【全年齢版】媛彦談《ひめひこだん》〜足掻手《アガデ》〜

テジリ

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いくさは人に 恋はおのれに

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長上の脳裏に、焼き付いて離れない光景がよぎった。

――天媛の最期。
血まみれの笑顔で、
「ええやんええやん。一つ位、頼まれてくれたって」

長上は、目頭を押さえた。

「……図に乗るな」

声が、急に低くなる。

霧彦は困惑した。
(えっ……何で?)

でもここで引き下がったら、霧彦はこの初日以降、いつお目通りが叶うか分からない。
この際、仕方がない。

ならば――

「私も働かせてください。
 長上のお役に立ちたいのです」

「人手は足りてる。
 ふっ、そこまで言うならしょうがない。
 一人戯びでもして、房事を鍛えろ」

霧彦は、顔面から火が吹き出しそうになった。
(うっわ、言わなきゃよかった!!)

長上は、完全にふざけた口調。
「ではな、霧彦。
 明日から肖え物を寄越して遣わす。
 成果に期待してるぞ」

――呵々大笑で、長上は去っていった。

霧彦は、放心状態で座り込んだ。

(……俺……とんでもないこと言っちゃった……?)



翌朝――

ムニャムニャ……💤
「あともうちょっとだけ……ううん……」

バッサァァァン💥!!

寝具ごと蹴り飛ばされ、
霧彦は床に転がった。

「起きなされ霧彦、いつまで寝こけておるかっ!!」

目の前に立っていたのは、
男か女か判別不能の謎の人物だった。

「……しつりと申す。以後お見知りおきを」

「……ムニャ? 誰だお前ーーーーーーー!!?」

――こうして、
霧彦の“房事修行”が、
墓穴の如く始まった。

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