衣夢々談(きぬむむだん) ――これはガチで死んだなと思ったら、夢にまで見た異世界でチート級超能力者だった。なお、

テジリ

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文明

【自作】瓜二つ

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 幻(まぼ)は尋問に、口を固く閉ざした。
 この大陸気取りの衣染人(いぞめじん)どもめ。

 コイツラは麻布を染め上げ、
 蚕をわざわざ育て、生きた繭を釜茹でにしながら、絹織物を作る。
 なんというぜいたく三昧。

 自然神への感謝を忘れ、文明開化と称しーー
 幻達のように、まつろわぬ民を恵比寿と呼んだ。

「素敵な生き方。予も!」

 女教祖・衣縫も、そう言って長兄に近づきーー
 しかし郷にも入らず、夫にも従わず。

 挙句の果てには、托卵がバレて逃げ出した。
 幻たちの先祖が環濠集落を築いたのも、
 すべては衣染人(いぞめじん)の争いに巻き込まれんが為。

 衣縫の跡取り娘・衣打は、
 衣縫が長兄と別れた後に、愛人と儲けた娘。
 いわば、衣縫の罪の結晶だ。

「衣打ってムスメはさ……
 母教祖を弑逆し、まんまとサルヌリ宮廷へ転がり込んだんだよ。
 まったく、末恐ろしい幼女、いや妖女だ」

 旅の途中で知り合った流人母子。
 その母親ハクベラが、訳知り顔で幻に語り聞かせる。
 幻はいつしか、正義感にかられ黒曜石を砕いていた。

 母が母なら、娘も娘。
 早めに弑してやった方が、道を踏み外さずに済むだろう。

 ✶

 ハイターク一族の根城。
 その独房に、月明かりが差し込んだ。
 幻は移送中に抵抗し、手ひどく殴られた。
 その顎が、未だに痛んだ。

「わあ~痛そう。カッコイイ顔が台無し♪」

 幻は思わず、頭を抱えて踞る。
 とうとう幻聴が……
 どうせもうじき、太子許嫁を狙った暗殺犯として処刑されるというのに。
 やはり、しぬのは怖い。

 自然神はなぜ、長兄すら助けてはくれなかったのだろうか?
 幻ひとり、どうやって生き抜けと?

「ゆわわか~♪ カギ開けて」

「兄者、正気? コイツ、正真正銘のイダ束暗殺犯だよ?」

 幻は顔を上げ、目を見開く。
 自分と瓜二つの衣染人(いぞめじん)が、牢内に立っている。

「大叔母さまの仰る通りだ。
 いや…どちらかといえば、霧彦に似てるかなあ?
 霧彦は、なき天媛似。会ったことはないけれど。
 美しい顔って、決まった型があるもんね」

 それこそがーー、
 縄文児・幻と、
 あやぎり朝の次期宗主・室稚君との初邂逅だった。



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