ねこのフレンズ

楠乃小玉

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四十六話 ドカンちゃんの目がうるむ。

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 クックさんの裁判は順調に進んだ。
 裁判費用は木戸さんが立て替えることとなった。
 木戸さんは、お友達をいっぱい集めてきて、ネットでも署名活動をして
 クックさん応援大は莫大な数となっていた。
 その勢いの通り、地裁ではクックさん有利に裁判は進んだ。
 悪徳銀行の阿久間は涙ながらに
 「篠原さんをお母さんのように思っていたんです」
 と言ったが、あれだけ正体を見せているのでその手は通じない。

 裁判が休憩に入る。
 クックさんはお人好しなので、ドカンちゃんたちはクックさんと建設会社、銀行側の人間が
 接触しないよう監視した。

 クックさんが地裁の裁判官たちに呼ばれて外に出て行った。

 そして裁判再開

 「和解を受け入れます」
 
 唐突にクックさんが言った。
 
 「えー!和解を受け入れちゃだめですよ!」
 思わずドカンちゃんが叫んだ。

 話しを聞いてみると、裁判の休廷中に
 裁判官たちが口々に、このままではクックさんが負ける、
 和解したほうがいいと勧めたらしい。

 「そんな分けないです!戦えば絶対勝てる裁判じゃないですか!!!」
 「いいのよ、ドカンちゃん、平和が一番、人を恨んじゃいけないわ、
 北風と太陽という話しがあるでしょ、優しくしてあげれば、
 銀行の人達だって、きっと、愛情で帰してくれるわ。
 お酒でも飲んで打ち解ければ、前みたいに仲良くなれるって
 裁判所の人も言ってたわ」
 
 「だまされてますよ!クックさん」
 「あなたはまだ若いから、世の中の事わかってないのよ、
 世の中、そんな悪い人ばかりじゃないわ」

 クックさんは微笑んだ。
 もう、どうしようもなかった。
 本人が戦う気を無くしているのだ。
 これ以上戦えない。

 木戸さんが立て替えた裁判費用?
 帰ってくるわけないでしょ。
 
 クックさんを応援してネットの呼びかけで集まった人達も、
 しらけて去っていった。

 しばらく日がたってから、クックさんから電話がかかってくる。
 「もう止めなよ、行っても依存されて振り回されるだけだよ、
 悪徳銀行に騙されて自殺する人を前まで同情してたけど、
 結局、自分の頭で何も考えず、人に言われた通りに動く人って
 自業自得に思えてきたよ。

 そういう人って、ウソをついて騙す人には親切にして、
 本当にその人を救おうと必死になっている人には冷淡なんだ。
 多くの日本人がミャンマーや台湾やチベットや東トルキスタンやブータンに冷たいようにね。」
 
 チカンちゃんがそう言った。

 「はい、ドカンです。今すぐ行きますからね」
 ドカンちゃんは部屋を飛び出した。

 「えー!いくのー!?」
 チカンちゃんは慌ててドカンちゃんの後を追う。

 クックさんの家に行くと、庭にキレイに咲いていたはずのバラの花が全部枯れていた。
 ただ事ではないと思い、ドカンちゃんはクックさんの家の中に上がり込む。

 そこには頭がボサボサで目が落ちくぼんだクックさんが座り込んでいた。
 「どうしたんですか」

 「誰かが……除草剤撒いたみたい……」
 「誰がそんなことを!」
 「分からない……、私が裁判で和解したこと、
 何故だか分からないけど、イヌエチケイ公営放送で大々的に報道され、
 まるで、私が悪の権化みたいに報道されてた。
 それから脅しとか抗議の電話がジャンジャン鳴ってきて、殺すとか
 脅迫もされた。
 私はただ、阿久間三と仲良くしたかっただけなのに」
 
 「その後、銀行は変わりないですか?」

 「それが……新しいメンテナンスが必要だっていって五百万要求してきた。
  阿久間さんが私の事、大声で詐欺師だって怒鳴ったの。裁判所で
 あんなに、これから仲良くしましょうって誓ったのに」

 クックさんの目から涙がこぼれた。

 決定的だったのはクックさんが悪徳銀行に言われるまま契約書に
 捨て印を押してしまったことだった。
 捨て印は契約書の内容を白紙委任するという意味だから、
 その判子を押してしまった契約書は、銀行が好き勝手に内容を改ざんできる。
 それで、契約内容を圧倒的にクックさんにとって不利なものに改ざんされてしまった。
 しかも法的には、捨て印を押しているから、
 その無茶苦茶な内容にクックさんが同意したことになる。

 クックさんは拳を強く握りしめる。
 「私、もう一度裁判やるわ!」

 「……もうだめですよ」
 「え?」

 「一度和解してしまった裁判はもう一度起こせないんです」
 「じゃあ私は……」
 「全財産、銀行と建設会社に取られます」

 「そんな!パパさんが、せっかく私のために残してくれたのに!」

 「じゃあ、戦うべきでした。その前に、アパート経営なんて素人がやるもんじゃないんです」
 「だって!だって!」

 「もう、ここを出ていきましょう。すべて銀行のものです。
 怖いヤクザの地上げ屋が来るまえに」

 「じゃあ、私はどうすればいいの!ここで死ねばいいの!?」

 「……どうなるか分かりませんけど、木戸さんに電話してみます。
 助けてくれるかどうか、分かりませんけどね。
 前の裁判費用も立て替えて、返してもらってませんし」

 ドカンちゃんは、そう言いながら木戸さんに電話連絡した。
 木戸さんはすぐ来てくれた。
 今日は軽自動車で来た。

 「だいたい、事情はわかったよ。クックさん、この家はもう出ましょう」
 「じゃあ、私はどこへ行けばいいの?」
 「こうなる事は分かってましたから、私が知り合いの不動産やさんに
 頼んで、家賃1万円の文化住宅を探してもらってきてます。
 一旦はそこに引っ越しましょう」
 
 「文化住宅ですって?!文化住宅って、壁が薄くてとなりの声が丸聞こえなんでしょ、
 そんな処に住めないわ」
 「甘えるな!」
 木戸さんは怒鳴った。

 「ひっ!ごめんなさい、ごめんなさい、どうか許してください!ごめんなさい!」
 クックさんはその場に土下座した。

 「許しますから頭を上げてください」
 「でも、1万円でも家賃払えません」

 「その事なら、私は老人介護のボランティアをやっていて、
 知り合いに老人介護のハウスヘルパーさんの経営をやっておられる
 方がいらっしゃるんですよ、そこの仕事を紹介します」

 「そんな仕事イヤよ。老人のウンコの処理とかしなきゃいけないんでしょ」

 「あのね、その私の知り合いのヘルパーの経営者の方はね、
 働き過ぎで、間接がすり減って、歩けなくなって、
 両足の膝の関節を手術して、人工関節にして、這いずりまわりながら
 よそ様の家のお便所をお掃除されているんですよ」

 「私はそういう階層の人間じゃないから」
 「じゃあ、あとは勝手にしてください」
 「もうダメだわ、自殺しかないわ」
 
 木戸さんはドカンちゃんを見た。
 「帰りましょう」

 「え?でも、だって!」
 「この人にも自分で死を選ぶ権利がある。
 別に手伝いはしないけど、あとは自分で勝手にすればいい」
 「でも、お友達を捨ててはいけないです!」
 
 「この人は、もうダメなんです!」
 木戸さんが大声で言った。
 「ううう……」
 ドカンちゃんは目からポロポロと涙をこぼした。
 「いこう、ドカンちゃん」
 チカンちゃんがドカンちゃんの手を取る。
 「……うん」
 ドカンちゃんはチカンちゃんに手を引かれながら部屋の外に出ようとする。

 「待って!」
 クックさんが金切り声をあげた。
  木戸さんが無表情に振り返る。
 「たすけてください、何でもします……」
 
 「……」
 木戸さんがクックさんを凝視する。
 「わかりました。一緒に行きましょう、
 軽自動車で送りますよ」

 「あの、家の高級家具は」
 「自分の命より家具が大事なら、ここに置いていきますよ」
 「……うううううう」
 クックさんは目からボロボロと涙を流しながら木戸さんについていった。


 それからしばらくして、木戸さんかドカンちゃんに電話がかかってきた。
 家に来て欲しいという。
 家に行くと、クックさんがお茶を入れていた。
 「まあ、ドカンちゃん、チカンちゃんも来てくれたのね、今お茶を入れるわ、
 ちょっと待っててね」
 
 かいがいしく笑顔で動くクックさん。
 木戸さんがニッコリ笑う。
 「うちの両親の介護の手伝いをしてもらっているんですよ、
 いやー、クックさんはとても働き者で、行った先では、どこでも
 評判がいいんですよ」

 「介護の仕事ってこんなにやりがいがるとは思ってもみなかったわ。
 人に喜んで貰うって、こんなに楽しいことだったのね」

 クックさんが笑顔でいった。
 「クックさん……」
 ドカンちゃんの目がうるむ。
 「よかったね、ドカンちゃん」
 チカンちゃんがドカンちゃんの背中をさすった。


 注意※
 ここからは現実の話しです。

 家具の件ですが、
 これは、私が、「銀行がメンテナンスを仕掛けてくるかもしれないから、
 少しでも現金を用意しておこう。そのためには金目のものは全部売ろう」
 と言った時に、「高級家具だからもったいない」と母が言ったことを
 ヒントに書きました。
 車も、腕時計も換金できるものは全部売りました。
 当然、二束三文です。
 車はとても大切にしていたものだったので、こんな苦しい思いをするなら
 もう、二度と自分の車は買いません。

 ワインやウイスキーも売りました。

 そして、衝撃的だったのが私が「自分の命と家具とどっちが大事だ!」
 と怒鳴った時、母は泣きながら自分の子供に土下座したんです。
 敬語をつかって
 「許してください、許してください、私があなたのことが一番大切だってしっているでしょ」
 と言いました。
 これは、なんというか情けなかったですね。
 契約の時、どうせ土地を騙されて取られても、当該地だけだろうと、放置しておいた
 私にも責任があります。
 まさか、全財産を担保に入れてくるなんて、やるとは思ってもみませんでした。
 一部上場企業ですよ、相手は。それが、そんな事をするとは思ってもみませんでした。
 完全な私のミスであり、甘えでした。
 悪徳企業はスキを見せると、平気で人を殺しにくる。
 もう、完全に神経が麻痺しているのでしょう。
 ナチスのアイヒマンが流れ作業で事務処理としてユダヤ人を大量に殺害していた事が
 頭にうかびました。
 
 まさか土下座してくるとは思ってもみなかったので、
 母親に土下座させてしまったことが、非常に、私の心の大きな傷になってしまいました。
 それで、一時、トラウマになって小説が書けなくなってしまったというのもあります。

 どれだけ多くの家庭で、同じ事が起ってきたかと思うとゾットします。
 私の家はまだ、車や酒や腕時計など私名義の売るものがあったので、 
 今のところ助かっていますが、多くの人はいっぱいいっぱいで、夜逃げしたり
 一家心中しているんだろうなと思うと、絶望的な気持ちになります。
 本当に、自分の頭でかんがえない人は絶対、賃貸アパート経営などやってはいけません。
 自分で調べることもしない素人は絶対にアパート経営はやるな!

 インターネットで私の母が引っかかった企業の情報を調べると
 「騙された!」「酷い目にあった!」
 という怨嗟の声があふれかえっています。
 私も前からそれを知っていたので、絶対そこの企業、そこの銀行では
 注文しないと決めていました。
 それを見るだけでも、分かるのに、それさえ調べずにハンコを押す。
 老人はインターネットの存在すら知らず、
 特に家でずっと主婦をしていた母は、
 人を疑うことすら知りません。


 「だから、そこだけは、絶対やるな!と言っただろ」
 と言うと、母は、「ゆるしてください、ゆるしてください」しか言いません。
 

 そりゃ、許してますよ、親なんだから。

 うちの家も引っかかってしまったので人の事は言えないのです。

 父親の印鑑証明を私が預かって、母には絶対渡さなかったのに、
 母親が勝手に紛失届け出して、印鑑証明書き換えてしまいましたからね。
 その時の母は自信満々でした。
 「だいじょうぶ!あの人はすごく良い人なのよ!」
 ってニコニコしていました。

 もし、知り合いでやろうとしている人がいれば、本当に、私が
 全財産を担保に入れられてしまった、恐ろしい事実を教えてあげてください。
 伝聞ではありません。
 
 私自身の実体験です。

 

 
 現実の話しここまで。

 
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