4 / 10
手伝い
しおりを挟む
「母さんを捨てて明音さんと再婚したのは分かった。」
溜め息を吐き捨て、眉をつり上げながら彼女はそう言った。
その後、「で」と言葉を続ける。
「これからどうすんの?家とか。明音さんとは別居?」
「いいや、明日から引っ越し作業を開始して、遅くても明後日までにはこの家で同棲生活を始める。」
今日は金曜日、明日は土曜日で明後日は日曜日だ。
宝くじを当てて、見切り発車で妻を捨てて再婚したのではなく、計画性があったのか、?
まぁどちらだとしてもどうしようも無いが…
「明日からの引っ越し作業、もちろん萌恋もやれよ」
「は?!何で私が…?!」
まさか手伝えと言われるだなんて、予想だにしていなかったから驚いて、素っ頓狂な反応を見せてしまった。
「人手が多い方が嬉しいから、お願い!!」
「はぁぁあ!?!?」
さっきから静観していた明音さんが急に声を上げたが、大事なのはそこではない。
有り得ない、何で不倫父と間女の同棲の手助けをしなきゃいけないのか…。
貴重な受験生の休日を使って手伝いなんて、絶対にやりたくない。当然だ。
「萌恋、明音もこう言ってることだし、な?」
「絶対嫌だってば!!!」
「萌恋!我儘言うな!!」
突然声を張り上げる父に驚いて、肩がビクゥッ、と跳ねてしまった。
だが内心父への文句がびっしりだ。
不倫男の癖に何が我儘言うな、だ。
娘を叱る前にその不誠実な行いを今すぐ関係各所に土下座で謝罪し、丸坊主になって母を連れ戻してきてほしい…
______なんて言ってもきっとまた一段と面倒くさくなるだけだし、ここで嫌々言い続けても同じように一段と面倒くさくなるだけだ、と萌恋は察し、抵抗をやめて引っ越し作業を手伝うことになった。
明日が憂鬱だ。
⎯⎯⎯⎯⎯⎯部屋にある窓のレースカーテンの隙間から眩い光が差し込む。
来るな来るな、と昨日から幾度となく願っていた朝が来てしまったのだ。
何時もならこのシチュエーションで起きられるのは心地良いと感じる筈だ…が、今日は最悪以外の感想が浮かばない目覚めとなってしまった。
「萌恋ー!!休日だからってぐうたらするな。早く朝御飯食べに降りてこい!!」
はーい、と寝惚けた声で返事をする。
正直今日は一日中寝ていたい。寝てる間に父が改心して、元の家族に戻ってほしい。……いや、元々父と母は不仲だ。
元に戻ったってまた、こうなるんだろうな…
ぼんやりそんなことを考える頭に鞭打って起き上がる。
扉を開けると、途端に良い匂いがした。
今朝は目玉焼きの乗った食パンだろうか、トーストの独特の香りがする。
「おはよー…」
「おはよう萌恋、遅かったな。」
「えー、ごめん。」
「今日のトーストに乗ってる目玉焼きは、昨日明音が焼いてくれたんだぞ」
「ふーん」
フフン、と鼻を鳴らしながら自慢気に明音さんの話をする父と、興味無く適当な相槌であしらう娘。
二人の間に立ったら、温度差で風邪を引くだろう。
父が饒舌に話しているのにそういえば、と割って入って
「引っ越し作業って何時から?」
と首を傾げながら聞く。
「やっとやる気になってくれたか!!」
と少し嬉しげに口角を上げる父。
ここで否定すると面倒なのでうんうんと首をたてに降っておく。
娘にまでこんなに気を遣わせて…本当に面倒な父親だ。
「引っ越し作業は10時から、業者が家まで荷物を運んでくれるから」
「はーい」
「明音さんにはアイツの部屋、明音さんの息子さんには颯太の部屋を使って貰うから」
「え、明音さんの息子?!」
現妻に元妻が昨日まで使ってた部屋を使わせるなんて、やはり中々の男である。
だが一番驚いたのはそこではない。
明音さんに御子息がいることだ。
明音さんと父は再婚し、夫婦となった。
つまり明音さんの御子息は父にとって義息となるわけだ、=萌恋とは義兄弟!!
少しテンションが上がる。
「あぁ、一応年はお前と同い年だが、あちらの方が誕生日が一ヶ月先だからお兄ちゃんだな」
「お兄ちゃん…!」
今まで兄弟は弟の颯太のみだった。
だから兄という存在には凄く憧れがある。
しかし……
「確か名前は⎯⎯⎯⎯⎯⎯蓮也くん…だったかな?」
「⎯⎯⎯⎯⎯⎯⎯⎯は、?」
蓮也、という名前を聞いた途端、兄への憧れは粉々に砕かれた。
溜め息を吐き捨て、眉をつり上げながら彼女はそう言った。
その後、「で」と言葉を続ける。
「これからどうすんの?家とか。明音さんとは別居?」
「いいや、明日から引っ越し作業を開始して、遅くても明後日までにはこの家で同棲生活を始める。」
今日は金曜日、明日は土曜日で明後日は日曜日だ。
宝くじを当てて、見切り発車で妻を捨てて再婚したのではなく、計画性があったのか、?
まぁどちらだとしてもどうしようも無いが…
「明日からの引っ越し作業、もちろん萌恋もやれよ」
「は?!何で私が…?!」
まさか手伝えと言われるだなんて、予想だにしていなかったから驚いて、素っ頓狂な反応を見せてしまった。
「人手が多い方が嬉しいから、お願い!!」
「はぁぁあ!?!?」
さっきから静観していた明音さんが急に声を上げたが、大事なのはそこではない。
有り得ない、何で不倫父と間女の同棲の手助けをしなきゃいけないのか…。
貴重な受験生の休日を使って手伝いなんて、絶対にやりたくない。当然だ。
「萌恋、明音もこう言ってることだし、な?」
「絶対嫌だってば!!!」
「萌恋!我儘言うな!!」
突然声を張り上げる父に驚いて、肩がビクゥッ、と跳ねてしまった。
だが内心父への文句がびっしりだ。
不倫男の癖に何が我儘言うな、だ。
娘を叱る前にその不誠実な行いを今すぐ関係各所に土下座で謝罪し、丸坊主になって母を連れ戻してきてほしい…
______なんて言ってもきっとまた一段と面倒くさくなるだけだし、ここで嫌々言い続けても同じように一段と面倒くさくなるだけだ、と萌恋は察し、抵抗をやめて引っ越し作業を手伝うことになった。
明日が憂鬱だ。
⎯⎯⎯⎯⎯⎯部屋にある窓のレースカーテンの隙間から眩い光が差し込む。
来るな来るな、と昨日から幾度となく願っていた朝が来てしまったのだ。
何時もならこのシチュエーションで起きられるのは心地良いと感じる筈だ…が、今日は最悪以外の感想が浮かばない目覚めとなってしまった。
「萌恋ー!!休日だからってぐうたらするな。早く朝御飯食べに降りてこい!!」
はーい、と寝惚けた声で返事をする。
正直今日は一日中寝ていたい。寝てる間に父が改心して、元の家族に戻ってほしい。……いや、元々父と母は不仲だ。
元に戻ったってまた、こうなるんだろうな…
ぼんやりそんなことを考える頭に鞭打って起き上がる。
扉を開けると、途端に良い匂いがした。
今朝は目玉焼きの乗った食パンだろうか、トーストの独特の香りがする。
「おはよー…」
「おはよう萌恋、遅かったな。」
「えー、ごめん。」
「今日のトーストに乗ってる目玉焼きは、昨日明音が焼いてくれたんだぞ」
「ふーん」
フフン、と鼻を鳴らしながら自慢気に明音さんの話をする父と、興味無く適当な相槌であしらう娘。
二人の間に立ったら、温度差で風邪を引くだろう。
父が饒舌に話しているのにそういえば、と割って入って
「引っ越し作業って何時から?」
と首を傾げながら聞く。
「やっとやる気になってくれたか!!」
と少し嬉しげに口角を上げる父。
ここで否定すると面倒なのでうんうんと首をたてに降っておく。
娘にまでこんなに気を遣わせて…本当に面倒な父親だ。
「引っ越し作業は10時から、業者が家まで荷物を運んでくれるから」
「はーい」
「明音さんにはアイツの部屋、明音さんの息子さんには颯太の部屋を使って貰うから」
「え、明音さんの息子?!」
現妻に元妻が昨日まで使ってた部屋を使わせるなんて、やはり中々の男である。
だが一番驚いたのはそこではない。
明音さんに御子息がいることだ。
明音さんと父は再婚し、夫婦となった。
つまり明音さんの御子息は父にとって義息となるわけだ、=萌恋とは義兄弟!!
少しテンションが上がる。
「あぁ、一応年はお前と同い年だが、あちらの方が誕生日が一ヶ月先だからお兄ちゃんだな」
「お兄ちゃん…!」
今まで兄弟は弟の颯太のみだった。
だから兄という存在には凄く憧れがある。
しかし……
「確か名前は⎯⎯⎯⎯⎯⎯蓮也くん…だったかな?」
「⎯⎯⎯⎯⎯⎯⎯⎯は、?」
蓮也、という名前を聞いた途端、兄への憧れは粉々に砕かれた。
10
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
17歳男子高生と32歳主婦の境界線
MisakiNonagase
恋愛
32歳主婦のカレンはインスタグラムで20歳大学生の晴人と知り合う。親密な関係となった3度目のデートのときに、晴人が実は17歳の高校2年生だと知る。
カレンと晴人はその後、どうなる?
熟女愛好家ユウスケの青春(熟女漁り)
MisakiNonagase
恋愛
高校まで勉強一筋で大学デビューをしたユウスケは家庭教師の教え子の母親と不倫交際するが、彼にとって彼女とが初の男女交際。そこでユウスケは自分が熟女好きだと自覚する。それからユウスケは戦略と実戦を重ねて、清潔感と聞き上手を武器にたくさんの熟女と付き合うことになるストーリーです。
還暦の性 若い彼との恋愛模様
MisakiNonagase
恋愛
還暦を迎えた和子。保持する資格の更新講習で二十代後半の青年、健太に出会った。何気なくてLINE交換してメッセージをやりとりするうちに、胸が高鳴りはじめ、長年忘れていた恋心に花が咲く。
そんな還暦女性と二十代の青年の恋模様を書いたストーリーです。
私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。
MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる