ねこのフレンズ

楠乃小玉

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第二章

十八話 えんこうダメ!絶対!!

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 「す~い、す~い、すすす~い、す~い」
 シアンちゃんとサバンちゃんは軽やかに自転車を走らせる。

 「なにここ、ものすごく平地が多いじゃない」
 「川沿いだからね~」

 川沿いに自転車をこいでいくと、道の駅があった。
 「あそこに寄るわよ!」
 「あいさいさ~」

 シアンちゃんとサバンちゃんが道の駅に入る。

 シアンちゃんは一つのガラスビンを手に取る。
 なにこれ?
 ガラスビンには「四万十のあおさのり」と書いてあった。

 「なにこれ?色が綠っぽいわよ」
 「おもしろいね~」
 「早速買って帰るわ」
 シアンちゃんはひとビン買った。

 シアンちゃんの後ろで女子高生たちがコソコソ話している。

 「やばいよ、えんこうでしょ」
 「そうそう、マジマジ、えんこう見たってよ、やばくない?」

 「何?あんたらの仲間が援助交際してるの?」
 シアンちゃんはツカツカと女の子たちに歩み寄る。

 「え?何か言った?」
 「いや、いっとらんよ」
 「あれ、これが言っとらん?」
 「うわっ、何これ、ちっこいのがしゃべっとる」
 「えんこうじゃね?」
 「やば、やられる!」
 「にげよう!」

 女子高生たちはお尻を押さえて逃げだした。

 「誰が援助交際よ!失礼な!私は純粋潔白よ!!!」
 怒ってシアンちゃんが叫ぶが、女子高生たちは後ろも振り返らず逃げていった。
 
 「まあいいじゃん、先をいそごうよ」

 サバンちゃんが軽い口調で言った。
 「そうね、今はドカンちゃんを探すことが先決だわ」

 この道の駅で四万十川は南と北に分離している。
 シアンちゃんたちは南に行く道を選択した。
 南にくだっていくと、橋がかかっていて、標識に「川の駅」と書いてあった。
 
 「あら、道の駅だけじゃなくて川の駅もあるのね」
 「いってみようよ!」 
 「そうね、通り道だし。

 シアンちゃんとサバンちゃんは銀色の金属製の欄干がある橋をわたった。
 途中でサバンちゃんが川をのぞき込む。

 「うわ~綺麗、魚がいるよ」

 そう言いながらサバンちゃんはカーッと口にツバをためて、ペッと吐いた。

 すごく水が綺麗すぎるので、ツバの塊が落ちてきただけで魚がエサだと思って
 よってくる。

 「うわ~面白い。シアンちゃんもやってみなよ」

 「だめよ、こんなに綺麗な川なのに汚しちゃだめ」

 「おい、お前ら、私の川にツバを吐きかけるとはどういう了見だ!」

 気の強そうな真っ白なフサフサの髪で頭から白いネコ耳が出ている、
 ブルーの吊り目の女の子が怒鳴った。
 
 「あんた誰よ?」

 怪訝そうな顔でシアンちゃんがたずねる。

 「この川の主さね」
  
 その言葉を聞いてシアンちゃんは驚いて目をまん丸にする。
 「うわっ!水系だ!!」
 シアンちゃんは後ろに飛び退き、サバンちゃんが前に出る。

 「くらえ!」
 
 女の子が手から水柱を発射してシアンちゃんに当てる。

 「へへん、へっちゃらだい!」

 サバンちゃんは得意げに胸を張った。

 「これでもか!これでもか!これでもか!」
 
 女の子は手からものすごい激流を流れ出させるが、サバンちゃんの体は
 それを全部吸収する。

 「はあ、はあ、はあ、もうだめだ~」

 女の子は力つきてその場に崩れ落ちる。

 「じゃあ、今度はボクの番だ!」

 サバンちゃんは自分の手からものすごい水量の水を流れ出させて、
 女の子にぶつける。

 「復活!」
 女の子は元気になる。
 反対にサバンちゃんがフラフラになる。

 「もうだめだ~アイキャンフライ!」
 サバンちゃんが橋の上から川に飛び込もうとする。
 「だめよ!やめなさい!」
 シアンちゃんが必死に止める。
 「ハハハ!私の勝ちだな!」

 女の子が腕を組んで胸を張る。

 「なによ?あんた!あんたが女子高生の間で話題の
 ふしだらな援交女なの?」
 
 「猿猴エンコウ?ああ、そんな呼び方をされた時期もあったかもね。
  それが何でふしだらなんだ?猿はふしだらなのか?尻が真っ赤だから。
 私は猿じゃないぞ、ターキッシュアンゴラの地霊、アンゴラだ」

 「なんだ、あなた、猫の地霊なのね。それをあの女子高生たちは猿と勘違いしたのね。
 ああ、援助交際じゃなくて猿の猿猴ね。理解したは」

 「なんか誤解してたみたいだけど、誤解がとけてなによりだよ。
 お礼にカヌーの乗り方を教えてやるよ、そこの川の駅にカヌーがあるんだ」

 
 「ほんと!?たのしそー!」
 サバンちゃんの目が輝いた。
 「しかたない子ね、ちょっと水分補給もかねて、遊んできなさい」
 「わーい!」
 
 シアンちゃんとサバンちゃんはカヌー乗り場に来て、サバンちゃんはアンゴラに
 思う存分カヌーを習って満足するまで遊んだ。

 そのあと、川沿いの道を南に進んだ。

 途中、山に巨大な大の字が書いた山を発見した。

 「何あれ!?京都の大文字焼みたいじゃない!」
 「ほんとだね~こんな処にも大文字があるんだ~」
 二人は感心しながらその横を通り過ぎていった。
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