猫の国(オッサンが異世界転生したら、そこは猫の国でした)

楠乃小玉

文字の大きさ
25 / 63

二十五話 解き明かされる秘密

しおりを挟む
 ついにこの日がやってきた。

 俺は自宅のライト城の地下室の奥にある結界の扉の前に来ていた。

 地下室に続く石の階段は狭く、人一人が通るのがやっとだが、
 地下室は少し開けた場所になっており、そこで魔法の儀式ができるようになっている。

 俺とカール先生は扉の前に立ち、カール先生は尻尾に絶縁体でコーティングした電線を 
 まき付け、俺も電線で作った偽尻尾を体につけ、そこに体中に巻き付けた電線を接続し、
 尻尾の先に鉄のアンカーを付けて床に穴をあけて、地中深く差し込んだ。

 吹き飛ばされるのを防ぐ意味もある。
 扉の前に五色の砂で曼荼羅をつくり、そこに五色に染めた花の種子がまかれる。

 そして儀式がはじまった。

 「いざ開かん、魔界の扉よ、その姿を表せ高き者は低く、低きものは高く

 炎は冷たく、氷は熱く、いま、運命の扉よ開かれん」


 カール先生が呪文と唱えると扉の中心に金色の光がさし、
 ゆっくりと開いてゆく。

 そこから霧でできた女神たちが何人も出てきて空を舞い踊る。

 まるで、笑顔で俺たちを歓迎してくれているようだ。
 
 一人の霧の女神がカール先生の前に現れ小首かしげた。

 そして微笑む。

 その笑顔の口はどんどん広がり、耳まで裂ける。

 目は皿のように丸く大きくひろがった。

 「ぎゃあああああああー」

 女神が大声で悲鳴をあげたかと思うと、一瞬にしてミイラになって
 俺と先生に襲いかかった。

 「六根清浄! 」

 先生が叫ぶと床の石畳の隙間から水が噴き出し、五色の曼荼羅を描いた土に染み渡る。

 そこからものすごい勢いで五色の花が咲き乱れ、花粉がとぶ。
 そのまま、猛スピードで花が散り、実がなって、パンと破裂して種が飛び散る。

 その種がミーラになった女神たちの体に付着すると、ものすごい勢いで
 ツタが成長してミーらの体をグルグル巻きにした。

 俺と先生に襲いかかろうとした女神たちは次々に床に落ち、もがいている。

 その時、バーン!と音がして扉の向こうから雷が二筋、俺と先生の体に向かって
 飛んできて、その体を貫いた。

 俺と先生の体は電線で巻かれており、その電線を通って、電気は地中に流れた。

 グオオオオーン!

 電気が通ったことにより、その扉の向こうの電動扉が開いた。

 その扉の厚さは三メートルほどあった。

 俺と先生はその扉の中に入ってゆく。

 その中はものすごく巨大な図書館だった。
 
 真っ黒な皮で包まれた書籍がずらっと何千冊も並んでいる。

 
 「これは……グリモワールね」

 先生が言った。
 
 「グリモワール?」

 「悪魔を召喚し、使役するための本よ」

 俺は衝撃を受けた。

 家に伝わっている話では、この城は初代カラバ侯爵が建設したもので、
 それ以降、代々この城を守りつづけたと言われている。
 
 もし、その伝説が本当なら、ある一定時期までカラバ公は悪魔と契約していたことになる。

 カール先生がブツブツいいながら本の背表紙を読む。

 「ああ、これは変身の書ね。ここにはオーガが変身するための本が多く置いてあるわ。
 少なくとも、ある時期までは、ここの城はオーガの城だったということになるわ」

 俺が愕然とした。
 だが、おかしい、俺は、一度悪魔崇拝者の疑いを受け、上級の魔導師に徹底的にしらべらえた。

 だが、俺は悪魔とも契約していないし、悪魔やオーガの血筋でもなく、そのオーラも 
 まとっていないことが証明されている。

 
 これはいったい、どういうことだ。

 ひょっとして、カラバ公は悪魔だったが、人間の子を養子に迎えたのか?

 初代カラバ公はどうして、どうやって、オーガの城を手に入れたのだ。

 それともカラバ公というのはオーガだったのか。

 俺の中に黒雲のような疑念がムクムクとわき上がってきた。




 
しおりを挟む
感想 65

あなたにおすすめの小説

転生したら世界一の御曹司だった〜巨乳エルフメイド10人と美少女騎士に溺愛されています〜

まさき
青春
異世界転生した最強の金持ち嫡男、 専属エルフメイドと美少女騎士に囲まれて至福のハーレム生活   現代日本で「地味だが実は超大富豪」という特殊な人生を送っていた青年は、ある日事故で命を落とす。   しかし目を覚ますと、そこは魔法と様々な種族が存在する異世界だった。   彼は大陸一の富を誇る名門貴族―― ヴァン・バレンティン家の嫡男カイルとして転生していたのだ。   カイルに与えられたのは ・世界一とも言える圧倒的な財力 ・財力に比例して増大する規格外の魔力   そして何より彼を驚かせたのは――   彼に仕える十人の専属メイド全員が、巨乳美少女だったことである。   献身的なエルフのメイド長リリア。 護衛騎士でありながら隙あらば誘惑してくる女騎士シルヴィア。   さらに個性豊かな巨乳メイドたち。   カイルは持ち前の財力で彼女たちの願いを叶え、最高級の装備や生活を与えていく。   すると彼女たちの忠誠心と愛情はどんどん加速していき――   「カイル様……今日は私が、お世話をさせてください」   領地を狙う貴族を金と魔力で圧倒し、 時にはメイドたちの愛が暴走して甘すぎる時間に巻き込まれながらも、   最強の御曹司カイルは 世界一幸せなハーレムを築いていく。 最後までお読みいただきありがとうございました。よろしければ応援をお願いいたします。

アリエッタ幼女、スラムからの華麗なる転身

にゃんすき
ファンタジー
冒頭からいきなり主人公のアリエッタが大きな男に攫われて、前世の記憶を思い出し、逃げる所から物語が始まります。  姉妹で力を合わせて幸せを掴み取るストーリーになる、予定です。

転生貴族の領地経営〜現代知識で領地を豊かにして成り上がる

ファンタジー
ネーデル王国の北のリーディア辺境伯家には天才的な少年レイトがいた。しかしその少年の正体は現代日本から転生してきた転生者だった。 レイトが洗礼を受けた際、圧倒的な量の魔力やスキルが与えられた。その力を見込んだ父の辺境伯は12歳のレイトを辺境伯領の北の異種族の住むハーデミア領を治める領主とした。しかしハーデミア領は貧困に喘いだ貧乏領地だった。 これはそんなレイトが異世界の領地を経営し、領地を豊かにして成り上がる物語である。

【完結】悪役に転生したのにメインヒロインにガチ恋されている件

エース皇命
ファンタジー
 前世で大好きだったファンタジー大作『ロード・オブ・ザ・ヒーロー』の悪役、レッド・モルドロスに転生してしまった桐生英介。もっと努力して意義のある人生を送っておけばよかった、という後悔から、学院で他を圧倒する努力を積み重ねる。  しかし、その一生懸命な姿に、メインヒロインであるシャロットは惚れ、卒業式の日に告白してきて……。  悪役というより、むしろ真っ当に生きようと、ファンタジーの世界で生き抜いていく。  ヒロインとの恋、仲間との友情──あれ? 全然悪役じゃないんだけど! 気づけば主人公になっていた、悪役レッドの物語! ※小説家になろう、カクヨム、エブリスタにも投稿しています。

悪徳貴族の、イメージ改善、慈善事業

ウィリアム・ブロック
ファンタジー
現代日本から死亡したラスティは貴族に転生する。しかしその世界では貴族はあんまり良く思われていなかった。なのでノブリス・オブリージュを徹底させて、貴族のイメージ改善を目指すのだった。

最弱スライムに転生した俺、捕食スキルで無限進化していたら魔王軍すら支配してました

チー牛Y
ファンタジー
残業中に倒れた俺が次に目を覚ました時、なぜか異世界で最弱モンスターのスライムになっていた。 完全に詰んだ、戦う力もない。そう思っていた時、俺には一つだけ、とんでもないスキルがあった。 【捕食】 それは、倒した相手を取り込み、能力・スキル・力のすべてを奪うチート能力だった。 ゴブリンを食べれば腕力を獲得。 魔物を食べれば新スキルを習得。 レベルは爆速で上がり、進化は止まらない。 森の魔物を支配し、ダンジョンを制圧し、気づけば俺は魔物たちの王になっていた。 やがてその力は魔王軍すら飲み込み、世界の勢力図を塗り替えていく。 これは―― 最弱スライムから始まる、無限進化の成り上がり無双譚。

転生貴族の領地経営〜現代日本の知識で異世界を豊かにする

ファンタジー
ローラシア王国の北のエルラント辺境伯家には天才的な少年、リーゼンしかしその少年は現代日本から転生してきた転生者だった。 リーゼンが洗礼をしたさい、圧倒的な量の加護やスキルが与えられた。その力を見込んだ父の辺境伯は12歳のリーゼンを辺境伯家の領地の北を治める代官とした。 これはそんなリーゼンが異世界の領地を経営し、豊かにしていく物語である。

異世界転生した俺は、産まれながらに最強だった。

桜花龍炎舞
ファンタジー
主人公ミツルはある日、不慮の事故にあい死んでしまった。 だが目がさめると見知らぬ美形の男と見知らぬ美女が目の前にいて、ミツル自身の身体も見知らぬ美形の子供に変わっていた。 そして更に、恐らく転生したであろうこの場所は剣や魔法が行き交うゲームの世界とも思える異世界だったのである。 異世界転生 × 最強 × ギャグ × 仲間。 チートすぎる俺が、神様より自由に世界をぶっ壊す!? “真面目な展開ゼロ”の爽快異世界バカ旅、始動!

処理中です...