたためだ。
「もうお前らは取り囲まれてるんだ。大人しく捕まった方が身のためだぞ」
「ウルサい!人質がいる限りテメェ等は手が出せないだろ!大人しくそこをどきやがれっ!」
副隊長ガレオ達の前にはゴロツキ風情の男が3人。それぞれナイフとショートソードで武装している。
その内の1人の肩には目隠し、猿轡で拘束されている子供が乗っている。
必死で暴れているが手足を縛られている状況では対した抵抗にはなっていない。
最初の遭遇は互いに不意をつかれた形だった。
人質を連れて逃げようとする誘拐犯達と裏口から中に入ろうとしたガレオ達がちょうど同時に裏口を開けた為だ。
驚いた双方が思わず剣を抜き、数度剣を交えたが誘拐犯達が人質を盾にしたため、現在の状況になった。
ガレオ達からすると人質は一番奥の男が連れている。
建物の内部にすら入れていない現状ではとても一瞬の隙をついて救出という訳にはいかない。
かと言ってここで誘拐犯達を逃がす訳にはいかない。
どうしたものか、と頭を働かせるガレオ達に転機は突然訪れた。
「ぐあっ」
一番奥にいた…人質を連れていた男が突然短い悲鳴を挙げて崩れ落ちる。
その背後から右手に細剣を構え、逆の手で子供を抱えたミリアが姿を現した。
「なっ」
「今だ!取り押さえろ!」
驚く誘拐犯達にガレオの怒号。
残りの誘拐犯も程なく捕縛を終える。
「助かりました、隊長」
「気にしないでくれ。人質優先と伝えたのは私だ。それよりこれで2人共助ける事が出来た。私の班は2人を連れて城へ戻る。ガレオ達はー」
「屋敷の残りの調査と犯人達の連行ですね、わかっとります」
「では、頼んだぞ」
後処理をガレオ達に任せたミリアは急ぎ帰路に就く。
これで憂いはなくなった。
王族に…いや、姫様に仇なすルザード大臣を懲らしめることが出来るのだ。
ミリアの歩調は自然と早まった。
0
あなたにおすすめの小説
敵に貞操を奪われて癒しの力を失うはずだった聖女ですが、なぜか前より漲っています
藤谷 要
恋愛
サルサン国の聖女たちは、隣国に征服される際に自国の王の命で殺されそうになった。ところが、侵略軍将帥のマトルヘル侯爵に助けられた。それから聖女たちは侵略国に仕えるようになったが、一か月後に筆頭聖女だったルミネラは命の恩人の侯爵へ嫁ぐように国王から命じられる。
結婚披露宴では、陛下に側妃として嫁いだ旧サルサン国王女が出席していたが、彼女は侯爵に腕を絡めて「陛下の手がつかなかったら一年後に妻にしてほしい」と頼んでいた。しかも、侯爵はその手を振り払いもしない。
聖女は愛のない交わりで神の加護を失うとされているので、当然白い結婚だと思っていたが、初夜に侯爵のメイアスから体の関係を迫られる。彼は命の恩人だったので、ルミネラはそのまま彼を受け入れた。
侯爵がかつての恋人に似ていたとはいえ、侯爵と孤児だった彼は全く別人。愛のない交わりだったので、当然力を失うと思っていたが、なぜか以前よりも力が漲っていた。
※全11話 2万字程度の話です。
【完結】捨て去られた王妃は王宮で働く
ここ
ファンタジー
たしかに私は王妃になった。
5歳の頃に婚約が決まり、逃げようがなかった。完全なる政略結婚。
夫である国王陛下は、ハーレムで浮かれている。政務は王妃が行っていいらしい。私は仕事は得意だ。家臣たちが追いつけないほど、理解が早く、正確らしい。家臣たちは、王妃がいないと困るようになった。何とかしなければ…
妻からの手紙~18年の後悔を添えて~
Mio
ファンタジー
妻から手紙が来た。
妻が死んで18年目の今日。
息子の誕生日。
「お誕生日おめでとう、ルカ!愛してるわ。エミリア・シェラード」
息子は…17年前に死んだ。
手紙はもう一通あった。
俺はその手紙を読んで、一生分の後悔をした。
------------------------------
最低のEランクと追放されたけど、実はEXランクの無限増殖で最強でした。
みこみこP
ファンタジー
高校2年の夏。
高木華音【男】は夏休みに入る前日のホームルーム中にクラスメイトと共に異世界にある帝国【ゼロムス】に魔王討伐の為に集団転移させれた。
地球人が異世界転移すると必ずDランクからAランクの固有スキルという世界に1人しか持てないレアスキルを授かるのだが、華音だけはEランク・【ムゲン】という存在しない最低ランクの固有スキルを授かったと、帝国により死の森へ捨てられる。
しかし、華音の授かった固有スキルはEXランクの無限増殖という最強のスキルだったが、本人は弱いと思い込み、死の森を生き抜く為に無双する。
クラス転移したけど、皆さん勘違いしてません?
青いウーパーと山椒魚
ファンタジー
加藤あいは高校2年生。
最近ネット小説にハマりまくっているごく普通の高校生である。
普通に過ごしていたら異世界転移に巻き込まれた?
しかも弱いからと森に捨てられた。
いやちょっとまてよ?
皆さん勘違いしてません?
これはあいの不思議な日常を書いた物語である。
本編完結しました!
相変わらず話ごちゃごちゃしていると思いますが、楽しんでいただけると嬉しいです!
1話は1000字くらいなのでササッと読めるはず…
愛された側妃と、愛されなかった正妃
編端みどり
恋愛
隣国から嫁いだ正妃は、夫に全く相手にされない。
夫が愛しているのは、美人で妖艶な側妃だけ。
連れて来た使用人はいつの間にか入れ替えられ、味方がいなくなり、全てを諦めていた正妃は、ある日側妃に子が産まれたと知った。自分の子として育てろと無茶振りをした国王と違い、産まれたばかりの赤ん坊は可愛らしかった。
正妃は、子育てを通じて強く逞しくなり、夫を切り捨てると決めた。
※カクヨムさんにも掲載中
※ 『※』があるところは、血の流れるシーンがあります
※センシティブな表現があります。血縁を重視している世界観のためです。このような考え方を肯定するものではありません。不快な表現があればご指摘下さい。
裏切られ続けた負け犬。25年前に戻ったので人生をやり直す。当然、裏切られた礼はするけどね
竹井ゴールド
ファンタジー
冒険者ギルドの雑用として働く隻腕義足の中年、カーターは裏切られ続ける人生を送っていた。
元々は食堂の息子という人並みの平民だったが、
王族の継承争いに巻き込まれてアドの街の毒茸流布騒動でコックの父親が毒茸の味見で死に。
代わって雇った料理人が裏切って金を持ち逃げ。
父親の親友が融資を持ち掛けるも平然と裏切って借金の返済の為に母親と妹を娼館へと売り。
カーターが冒険者として金を稼ぐも、後輩がカーターの幼馴染に横恋慕してスタンピードの最中に裏切ってカーターは片腕と片足を損失。カーターを持ち上げていたギルマスも裏切り、幼馴染も去って後輩とくっつく。
その後は負け犬人生で冒険者ギルドの雑用として細々と暮らしていたのだが。
ある日、人ならざる存在が話しかけてきた。
「この世界は滅びに進んでいる。是正しなければならない。手を貸すように」
そして気付けは25年前の15歳にカーターは戻っており、二回目の人生をやり直すのだった。
もちろん、裏切ってくれた連中への返礼と共に。
老聖女の政略結婚
那珂田かな
ファンタジー
エルダリス前国王の長女として生まれ、半世紀ものあいだ「聖女」として太陽神ソレイユに仕えてきたセラ。
六十歳となり、ついに若き姪へと聖女の座を譲り、静かな余生を送るはずだった。
しかし式典後、甥である皇太子から持ち込まれたのは――二十歳の隣国王との政略結婚の話。
相手は内乱終結直後のカルディア王、エドモンド。王家の威信回復と政権安定のため、彼には強力な後ろ盾が必要だという。
子も産めない年齢の自分がなぜ王妃に? 迷いと不安、そして少しの笑いを胸に、セラは決断する。
穏やかな余生か、嵐の老後か――
四十歳差の政略婚から始まる、波乱の日々が幕を開ける。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる