わがまま放題の悪役令息はイケメンの王に溺愛される

水ノ瀬 あおい

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 キンとサフィナの剣先を弾いて外す。
 それでも体はブレずすぐに低い位置から狙ってくるのはさすがだ。
 一気に攻めて来られてそれを捌きながら足元の動きを見極める。
 グッとサフィナが踏み込んだそのタイミングで俺も力を込めて剣をぶつけた。

「っ!」

 一瞬の堪えた隙を逃さずそのまま俺は更に踏み込む。
 剣を弾き飛ばそうとしていた俺の動きを読んでいたのか、サフィナはパッと剣から手を離した。
 不意に力が抜けて突っ込みそうになる俺の脇腹にサフィナは拳を入れてくる。

「っ……はぁ……今回は負け、か?」

 軽く呻いて素直に認めると、ワッと歓声が上がった。

「凄ぇ!サライド様に勝ったぁっ!!」

 だが、一気に近付いてくる連中にフルフルと首を横に振ってサフィナはこっちを睨む。

「何でそんな簡単に負けを認めるの!?」
「あ?いや、それ入ってんだから」

 肩を竦めつつ剣を収めると、サフィナは口をへの字に曲げた。

「ズレて入っただけだから余裕のくせに?」

 こいつも結構偏屈だと思う。

「その腿にある短剣を抜かれてたら完全に負けてただろ?」

 長めの上着を払ってやるとその剣の柄が見えた。
 そんなところに短剣なんかを仕込んでおいて、よくあんな身軽に動けたものだ。

「でも、抜いてない!」

 まだ認めないサフィナの額を弾いてやる。

「俺を気遣ってな?」

 そこに顔を寄せつつ目を細めると、サフィナはグッと押し黙った。
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