衣夢々談(きぬむむだん) ――これはガチで死んだなと思ったら、夢にまで見た異世界でチート級超能力者だった。なお、

テジリ

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追千乃多民(つちのたみ)

【自作】入国審査

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 あやぎり朝の地媛(つちひめ)は、前戴冠・レイヨ冠の隠し子。
 胎児の頃に、母タマル冠が長上に嫁いだのは有名な話。

 もし彼女が男に産まれていたならばーー
 今頃は、とっくに土の中に居た。

 ✶

 へゴン宮を出た寸受死呂スズシロ一派は、
 サルヌリ朝から堂々と、あやぎり朝の関所へ渡った。
 寸受死呂スズシロ親方は、涙ながら関守役人に語る。

「私はへゴン宮の信徒。毎年欠かさずお布施をしております。
 これが証拠のーー『信徒限定☆悪霊退散☠』護符です」

 関守は、資料と護符を突き合わせてしげしげと確認する。
 寸受死呂スズシロ親方は、熱を込めて語る。

「10枚以上、先代の衣香さまのものもございます✨️
 我こそが教祖・衣縫さまの仇を討つのだ!
 聞けば不老不死の秘薬も、衣縫さまから奪われたというではないか💢」

 関守は、具体的にどのような手段と方法で、
 あだ討ちを達成する予定なのかたずねる。
 愛人・ハクベラが、すかさずしゃしゃり出る。

「親方に代わって、
 あたしハクベラが説明申し上げます。
 奪われた秘薬の正体は、羽衣だそうです。

 親方は、本物の不老不死薬と偽って、
 戴冠へ水銀を献上するという計画です」

 関守役人は、思わず感心した。
 もう一押しだ。ハクベラは、更に続けて言う。

「我々は、あやぎり朝への定住や、悪さなどしません!
 あくまで水銀輸入のために、
 荒浪と連絡を取りたい! 

 彼はあたしと双子の兄弟。
 アラナム本人に聞いてくだされば、分かります」

 ✶

 古代においてーー
 仇討ちは、特殊事情として最大限配慮される。

 関守役人は、
 最上位者・地媛(つちひめ)に判断を仰いだ。

「ふーん…あだ討ちねえ。
 仇相手は? ハクゴ冠? なんと素晴らしい。
 この地媛(つちひめ)、健闘を祈っておるぞ」

 古代の水銀中毒は、即死ではない。
 だからこそ地媛(つちひめ)は、
 サルヌリ朝の国力を削ぐ分には、構わないと判断した。
 むしろハクゴ冠が更にトチ狂って統治した方が、
 サルヌリ朝逃亡民は、勝手に内乱で死ぬだろう。


 寸受死呂スズシロ一派は、無事関所を通過した。



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