衣夢々談(きぬむむだん) ――これはガチで死んだなと思ったら、夢にまで見た異世界でチート級超能力者だった。なお、

テジリ

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太将首

【自作】火矢

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 当射は、落ち着き払って火矢を用意する。
 爽国の養父から教わった手はず通りに。

 いざ港へーー、

 当射は、夜釣りの小舟を偽装した。
 灯火を点けず、ゆっくりゆっくりと櫂をこいで、大きな船影に近付いて行く。

「ココまでくれば、よゆ~で届く」

 当射が火打石を取り出した、次の瞬間ーー、

「ご苦労さま♡」

 うら若き乙女の声が聞こえ、
 当射は慌てて、船底に身を伏せる。

 海魔だ。漁師や船乗りを、歌で誘うバケモンだ。

 ✶

 あなたは、サルヌリ宮廷の華。
 戴冠の猶子・イダ束だ。

 あなたは、古代超能力者。
 未来予知により、船に火をかける、不届き者を待ち構えていた。
 下手人は、意外に年若い。まだ少年と言える年頃だ。
 ゴツゴツと、真夜中の海上で、火打石を鳴らすおのこ。

 知らず、あなたは笑みが溢れる。

「ご苦労さま♪」

 ✶

 数刻前。
 幻(まぼ)ーー峰稚君は、
 あなたこと、初恋美少女・イダ束の正気を疑った。

「海上で!? 放火犯と!? 相まみえる!?
 イダ束…お気をたしかに😱!!」

 あなたは、エッヘン。

「予は平気。未来予知で、安全は保障されている」

 峰稚君は、護衛将軍オウスを頼る。

「オウス将軍💢 イダ束を止めなくてどうする!! それでも護衛か?」

 オウスは、エッヘン。

「イダ束は、古代超能力者。某の出る幕ではござらぬ🦧✨️」

 あなたは、なおも噛みつく峰稚君を軽くいなす。

「心配ありがとう♪
 それじゃ…峰稚君が同行してくれるんだよね?」

 ✶

 当射は、変わらず船底に張り付いていた。
 ふと、気が付く。海魔め、襲って来ないぞ。

 身を伏せたまま、弓矢をたぐり寄せる。
 気が引き締まり、落ち着きを取り戻す。
 当射は、少しだけ身を起こした。
 あちら側は、灯火を掲げている。人影は2人。
 バレたのなら、火矢は諦めよう。
 当射は、利き手で矢をつがえ、放つ。

「ぐ…」

 1人倒れた。乙女ではなく、
 さして自分と変わらないような、少年の声で。

『あーらら生贄キッズ…後悔しないといいケド…』

 当射のイマジナリーマザー・女祭は、妙なことを口走る。
 しかし気にしている余裕などない。
 当射は急いで櫂を操り、暗い海上から離脱した。


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