わがまま放題の悪役令息はイケメンの王に溺愛される

代償

9

「そうか……」

　同じ公爵家の俺でもサフィナとの縁談話が出た時は驚いたほどの由緒正しい公爵家。
　その令嬢との結婚だなんてそりゃ一般家庭には荷が重いのかもしれない。

「でも、陛下のお陰で身分は関係なくなったもの……私を知ってもらうためにも私はラグランドル行きを志願したのよ」

　強い意志を感じるその瞳。
　令嬢のイメージとはかけ離れた決断にはそんな事情があったらしい。

「極端過ぎんだろ？」
「私らしいでしょ？」

　呆れる俺にサフィナは笑い掛ける。

「貴方様のお相手は気苦労が耐えないでしょうね」

　ため息を吐くとサフィナは腕を組んでムッとした。

「私は私のやりたいことを最後までやりきるわ！それは誰と結婚したって変えるつもりもないもの！」
「いいんじゃねぇの？」

　俺も立ち上がって伸びをする。

「俺も……今の開発を全力でやりきってやるよ！」
「なら、その村で式を挙げようかしら？」

　気合いを入れると、サフィナは指にあるリングにそっと触れた。

「お！いいな！」
「だからぁ……」

　頭の中で式のイメージを膨らませ始めたのにサフィナはまた呆れたような顔をする。

「俺たちは“友人”だろ？祝わせろよ」

　口を尖らせると、サフィナはフッと笑って息を吐き出した。

「ずっと脈なしだったってわけね」
「は？」

　小さいその声が聞こえず聞き直すと、サフィナはフルフルと首を横に振る。

「んーん！スッキリした！」

　グッと伸びをして笑うサフィナはキラキラと輝いて見えた。