衣夢々談(きぬむむだん) ――これはガチで死んだなと思ったら、夢にまで見た異世界でチート級超能力者だった。なお、

テジリ

文字の大きさ
1 / 47
プロローグ

あ、コレ死んだわガチで

しおりを挟む
 その日のあなたは、まったく知らない行きたくもない、
 どこぞの地元企業の説明会帰りだったかと思う。

 ✶

 そもそもあなたには――
 エントリーシートや履歴書に書くネタや、
 就活の面接試験では、必須のアピールポイントとなるガクチカが……
 絶望的に無い。
 従って内定など夢のまた夢だった。

 あなたには何もない。
 ただ流されるまま進学し、
 留年こそしなかったものの、
 部活やサークルには無所属で、
 つるむ相手の一人も居らず、
 従って講義の机は最前列。

 ✶

 ノートの貸し借りも、
 テストの過去問も入手不可能であるからして、
 必然的に講義へは出席するが、
 興味など更々ない学問分野など、
 学ぶ意欲は初めから欠如していた。

 確かに学生生活ほど、
 あなたのような孤立キャラに恵まれた環境は無い。
 どれだけ社交性が乏しかろうと、
 そもそも関わり合う機会が無いのだから。
 小中高にありがちな、虐めにまでは発展しづらい。

 ✶

 しかしあなたのように、
 対人スキルの低い者は、
 まずバイト面接で躓いてしまう。
 何とか受かるようなバイト先と巡り合うまで
 延々と面接し続けるか、
 はたまた誰でもOKな派遣バイトへ登録し、
 細々と単発バイトをこなすのが精々だ。

 そうしているうちに就活が始まり、
 あなたはまた、同じように面接地獄へ直面する。
 ペーパーテストは行けたとしても、
 そこから先へは進めない。

 ✶

 これが進学だったなら、
 それでも何とか受かるような学校はあった。
 しかしそんな会社は無い。

 公務員試験にだって面接はあるのだ。
 面接なくして職はなし。
 かくしてあなたは行き詰まり、
 無職の恐怖に怯えるのだ。

 ✶

 それでも代返相手の一人も居ないあなたは、
 必要単位の講義をすっぽかすことはできない。
 危ういスピードで自転車を走らせ、
 派手に転び道端で意識は暗転する。

 ――あ、コレ死んだわガチで。

しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

いまさら謝罪など

あかね
ファンタジー
殿下。謝罪したところでもう遅いのです。

【完結】あなたに知られたくなかった

ここ
ファンタジー
セレナの幸せな生活はあっという間に消え去った。新しい継母と異母妹によって。 5歳まで令嬢として生きてきたセレナは6歳の今は、小さな手足で必死に下女見習いをしている。もう自分が令嬢だということは忘れていた。 そんなセレナに起きた奇跡とは?

敵に貞操を奪われて癒しの力を失うはずだった聖女ですが、なぜか前より漲っています

藤谷 要
恋愛
サルサン国の聖女たちは、隣国に征服される際に自国の王の命で殺されそうになった。ところが、侵略軍将帥のマトルヘル侯爵に助けられた。それから聖女たちは侵略国に仕えるようになったが、一か月後に筆頭聖女だったルミネラは命の恩人の侯爵へ嫁ぐように国王から命じられる。 結婚披露宴では、陛下に側妃として嫁いだ旧サルサン国王女が出席していたが、彼女は侯爵に腕を絡めて「陛下の手がつかなかったら一年後に妻にしてほしい」と頼んでいた。しかも、侯爵はその手を振り払いもしない。 聖女は愛のない交わりで神の加護を失うとされているので、当然白い結婚だと思っていたが、初夜に侯爵のメイアスから体の関係を迫られる。彼は命の恩人だったので、ルミネラはそのまま彼を受け入れた。 侯爵がかつての恋人に似ていたとはいえ、侯爵と孤児だった彼は全く別人。愛のない交わりだったので、当然力を失うと思っていたが、なぜか以前よりも力が漲っていた。 ※全11話 2万字程度の話です。

〈完結〉遅効性の毒

ごろごろみかん。
ファンタジー
「結婚されても、私は傍にいます。彼が、望むなら」 悲恋に酔う彼女に私は笑った。 そんなに私の立場が欲しいなら譲ってあげる。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

悪役令嬢の慟哭

浜柔
ファンタジー
 前世の記憶を取り戻した侯爵令嬢エカテリーナ・ハイデルフトは自分の住む世界が乙女ゲームそっくりの世界であり、自らはそのゲームで悪役の位置づけになっている事に気付くが、時既に遅く、死の運命には逆らえなかった。  だが、死して尚彷徨うエカテリーナの復讐はこれから始まる。 ※ここまでのあらすじは序章の内容に当たります。 ※乙女ゲームのバッドエンド後の話になりますので、ゲーム内容については殆ど作中に出てきません。 「悪役令嬢の追憶」及び「悪役令嬢の徘徊」を若干の手直しをして統合しています。 「追憶」「徘徊」「慟哭」はそれぞれ雰囲気が異なります。

妻からの手紙~18年の後悔を添えて~

Mio
ファンタジー
妻から手紙が来た。 妻が死んで18年目の今日。 息子の誕生日。 「お誕生日おめでとう、ルカ!愛してるわ。エミリア・シェラード」 息子は…17年前に死んだ。 手紙はもう一通あった。 俺はその手紙を読んで、一生分の後悔をした。 ------------------------------

魅了の対価

しがついつか
ファンタジー
家庭事情により給金の高い職場を求めて転職したリンリーは、縁あってブラウンロード伯爵家の使用人になった。 彼女は伯爵家の第二子アッシュ・ブラウンロードの侍女を任された。 ブラウンロード伯爵家では、なぜか一家のみならず屋敷で働く使用人達のすべてがアッシュのことを嫌悪していた。 アッシュと顔を合わせてすぐにリンリーも「あ、私コイツ嫌いだわ」と感じたのだが、上級使用人を目指す彼女は私情を挟まずに職務に専念することにした。 淡々と世話をしてくれるリンリーに、アッシュは次第に心を開いていった。

処理中です...