わがまま放題の悪役令息はイケメンの王に溺愛される

水ノ瀬 あおい

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聞いてくれ

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「サラと幸せになりたいんだ」
「ですが……」

 じっとその日記を見つめたままの父さん。
 眉は寄っているが、自分がかなり切ない顔をしていることに気付いていないのだろう。

「変えればいいだろう?身分も性別も関係なくただ愛することを諦めなくてもいいように!」

 リューラは再び俺の横に座って俺の手を握った。

「そんなの……」

 顔を上げた父さんがそれに気付いて目を細める。

「できるよ!俺が国王だからこそ、できる!」

 それでもリューラは俺の手を離さないで言い切った。

「ですが!」
「書類上では伯爵家の息子と娘をくっつけて、本当は違うカップルで隠す必要もなくなるぞ?」
「ご存知……」

 言いかけた父さんがパッと口を両手で覆う。
 リューラはそんな父さんに優しく微笑み掛けた。

「そうしなければ一緒に居られない子息たちが居るように、それができずに辛い思いをしている市民も居るんだ」

 城に留まらずどこへでも足を運ぶリューラだからこそ市民たちとの距離も近く、なかなか聞けないような本音まで拾い上げているのは事実。
 普通の王では目にしないようなことも見てきたんだろう。
 もしかしたら、一昨日ディオー村に来たのも?

「もう変えてもいいと思わないか?」

 リューラの言葉を聞いて父さんは再び先王の日記に目を落とした。
 浅く腰掛けてその開かれているページにゆっくり触れる。
 先王の文字をそっとなぞるように手を動かして涙の痕にもためらいつつ指を伸ばした。
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