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1章
1話
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君たちは書類の惨状から目を背け、ソファーに座る。作りこんだ通りの事務所の間取りで、君は手に取るように理解する。二人分のお茶を汲もうと給湯室に足を運んだ。
ふと、尻ポケットにあるスマホに手が行く。そして何気なくスマホの電源を入れれば、何も操作せずとも君が見慣れたサイトのウィンドウが二つ開かれる。電子化したTRPGプレイヤーが数度目にしたことがあるであろうサイト『うるきゃら』だ。なんでも、ウルタールの猫から引用されたらしい。……そして、開かれたキャラクターに君は見覚えがある。虹橋王道と書かれたそのウィンドウは詳細に君の探索者の数値を記録している。年齢、性別、身長、体重、出身、職業、カラーリング……。すべて君が設定した彼のものだった。
もう一つのウィンドウは『タラソフォビア』。部屋を細やかに設定し、ある程度のギミックを仕込むことも可能なそのサービスは、エモーショナルを重要視するようになってきた最近のCoCにおいてよく使われるサイトだった。君のコマともう一つ、玉羅のコマが盤上に置かれている。そして左上に表示されるのは二人そろってHPがマイナスされた値だった。MPやSAN値などは一切削れていないことがわかる。君はいくら思考を巡らせてもわからない。
そうしていると、ダイスロールのアイコンが点滅する。逡巡していると、盤上に二つの十面ダイスが落ちてくる。
表示された値は……。
[アイディア] ▼62
君は電撃のようなアイディアが浮かぶ。『うるきゃら』を指定し、開く。そうして技能を一つずつ確認すると、君は一つを除いて一切の技能が成長していないこと。そして、その一つとは『クトゥルフ神話』。この値が
「あの、どうしました?」
玉羅が君を心配して声をかけに来たようだ。そんなに長く考え込んでいたのかと返答しようとしたところ、事務所の扉がガチャリと開く。
「おや失礼、探偵様。いらっしゃいましたか」
「……あんたは?」
「ご依頼にまいりました、ウトウと申します。横の彼女は……、助手でしょうか?」
「えと、私は「ああ……幸運だ。こんなお美しい女性と出会えるなんて」
「綺麗、なんて、えへへ」
「……ああ、探偵様、どうか私の依頼をお聞きくださいませんか?」
目の前の怪しい男は、物腰はやわらかなものの有無を言わせぬ威圧感がある。
君は一体、どうするだろうか?
ふと、尻ポケットにあるスマホに手が行く。そして何気なくスマホの電源を入れれば、何も操作せずとも君が見慣れたサイトのウィンドウが二つ開かれる。電子化したTRPGプレイヤーが数度目にしたことがあるであろうサイト『うるきゃら』だ。なんでも、ウルタールの猫から引用されたらしい。……そして、開かれたキャラクターに君は見覚えがある。虹橋王道と書かれたそのウィンドウは詳細に君の探索者の数値を記録している。年齢、性別、身長、体重、出身、職業、カラーリング……。すべて君が設定した彼のものだった。
もう一つのウィンドウは『タラソフォビア』。部屋を細やかに設定し、ある程度のギミックを仕込むことも可能なそのサービスは、エモーショナルを重要視するようになってきた最近のCoCにおいてよく使われるサイトだった。君のコマともう一つ、玉羅のコマが盤上に置かれている。そして左上に表示されるのは二人そろってHPがマイナスされた値だった。MPやSAN値などは一切削れていないことがわかる。君はいくら思考を巡らせてもわからない。
そうしていると、ダイスロールのアイコンが点滅する。逡巡していると、盤上に二つの十面ダイスが落ちてくる。
表示された値は……。
[アイディア] ▼62
君は電撃のようなアイディアが浮かぶ。『うるきゃら』を指定し、開く。そうして技能を一つずつ確認すると、君は一つを除いて一切の技能が成長していないこと。そして、その一つとは『クトゥルフ神話』。この値が
「あの、どうしました?」
玉羅が君を心配して声をかけに来たようだ。そんなに長く考え込んでいたのかと返答しようとしたところ、事務所の扉がガチャリと開く。
「おや失礼、探偵様。いらっしゃいましたか」
「……あんたは?」
「ご依頼にまいりました、ウトウと申します。横の彼女は……、助手でしょうか?」
「えと、私は「ああ……幸運だ。こんなお美しい女性と出会えるなんて」
「綺麗、なんて、えへへ」
「……ああ、探偵様、どうか私の依頼をお聞きくださいませんか?」
目の前の怪しい男は、物腰はやわらかなものの有無を言わせぬ威圧感がある。
君は一体、どうするだろうか?
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