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離婚と再婚
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「おかえりなさい萌恋ちゃん。立ち尽くしちゃってどうかしたの?」
「体調でも悪い?」と困り顔で聞いてくる見ず知らずの女性。
でもそんな女性よりも数倍萌恋の方が困っているであろう。
何せ、見ず知らずの女が自宅のリビングから現れて、おかえりなさい、と言ってきたのだから。
不意に知り合いのような振る舞いを他人にされるとこんなにも動揺するものなのか、ということを今、身をもって経験させられた。
「えぇー…っと、すみません、どちら様ですか?」
「あっ!父か母の会社関係の人とか…?もしくはお友達?」
「あぁ!そうだ、そうよね、ごめんなさい!まずは挨拶、自己紹介よね!!」
貴女は誰だ、と丁寧に聞くと女性はハッとした表情でこう口にした。
「私、西宮明音です!そして、今日から萌恋ちゃんの新しいお母さんになります!!」
「……………はにゃ?」
自己紹介を求めた末、予想外…否、予想はしていたが一番そうであって欲しくなかった事柄を突きつけられ、ついつい「はにゃ?」と言ってしまった。
決してぶりッ子したとかそんなんじゃない。
だって顔は真っ青で、目は変に据わっているのだから。
「私、この度幸治さ…んんっ!萌恋ちゃんのお父さんと再婚することになったのよ!これからよろしくね!」
ニカっと笑う明音さん…だが明音さんの声なんてほぼほぼ聞こえない。
辛うじて聞き取ることに成功したのは、咳払いと、父と再婚することになった、という断片的な情報のみだ。
一番大事なところを聞き取れて良かった。
「……取り敢えず、お父さん呼んできてくれます?」
このまま明音さんと話していても埒が明かない。
どう行動するにせよ、父親の話を聞かないことには何も出来ないからだ。
明音さんの話の審議も、母と弟の行方も、すべて父の口から直接聞き出さなくてはならない。
「幸治さん!萌恋ちゃんが呼んでるから来て!!」
大きな声で二階に向かって声を掛ける明音さん。
その呼び掛けに呼応するように、バタバタと、大きな足音を鳴らし、一気に階段を掛け下りる足音が聞こえる。
長年この家に父と住む萌恋には分かる。この足音は間違いなく父、幸治のものであると。
「萌恋、おかえり。どうしたんだい?」
階段から降りてきて私を見るなり飄々とした顔つきで問い掛ける彼。
彼にはこの状況のヤバさが理解できていないのだろうか、と娘は小さく嘆息し、
「これ、どう言うこと?この女性…明音さんって誰?母さんと颯太は?」
父へ疑問を全てぶつけた。
明音の存在、母親と弟の現在、彼女が知りたいことはこの2つ。それをストレートに口にした。
そして、懸念点であった、父は誤魔化さず、嘘をつかず、正しい事を応えてくれるのか……という心配も杞憂に終わることとなる。
だって父の返答は……
「__アイツとは別れた。颯太もアイツに引き取られたよ。彼女…明音は今の妻、お前の新しい母親だ」
清々しいほど最悪の返事が返ってきたのだから。
“アイツ”とは母親のことだろう。颯太とは5つ年下の弟である。
そんな二人を軽んじるような発言に、萌恋は激しい憤りを覚えた。
「別れたって何?何で?今の妻って…新しい母親って一体どう言うこと?ねぇ?」
「一気にいくつも質問するな。それにさっき言った言葉の通りだ」
「分かってる、だからどういうことか、って聞いてんの」
「…あぁ、そういうことか。」
先程の娘のように、父も、小さく嘆息し、その後、母との離婚の経緯など諸々、全てを吐き出した。
宝くじで600万当たったこと、その600万を不倫の慰謝料と手切れ金として全て母に渡し離婚したこと、離婚届を提出した際にそのまま再婚のため不倫相手の明音さんとの婚姻届を提出したこと。
「なんて最低な父親…!」
「…萌恋も知ってるだろう?元々アイツとは不仲だった。ずっと前から終わってたんだ!」
「だからって不倫して良い訳がないでしょ」
中学生の娘に正論を浴びせられる父。
どっちが親なのかまるで判らない。
「母さんは今どこにいるの?教えて。」
中学生、それはまだ未熟な子供であり、親がいないと生きられない。
でも、こんな父親と暮らすのはもう御免だ。責めて母親に引き取られたい。…と思うのは不完全な大人の正常な思考だろう。
「悪いが、俺もアイツの居場所を知らないんだ。手切れ金を渡した時に互いの連絡先をブロックしたしな」
「は?」
この男、頭のネジが外れたのだろうか?いや、元々外れてるのか。
どれだけ娘を落胆させ、失望させれば気が済むのだろうか。
「因みに、アイツと颯太もお前の連絡先もブロックしてるからな。俺も、颯太の連絡先もブロックしたしな」
最後に爆弾をもう1つ爆発させやがった彼。
彼女の怒りのボルテージが限界突破し、彼はビンタをお見舞いされた。
っていうか寧ろビンタ一発で済んでいることに感謝してほしい、という気持ちを抑え、これからについてを話すことにした。
もう済んでしまった事は仕方がない。今ある状況下で如何に生きるか、これからの未来が一番大切なのだ。
「体調でも悪い?」と困り顔で聞いてくる見ず知らずの女性。
でもそんな女性よりも数倍萌恋の方が困っているであろう。
何せ、見ず知らずの女が自宅のリビングから現れて、おかえりなさい、と言ってきたのだから。
不意に知り合いのような振る舞いを他人にされるとこんなにも動揺するものなのか、ということを今、身をもって経験させられた。
「えぇー…っと、すみません、どちら様ですか?」
「あっ!父か母の会社関係の人とか…?もしくはお友達?」
「あぁ!そうだ、そうよね、ごめんなさい!まずは挨拶、自己紹介よね!!」
貴女は誰だ、と丁寧に聞くと女性はハッとした表情でこう口にした。
「私、西宮明音です!そして、今日から萌恋ちゃんの新しいお母さんになります!!」
「……………はにゃ?」
自己紹介を求めた末、予想外…否、予想はしていたが一番そうであって欲しくなかった事柄を突きつけられ、ついつい「はにゃ?」と言ってしまった。
決してぶりッ子したとかそんなんじゃない。
だって顔は真っ青で、目は変に据わっているのだから。
「私、この度幸治さ…んんっ!萌恋ちゃんのお父さんと再婚することになったのよ!これからよろしくね!」
ニカっと笑う明音さん…だが明音さんの声なんてほぼほぼ聞こえない。
辛うじて聞き取ることに成功したのは、咳払いと、父と再婚することになった、という断片的な情報のみだ。
一番大事なところを聞き取れて良かった。
「……取り敢えず、お父さん呼んできてくれます?」
このまま明音さんと話していても埒が明かない。
どう行動するにせよ、父親の話を聞かないことには何も出来ないからだ。
明音さんの話の審議も、母と弟の行方も、すべて父の口から直接聞き出さなくてはならない。
「幸治さん!萌恋ちゃんが呼んでるから来て!!」
大きな声で二階に向かって声を掛ける明音さん。
その呼び掛けに呼応するように、バタバタと、大きな足音を鳴らし、一気に階段を掛け下りる足音が聞こえる。
長年この家に父と住む萌恋には分かる。この足音は間違いなく父、幸治のものであると。
「萌恋、おかえり。どうしたんだい?」
階段から降りてきて私を見るなり飄々とした顔つきで問い掛ける彼。
彼にはこの状況のヤバさが理解できていないのだろうか、と娘は小さく嘆息し、
「これ、どう言うこと?この女性…明音さんって誰?母さんと颯太は?」
父へ疑問を全てぶつけた。
明音の存在、母親と弟の現在、彼女が知りたいことはこの2つ。それをストレートに口にした。
そして、懸念点であった、父は誤魔化さず、嘘をつかず、正しい事を応えてくれるのか……という心配も杞憂に終わることとなる。
だって父の返答は……
「__アイツとは別れた。颯太もアイツに引き取られたよ。彼女…明音は今の妻、お前の新しい母親だ」
清々しいほど最悪の返事が返ってきたのだから。
“アイツ”とは母親のことだろう。颯太とは5つ年下の弟である。
そんな二人を軽んじるような発言に、萌恋は激しい憤りを覚えた。
「別れたって何?何で?今の妻って…新しい母親って一体どう言うこと?ねぇ?」
「一気にいくつも質問するな。それにさっき言った言葉の通りだ」
「分かってる、だからどういうことか、って聞いてんの」
「…あぁ、そういうことか。」
先程の娘のように、父も、小さく嘆息し、その後、母との離婚の経緯など諸々、全てを吐き出した。
宝くじで600万当たったこと、その600万を不倫の慰謝料と手切れ金として全て母に渡し離婚したこと、離婚届を提出した際にそのまま再婚のため不倫相手の明音さんとの婚姻届を提出したこと。
「なんて最低な父親…!」
「…萌恋も知ってるだろう?元々アイツとは不仲だった。ずっと前から終わってたんだ!」
「だからって不倫して良い訳がないでしょ」
中学生の娘に正論を浴びせられる父。
どっちが親なのかまるで判らない。
「母さんは今どこにいるの?教えて。」
中学生、それはまだ未熟な子供であり、親がいないと生きられない。
でも、こんな父親と暮らすのはもう御免だ。責めて母親に引き取られたい。…と思うのは不完全な大人の正常な思考だろう。
「悪いが、俺もアイツの居場所を知らないんだ。手切れ金を渡した時に互いの連絡先をブロックしたしな」
「は?」
この男、頭のネジが外れたのだろうか?いや、元々外れてるのか。
どれだけ娘を落胆させ、失望させれば気が済むのだろうか。
「因みに、アイツと颯太もお前の連絡先もブロックしてるからな。俺も、颯太の連絡先もブロックしたしな」
最後に爆弾をもう1つ爆発させやがった彼。
彼女の怒りのボルテージが限界突破し、彼はビンタをお見舞いされた。
っていうか寧ろビンタ一発で済んでいることに感謝してほしい、という気持ちを抑え、これからについてを話すことにした。
もう済んでしまった事は仕方がない。今ある状況下で如何に生きるか、これからの未来が一番大切なのだ。
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