406 / 753
うら若き有閑貴族夫人になったからには、安穏なだらだらニート生活をしたい。【1】
グレイ・ダージリン(54)
しおりを挟む
「まあ、何て美しいの! 底まで透き通って見えるわ」
サリーナの従兄弟だというオーギー・シンブリ達の迎えと案内で、僕達は獅子ノ庄の目と鼻の先まで来ていた。
獅子ノ庄は森に囲まれた巨大な湖畔の傍にある町だ。
その大きな湖を見たマリーが歓声を上げる。
僕も同じ気持ちだった。その透明度が高い湖は浅く大きく広がり、曇りの日にあっても神秘的なエメラルドを思わせる色を湛えている。
きっと晴れ渡った日に見たらもっと美しかっただろう。
「あそこを見てグレイ、水が湧き上がっているんだわ!」
マリーの指さす先を見ると、確かにそこの砂地がふわふわと上に動いていた。
「本当だ、湧き水が。ここは湧水湖だったのか」
「獅子ノ庄の名水は有名ですわ」
ナーテがそう教えてくれる。
サリーナがマリーに説明しているのを聞くと、獅子ノ庄の煮炊き・生活用水は全てここの水を使っているとか。
使った水を畑の植物に掛けたり、汚物を離れた森の中で肥料に変えたりして遊水湖の水が汚れないように保全に気を配っているらしい。
確かにこういう水でお茶を淹れたらさぞかし美味しいことだろう。
そんな所へ迎えに来てくださったのはサイモン様と獅子ノ庄当主ハンス・シンブリ卿。
鳥ノ庄のある山々の方から雷と雨雲が近付いてきていたので、僕達は獅子ノ庄の屋敷へと急いだのだった。
大きく立派な屋敷では、サリーナの母親のジュリーヌ夫人が迎え入れてくれた。
マリーのばあやのコジー夫人の娘だという夫人は、成る程よく似ていると思う。
コジー夫人のぎっくり腰についてマリーがジュリーヌ夫人に詫びているのが若干気になりながらも、僕はそれとなくカールとオーギーに注意を向ける。
オーギーは腕を組んで面白くなさそうにカールを睨みつけていた。
どうにも彼は何となくカールとサリーナの関係を何となく感づいたようだ。
従兄妹同士は結婚出来るし、もしかしたらオーギーはサリーナと結婚したいと考えているのかも知れない。
カールとサリーナはこの獅子ノ庄滞在中に婚約の旨を報告をするんだろうけれど、告白の場で僕が立会人になっているからなぁ……。
もしハンス・シンブリ卿が二人の仲を許さん! と怒ったらどうしよう。
そう考えたら、何だか胃がキリキリしてきた。
***
細心の注意を払い、サイモン様肝入りで丹念に作り上げられた『蒸気エンジン』模型。
それがやかんでお湯を沸かした時のような湯気を噴き出して車輪が回った瞬間、その場に居る全員が歓声を上げた。
僕の脳裏にマリーに見せて貰った『蒸気機関車』の姿が蘇る。彼女の言う通り、この模型を巨大化すればきっと作れるだろう。
目の前ではマリーとサイモン様が悪い笑顔で燃料である石炭を確保する算段をしている。
外の天気はお誂え向きに大荒れになっていた。
大雨が降り雷が鳴っている最中、高笑いをしているマリー達はまるで物語や劇に出て来る悪役そのもの。
しかもそれが似合い過ぎているから困ったものだ。
「グレイ様、マリー様。弟がご挨拶したいと申しております」
実験が無事終わった後、食事へと向かう途中。
サリーナがイサーク様より少し年上ぐらいの男の子を連れて来た。彼はサリーナに背中を押され、おずおずと前に出て騎士の礼を取る。
「グレイ・ダージリン伯爵閣下、マリアージュ姫様。お初にお目にかかります。姉がいつもお世話になっております。私はサリーナの弟のクルト・シンブリと申します」
「ご丁寧にありがとうございます。優秀なサリーナの弟さんなら将来が楽しみですね」
「まあ、サリーナにこんな可愛らしい弟さんが居たなんて! こちらこそ初めまして。お姉さんにはむしろこちらが常日頃からとてもお世話になっていますわ。クルト君、宜しくね!」
「ありがとうございます、姉の事を誇りに思っていますのでそう言って頂けて嬉しいです」
「慕われているんだね、サリーナ」
「はい、可愛い弟でございます」
サリーナは僅かに微笑みを浮かべてクルトを見つめ、その金髪をゆっくりと撫でる。
姉を見上げたクルトは、どこか泣きそうな顔で嬉しそうに笑った。
姉弟二人の間に何があったのかは僕には分からない。
だけど、もうそれは終わったことなのだろう。
設けられた晩餐の席で、獅子ノ庄の特産だという魚――恐らく湧水湖に泳いでいたものだろう――のチーズ焼きに舌鼓を打ちつつ、これまで回って来た隠密騎士の里についてマリーと共にサイモン様に報告をする。
紡績機、反射炉、高い所から落ちる速度を弱めるという落下傘、そして。
「マリーによれば、鋼の太い綱に人や荷物を載せられるような鉄の大きな箱を蒸気機関の力で牽引する『ロープウェー』という仕組みがあるそうです。
龍ノ庄の当主ルシエン卿にお聞きしたのですが、龍ノ庄からジュリヴァ方面へ行く道はかなり不便だとか。それでも龍ノ庄はあれだけ栄えているのです。山の麓から上まで『ロープウェー』で真っ直ぐ行けるようになれば大分便利になるかと思います」
僕としてはあそこにロープウェーがあればもっと流通が栄えるのにと思う。
勿論、龍ノ庄からジュリヴァ方面へ『ロープウェー』を建設するのが防衛上に憚りがあるのであれば、ダージリン領へ蒸気機関車を走らせるのはどうかと代案も付け加えた。蒸気機関車がナヴィガポールまで繋がれば、キーマン商会の船で物資を運べる。
「言っていることはもっともだが、人の往来が増えるということは便利になる利点の反面、攻められ易くなり防衛上の不安という欠点が出来てしまうことになる。
ロープウェーは隠密騎士達と防衛計画の練り直しが必要になるだろう。蒸気機関車にしても、ダージリン領を掌握した後だな」
確かに銀鉱山、これからは金鉱山とダイヤモンド鉱山か。良からぬ者達が涎を垂らして喜びそうなものが山地の中央部に集中している。キャンディ伯爵家という特殊な家柄、隠密騎士の機密も守らねばならないだろう。
「分かりました」
出来ないと言われているのではなく時間が必要とのサイモン様に、僕はもっともなことだと頷いて引き下がった。
ああ、そうだ。ルシエン卿に頼まれた例の件があったんだった。
「ルシエン卿が国外の護衛について、新たな里を作り専門の隠密騎士を育成してはどうかと。
私達が聖地へ向かった際、龍ノ庄の方が護衛をして下さっていたとか。ただ、国外での護衛に慣れておらず、また海での戦いや操船の経験が乏しく難儀されたそうです」
そこでルシエン卿に頼まれたのは、ナヴィガポールを拠点に海で活動する専門の新しい隠密騎士の里を作ってはどうかとサイモン様に具申して欲しいということだった。
それならばファリエロ達に頼んで船乗りの技術を学べるし、洋上の戦闘訓練をするのにも協力が得られる。大きなジュリヴァの港とは違い、ナヴィガポールは丁度良い規模だそうだ。
隠密騎士だけではなく、雪山の民からも新しい里へ人を出して貰えれば二つの山の民が一つになる第一歩となるだろう――そうルシエン卿は考えを述べた。
これに関しては賛成を得られたようで、隠密騎士家と雪山の民での婚姻を含めて徐々に話を進めていくことに。
そこまでは良かったのだけれど。
「ああ、そうだわ! 婚姻と言えば、蛇ノ庄で」
カールとサリーナに関して素敵な報告がある、とにこやかに手を打ち鳴らすマリー。
それまでにこやかな表情で話に耳を傾けていたハンス卿の表情が、瞬時にして険しいものとなった。
――うわあああ、これは駄目なやつだ!
サリーナの従兄弟だというオーギー・シンブリ達の迎えと案内で、僕達は獅子ノ庄の目と鼻の先まで来ていた。
獅子ノ庄は森に囲まれた巨大な湖畔の傍にある町だ。
その大きな湖を見たマリーが歓声を上げる。
僕も同じ気持ちだった。その透明度が高い湖は浅く大きく広がり、曇りの日にあっても神秘的なエメラルドを思わせる色を湛えている。
きっと晴れ渡った日に見たらもっと美しかっただろう。
「あそこを見てグレイ、水が湧き上がっているんだわ!」
マリーの指さす先を見ると、確かにそこの砂地がふわふわと上に動いていた。
「本当だ、湧き水が。ここは湧水湖だったのか」
「獅子ノ庄の名水は有名ですわ」
ナーテがそう教えてくれる。
サリーナがマリーに説明しているのを聞くと、獅子ノ庄の煮炊き・生活用水は全てここの水を使っているとか。
使った水を畑の植物に掛けたり、汚物を離れた森の中で肥料に変えたりして遊水湖の水が汚れないように保全に気を配っているらしい。
確かにこういう水でお茶を淹れたらさぞかし美味しいことだろう。
そんな所へ迎えに来てくださったのはサイモン様と獅子ノ庄当主ハンス・シンブリ卿。
鳥ノ庄のある山々の方から雷と雨雲が近付いてきていたので、僕達は獅子ノ庄の屋敷へと急いだのだった。
大きく立派な屋敷では、サリーナの母親のジュリーヌ夫人が迎え入れてくれた。
マリーのばあやのコジー夫人の娘だという夫人は、成る程よく似ていると思う。
コジー夫人のぎっくり腰についてマリーがジュリーヌ夫人に詫びているのが若干気になりながらも、僕はそれとなくカールとオーギーに注意を向ける。
オーギーは腕を組んで面白くなさそうにカールを睨みつけていた。
どうにも彼は何となくカールとサリーナの関係を何となく感づいたようだ。
従兄妹同士は結婚出来るし、もしかしたらオーギーはサリーナと結婚したいと考えているのかも知れない。
カールとサリーナはこの獅子ノ庄滞在中に婚約の旨を報告をするんだろうけれど、告白の場で僕が立会人になっているからなぁ……。
もしハンス・シンブリ卿が二人の仲を許さん! と怒ったらどうしよう。
そう考えたら、何だか胃がキリキリしてきた。
***
細心の注意を払い、サイモン様肝入りで丹念に作り上げられた『蒸気エンジン』模型。
それがやかんでお湯を沸かした時のような湯気を噴き出して車輪が回った瞬間、その場に居る全員が歓声を上げた。
僕の脳裏にマリーに見せて貰った『蒸気機関車』の姿が蘇る。彼女の言う通り、この模型を巨大化すればきっと作れるだろう。
目の前ではマリーとサイモン様が悪い笑顔で燃料である石炭を確保する算段をしている。
外の天気はお誂え向きに大荒れになっていた。
大雨が降り雷が鳴っている最中、高笑いをしているマリー達はまるで物語や劇に出て来る悪役そのもの。
しかもそれが似合い過ぎているから困ったものだ。
「グレイ様、マリー様。弟がご挨拶したいと申しております」
実験が無事終わった後、食事へと向かう途中。
サリーナがイサーク様より少し年上ぐらいの男の子を連れて来た。彼はサリーナに背中を押され、おずおずと前に出て騎士の礼を取る。
「グレイ・ダージリン伯爵閣下、マリアージュ姫様。お初にお目にかかります。姉がいつもお世話になっております。私はサリーナの弟のクルト・シンブリと申します」
「ご丁寧にありがとうございます。優秀なサリーナの弟さんなら将来が楽しみですね」
「まあ、サリーナにこんな可愛らしい弟さんが居たなんて! こちらこそ初めまして。お姉さんにはむしろこちらが常日頃からとてもお世話になっていますわ。クルト君、宜しくね!」
「ありがとうございます、姉の事を誇りに思っていますのでそう言って頂けて嬉しいです」
「慕われているんだね、サリーナ」
「はい、可愛い弟でございます」
サリーナは僅かに微笑みを浮かべてクルトを見つめ、その金髪をゆっくりと撫でる。
姉を見上げたクルトは、どこか泣きそうな顔で嬉しそうに笑った。
姉弟二人の間に何があったのかは僕には分からない。
だけど、もうそれは終わったことなのだろう。
設けられた晩餐の席で、獅子ノ庄の特産だという魚――恐らく湧水湖に泳いでいたものだろう――のチーズ焼きに舌鼓を打ちつつ、これまで回って来た隠密騎士の里についてマリーと共にサイモン様に報告をする。
紡績機、反射炉、高い所から落ちる速度を弱めるという落下傘、そして。
「マリーによれば、鋼の太い綱に人や荷物を載せられるような鉄の大きな箱を蒸気機関の力で牽引する『ロープウェー』という仕組みがあるそうです。
龍ノ庄の当主ルシエン卿にお聞きしたのですが、龍ノ庄からジュリヴァ方面へ行く道はかなり不便だとか。それでも龍ノ庄はあれだけ栄えているのです。山の麓から上まで『ロープウェー』で真っ直ぐ行けるようになれば大分便利になるかと思います」
僕としてはあそこにロープウェーがあればもっと流通が栄えるのにと思う。
勿論、龍ノ庄からジュリヴァ方面へ『ロープウェー』を建設するのが防衛上に憚りがあるのであれば、ダージリン領へ蒸気機関車を走らせるのはどうかと代案も付け加えた。蒸気機関車がナヴィガポールまで繋がれば、キーマン商会の船で物資を運べる。
「言っていることはもっともだが、人の往来が増えるということは便利になる利点の反面、攻められ易くなり防衛上の不安という欠点が出来てしまうことになる。
ロープウェーは隠密騎士達と防衛計画の練り直しが必要になるだろう。蒸気機関車にしても、ダージリン領を掌握した後だな」
確かに銀鉱山、これからは金鉱山とダイヤモンド鉱山か。良からぬ者達が涎を垂らして喜びそうなものが山地の中央部に集中している。キャンディ伯爵家という特殊な家柄、隠密騎士の機密も守らねばならないだろう。
「分かりました」
出来ないと言われているのではなく時間が必要とのサイモン様に、僕はもっともなことだと頷いて引き下がった。
ああ、そうだ。ルシエン卿に頼まれた例の件があったんだった。
「ルシエン卿が国外の護衛について、新たな里を作り専門の隠密騎士を育成してはどうかと。
私達が聖地へ向かった際、龍ノ庄の方が護衛をして下さっていたとか。ただ、国外での護衛に慣れておらず、また海での戦いや操船の経験が乏しく難儀されたそうです」
そこでルシエン卿に頼まれたのは、ナヴィガポールを拠点に海で活動する専門の新しい隠密騎士の里を作ってはどうかとサイモン様に具申して欲しいということだった。
それならばファリエロ達に頼んで船乗りの技術を学べるし、洋上の戦闘訓練をするのにも協力が得られる。大きなジュリヴァの港とは違い、ナヴィガポールは丁度良い規模だそうだ。
隠密騎士だけではなく、雪山の民からも新しい里へ人を出して貰えれば二つの山の民が一つになる第一歩となるだろう――そうルシエン卿は考えを述べた。
これに関しては賛成を得られたようで、隠密騎士家と雪山の民での婚姻を含めて徐々に話を進めていくことに。
そこまでは良かったのだけれど。
「ああ、そうだわ! 婚姻と言えば、蛇ノ庄で」
カールとサリーナに関して素敵な報告がある、とにこやかに手を打ち鳴らすマリー。
それまでにこやかな表情で話に耳を傾けていたハンス卿の表情が、瞬時にして険しいものとなった。
――うわあああ、これは駄目なやつだ!
250
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
伝説のS級おじさん、俺の「匂い」がないと発狂して国を滅ぼすらしいい
マンスーン
BL
ギルドの事務職員・三上薫は、ある日、ギルドロビーで発作を起こしかけていた英雄ガルド・ベルンシュタインから抱きしめられ、首筋を猛烈に吸引。「見つけた……俺の酸素……!」と叫び、離れなくなってしまう。
最強おじさん(変態)×ギルドの事務職員(平凡)
世界観が現代日本、異世界ごちゃ混ぜ設定になっております。
騎士団長様、クビだけは勘弁してくださいっ!
楠ノ木雫
恋愛
朝目が覚めたら、自分の隣に知らない男が寝ていた。
テレシアは、男爵令嬢でありつつも騎士団員の道を選び日々精進していた。
「お前との婚約は破棄だ」
ある日王城で開かれたガーデンパーティーの警備中婚約者に婚約破棄を言い出された。テレシアは承諾したが、それを目撃していた先輩方が見かねて城下町に連れていきお酒を奢った。そのせいでテレシアはべろんべろんに酔っ払い、次の日ベッドに一糸まとわぬ姿の自分と知らない男性が横たわっていた。朝の鍛錬の時間が迫っていたため眠っていた男性を放置して鍛錬場に向かったのだが、ちらりと見えた男性の服の一枚。それ、もしかして超エリート騎士団である近衛騎士団の制服では……!?
※他の投稿サイトにも掲載しています。
※この作品は短編を新たに作り直しました。設定などが変わっている部分があります。(旧題:無慈悲な悪魔の騎士団長に迫られて困ってます!〜下っ端騎士団員(男爵令嬢)クビの危機!〜)
五年後、元夫の後悔が遅すぎる。~娘が「パパ」と呼びそうで困ってます~
放浪人
恋愛
「君との婚姻は無効だ。実家へ帰るがいい」
大聖堂の冷たい石畳の上で、辺境伯ロルフから突然「婚姻は最初から無かった」と宣告された子爵家次女のエリシア。実家にも見放され、身重の体で王都の旧市街へ追放された彼女は、絶望のどん底で愛娘クララを出産する。
生き抜くために針と糸を握ったエリシアは、持ち前の技術で不思議な力を持つ「祝布(しゅくふ)」を織り上げる職人として立ち上がる。施しではなく「仕事」として正当な対価を払い、決して土足で踏み込んでこない救恤院の監督官リュシアンの温かい優しさに触れエリシアは少しずつ人間らしい心と笑顔を取り戻していった。
しかし五年後。辺境を襲った疫病を救うための緊急要請を通じ、エリシアは冷酷だった元夫ロルフと再会してしまう。しかも隣にいる娘の青い瞳は彼と瓜二つだった。
「すまない。私は父としての責任を果たす」
かつての合理主義の塊だった元夫は、自らの過ちを深く悔い、家の権益を捨ててでも母子を守る「強固な盾」になろうとする。娘のクララもまた、危機から救ってくれた彼を「パパ」と呼び始めてしまい……。
だが、どんなに後悔されても、どんなに身を挺して守られても、一度完全に壊された関係が元に戻ることは絶対にない。エリシアが真の伴侶として選ぶのは、凍えた心を溶かし、温かい日常を共に歩んでくれたリュシアンただ一人だった。
これは、全てを奪われた一人の女性が母として力強く成長し誰にも脅かされることのない「本物の家族」と「静かで確かな幸福」を自分の手で選び取るまでの物語。
【完結】「神様、辞めました〜竜神の愛し子に冤罪を着せ投獄するような人間なんてもう知らない」
まほりろ
恋愛
王太子アビー・シュトースと聖女カーラ・ノルデン公爵令嬢の結婚式当日。二人が教会での誓いの儀式を終え、教会の扉を開け外に一歩踏み出したとき、国中の壁や窓に不吉な文字が浮かび上がった。
【本日付けで神を辞めることにした】
フラワーシャワーを巻き王太子と王太子妃の結婚を祝おうとしていた参列者は、突然現れた文字に驚きを隠せず固まっている。
国境に壁を築きモンスターの侵入を防ぎ、結界を張り国内にいるモンスターは弱体化させ、雨を降らせ大地を潤し、土地を豊かにし豊作をもたらし、人間の体を強化し、生活が便利になるように魔法の力を授けた、竜神ウィルペアトが消えた。
人々は三カ月前に冤罪を着せ、|罵詈雑言《ばりぞうごん》を浴びせ、石を投げつけ投獄した少女が、本物の【竜の愛し子】だと分かり|戦慄《せんりつ》した。
「Copyright(C)2021-九頭竜坂まほろん」
アルファポリスに先行投稿しています。
表紙素材はあぐりりんこ様よりお借りしております。
2021/12/13、HOTランキング3位、12/14総合ランキング4位、恋愛3位に入りました! ありがとうございます!
初夜に暴言を吐いた夫は後悔し続ける──10年後の償い【完結保証】
星森 永羽
恋愛
王命により、辺境伯ロキアのもとへ嫁いだのは、金髪翠眼の美しき公爵令嬢スフィア。
だが、初夜に彼が告げたのは、愛も権限も与えないという冷酷な宣言だった。噂に踊らされ、彼女を「穢れた花嫁」と罵ったロキア。
しかし、わずか一日でスフィアは姿を消し、教会から届いたのは婚姻無効と慰謝料請求の書状──。
王と公爵の怒りを買ったロキアは、爵位も領地も名誉も奪われ、ただの補佐官として生きることに。
そして十年後、運命のいたずらか、彼は被災地で再びスフィアと出会う。
地位も捨て、娘を抱えて生きる彼女の姿に、ロキアの胸に去来するのは、悔恨と赦しを乞う想い──。
⚠️本作はAIの生成した文章を一部に使用しています。
過去1ヶ月以内にレジーナの小説・漫画を1話以上レンタルしている
と、レジーナのすべての番外編を読むことができます。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。
番外編を閲覧することが出来ません。
過去1ヶ月以内にレジーナの小説・漫画を1話以上レンタルしている
と、レジーナのすべての番外編を読むことができます。
このユーザをミュートしますか?
※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。