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二十五話 解き明かされる秘密
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ついにこの日がやってきた。
俺は自宅のライト城の地下室の奥にある結界の扉の前に来ていた。
地下室に続く石の階段は狭く、人一人が通るのがやっとだが、
地下室は少し開けた場所になっており、そこで魔法の儀式ができるようになっている。
俺とカール先生は扉の前に立ち、カール先生は尻尾に絶縁体でコーティングした電線を
まき付け、俺も電線で作った偽尻尾を体につけ、そこに体中に巻き付けた電線を接続し、
尻尾の先に鉄のアンカーを付けて床に穴をあけて、地中深く差し込んだ。
吹き飛ばされるのを防ぐ意味もある。
扉の前に五色の砂で曼荼羅をつくり、そこに五色に染めた花の種子がまかれる。
そして儀式がはじまった。
「いざ開かん、魔界の扉よ、その姿を表せ高き者は低く、低きものは高く
炎は冷たく、氷は熱く、いま、運命の扉よ開かれん」
カール先生が呪文と唱えると扉の中心に金色の光がさし、
ゆっくりと開いてゆく。
そこから霧でできた女神たちが何人も出てきて空を舞い踊る。
まるで、笑顔で俺たちを歓迎してくれているようだ。
一人の霧の女神がカール先生の前に現れ小首かしげた。
そして微笑む。
その笑顔の口はどんどん広がり、耳まで裂ける。
目は皿のように丸く大きくひろがった。
「ぎゃあああああああー」
女神が大声で悲鳴をあげたかと思うと、一瞬にしてミイラになって
俺と先生に襲いかかった。
「六根清浄! 」
先生が叫ぶと床の石畳の隙間から水が噴き出し、五色の曼荼羅を描いた土に染み渡る。
そこからものすごい勢いで五色の花が咲き乱れ、花粉がとぶ。
そのまま、猛スピードで花が散り、実がなって、パンと破裂して種が飛び散る。
その種がミーラになった女神たちの体に付着すると、ものすごい勢いで
ツタが成長してミーらの体をグルグル巻きにした。
俺と先生に襲いかかろうとした女神たちは次々に床に落ち、もがいている。
その時、バーン!と音がして扉の向こうから雷が二筋、俺と先生の体に向かって
飛んできて、その体を貫いた。
俺と先生の体は電線で巻かれており、その電線を通って、電気は地中に流れた。
グオオオオーン!
電気が通ったことにより、その扉の向こうの電動扉が開いた。
その扉の厚さは三メートルほどあった。
俺と先生はその扉の中に入ってゆく。
その中はものすごく巨大な図書館だった。
真っ黒な皮で包まれた書籍がずらっと何千冊も並んでいる。
「これは……グリモワールね」
先生が言った。
「グリモワール?」
「悪魔を召喚し、使役するための本よ」
俺は衝撃を受けた。
家に伝わっている話では、この城は初代カラバ侯爵が建設したもので、
それ以降、代々この城を守りつづけたと言われている。
もし、その伝説が本当なら、ある一定時期までカラバ公は悪魔と契約していたことになる。
カール先生がブツブツいいながら本の背表紙を読む。
「ああ、これは変身の書ね。ここにはオーガが変身するための本が多く置いてあるわ。
少なくとも、ある時期までは、ここの城はオーガの城だったということになるわ」
俺が愕然とした。
だが、おかしい、俺は、一度悪魔崇拝者の疑いを受け、上級の魔導師に徹底的にしらべらえた。
だが、俺は悪魔とも契約していないし、悪魔やオーガの血筋でもなく、そのオーラも
まとっていないことが証明されている。
これはいったい、どういうことだ。
ひょっとして、カラバ公は悪魔だったが、人間の子を養子に迎えたのか?
初代カラバ公はどうして、どうやって、オーガの城を手に入れたのだ。
それともカラバ公というのはオーガだったのか。
俺の中に黒雲のような疑念がムクムクとわき上がってきた。
俺は自宅のライト城の地下室の奥にある結界の扉の前に来ていた。
地下室に続く石の階段は狭く、人一人が通るのがやっとだが、
地下室は少し開けた場所になっており、そこで魔法の儀式ができるようになっている。
俺とカール先生は扉の前に立ち、カール先生は尻尾に絶縁体でコーティングした電線を
まき付け、俺も電線で作った偽尻尾を体につけ、そこに体中に巻き付けた電線を接続し、
尻尾の先に鉄のアンカーを付けて床に穴をあけて、地中深く差し込んだ。
吹き飛ばされるのを防ぐ意味もある。
扉の前に五色の砂で曼荼羅をつくり、そこに五色に染めた花の種子がまかれる。
そして儀式がはじまった。
「いざ開かん、魔界の扉よ、その姿を表せ高き者は低く、低きものは高く
炎は冷たく、氷は熱く、いま、運命の扉よ開かれん」
カール先生が呪文と唱えると扉の中心に金色の光がさし、
ゆっくりと開いてゆく。
そこから霧でできた女神たちが何人も出てきて空を舞い踊る。
まるで、笑顔で俺たちを歓迎してくれているようだ。
一人の霧の女神がカール先生の前に現れ小首かしげた。
そして微笑む。
その笑顔の口はどんどん広がり、耳まで裂ける。
目は皿のように丸く大きくひろがった。
「ぎゃあああああああー」
女神が大声で悲鳴をあげたかと思うと、一瞬にしてミイラになって
俺と先生に襲いかかった。
「六根清浄! 」
先生が叫ぶと床の石畳の隙間から水が噴き出し、五色の曼荼羅を描いた土に染み渡る。
そこからものすごい勢いで五色の花が咲き乱れ、花粉がとぶ。
そのまま、猛スピードで花が散り、実がなって、パンと破裂して種が飛び散る。
その種がミーラになった女神たちの体に付着すると、ものすごい勢いで
ツタが成長してミーらの体をグルグル巻きにした。
俺と先生に襲いかかろうとした女神たちは次々に床に落ち、もがいている。
その時、バーン!と音がして扉の向こうから雷が二筋、俺と先生の体に向かって
飛んできて、その体を貫いた。
俺と先生の体は電線で巻かれており、その電線を通って、電気は地中に流れた。
グオオオオーン!
電気が通ったことにより、その扉の向こうの電動扉が開いた。
その扉の厚さは三メートルほどあった。
俺と先生はその扉の中に入ってゆく。
その中はものすごく巨大な図書館だった。
真っ黒な皮で包まれた書籍がずらっと何千冊も並んでいる。
「これは……グリモワールね」
先生が言った。
「グリモワール?」
「悪魔を召喚し、使役するための本よ」
俺は衝撃を受けた。
家に伝わっている話では、この城は初代カラバ侯爵が建設したもので、
それ以降、代々この城を守りつづけたと言われている。
もし、その伝説が本当なら、ある一定時期までカラバ公は悪魔と契約していたことになる。
カール先生がブツブツいいながら本の背表紙を読む。
「ああ、これは変身の書ね。ここにはオーガが変身するための本が多く置いてあるわ。
少なくとも、ある時期までは、ここの城はオーガの城だったということになるわ」
俺が愕然とした。
だが、おかしい、俺は、一度悪魔崇拝者の疑いを受け、上級の魔導師に徹底的にしらべらえた。
だが、俺は悪魔とも契約していないし、悪魔やオーガの血筋でもなく、そのオーラも
まとっていないことが証明されている。
これはいったい、どういうことだ。
ひょっとして、カラバ公は悪魔だったが、人間の子を養子に迎えたのか?
初代カラバ公はどうして、どうやって、オーガの城を手に入れたのだ。
それともカラバ公というのはオーガだったのか。
俺の中に黒雲のような疑念がムクムクとわき上がってきた。
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【作者より、感謝を込めて】
この日を迎えられたのは、長年にわたり、Webで私の拙い物語を応援し続けてくださった、読者の皆様のおかげです。
そして、この物語を見つけ出し、最高の形で世に送り出してくださる、担当編集者様、イラストレーターの市丸きすけ先生、全ての関係者の皆様に、心からの感謝を。
本当に、ありがとうございます。
【これまでの主な実績】
アルファポリス ファンタジー部門 1位獲得
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