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タマル冠(たまるかん)
【自作】貧すれば鈍する
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「レイヨ…タマルをたすけて…」
大空を、鳥が羽ばたく。サルヌリ朝の方角へと去っていく。
世間乎 宇之等 夜佐之等 於母倍杼母
飛立可祢都 鳥尒之 安良祢婆
(世の中を 憂しとやさしと 思へども
飛び立ちかねつ 鳥にし あらねば)
ーー世の中をつらい、恥かしいと思うのだが、
飛び立ち逃れることはできない。
鳥ではないので。
【山上憶良(やまのうえのおくら)】
✦
サルヌリ朝。
うるわしき鬼・戴冠はーー
あやぎり朝から届いたばかりの文をほうった。
「うわわっ、戴冠! よろしいのですか?」
ハイタークは、サルヌリ宮廷の床に滑り込み、文を片手キャッチ。
「燃やせ。大した内容ではない」
「戴冠、それなら床の雑巾がけをいたします!」
「愚かなりハイターク。墨で汚したいのか?」
ハイタークは、すごすごと引き下がった。
彼は宮廷の庭で文を焚きつけに、
里芋をいくつか焼いて、熱々のまま皮を剥いて頬張る。
「モグモグ……タマル冠、お元気であろうか?」
✦
昨日も今日も、レイヨ冠からの返事はない。
明日も明後日も明々後日も、同様に。
あやぎり朝は、文を隠しているのでは?
タマル冠からレイヨ冠へ
レイヨ冠からタマル冠へ
あるいは、その両方を。
「長上! 内(うち)が鳥を飛ばす🐵💢」
何羽も、何十羽も、報せの鳥を放つタマル冠。
しかし、長上あての返事は届くが、
タマル冠には何もない。
✦
「オホホ🪭 少し冷却期間を置いては?
殿方はーー押せ押せ!
では、腰が引けてしまいますことよ♪」
最年少の杼媛(とちひめ)は、訳知り顔で講釈を垂れる。
タマル冠は、ジトッ…と、年下相手に睨みつける。
杼媛は、長上のロリ婚反対主義によって清いまま。
だがこの小娘は、後宮で問題ばかり起こし、偽装初夜で媛となったのは有名な話。
本来媛とはとても呼べない。
実質タマル冠と同じなのに。
✦
霧越京宮殿の後宮。ここは女の園。
タマル冠の加入前、一人の媛が去った。
それが管媛(くだひめ)、
蒿雀亜久里(あおじのあぐり)。
彼女は、前夫との間に一人息子を設けていた。
管媛以外の媛達は、全員が独身。
ゆえにタマル冠は、異変や不調を誤魔化せた。
医女の定期検診は、健康優良児だからと拒んだ。
出血は、
婚資の磁力石で蒐めた砂鉄を酸化させ、赤茶色やニオイを再現。
出血量には個人差があるので、
洗濯係の使用人たちは、気にもとめない。
唯一人、庭師の女は、ふと作業の手を止める。
ーーあの足さばき……
身体の線が分かりづらい衣服……
よもや。
だが、彼女は単なる庭師。
それにタマル冠は、結婚同盟によって嫁いだお方。
首尾よくご懐妊とあらば、あやぎり朝の媛達からの反感は必至。
長上のご指示かも知れない。きっとそうだ。
【引用資料】
万葉百科 奈良県立万葉文化館
万葉百科 > 歌詳細
歌詳細
世の中を憂しとやさしと思へども飛び立ちかねつ鳥にしあらねば
(2025/12/11 18:10アクセス)
https://manyo-hyakka.pref.nara.jp/db/detailLink?cls=db_manyo&pkey=893&utm_source=chatgpt.com
大空を、鳥が羽ばたく。サルヌリ朝の方角へと去っていく。
世間乎 宇之等 夜佐之等 於母倍杼母
飛立可祢都 鳥尒之 安良祢婆
(世の中を 憂しとやさしと 思へども
飛び立ちかねつ 鳥にし あらねば)
ーー世の中をつらい、恥かしいと思うのだが、
飛び立ち逃れることはできない。
鳥ではないので。
【山上憶良(やまのうえのおくら)】
✦
サルヌリ朝。
うるわしき鬼・戴冠はーー
あやぎり朝から届いたばかりの文をほうった。
「うわわっ、戴冠! よろしいのですか?」
ハイタークは、サルヌリ宮廷の床に滑り込み、文を片手キャッチ。
「燃やせ。大した内容ではない」
「戴冠、それなら床の雑巾がけをいたします!」
「愚かなりハイターク。墨で汚したいのか?」
ハイタークは、すごすごと引き下がった。
彼は宮廷の庭で文を焚きつけに、
里芋をいくつか焼いて、熱々のまま皮を剥いて頬張る。
「モグモグ……タマル冠、お元気であろうか?」
✦
昨日も今日も、レイヨ冠からの返事はない。
明日も明後日も明々後日も、同様に。
あやぎり朝は、文を隠しているのでは?
タマル冠からレイヨ冠へ
レイヨ冠からタマル冠へ
あるいは、その両方を。
「長上! 内(うち)が鳥を飛ばす🐵💢」
何羽も、何十羽も、報せの鳥を放つタマル冠。
しかし、長上あての返事は届くが、
タマル冠には何もない。
✦
「オホホ🪭 少し冷却期間を置いては?
殿方はーー押せ押せ!
では、腰が引けてしまいますことよ♪」
最年少の杼媛(とちひめ)は、訳知り顔で講釈を垂れる。
タマル冠は、ジトッ…と、年下相手に睨みつける。
杼媛は、長上のロリ婚反対主義によって清いまま。
だがこの小娘は、後宮で問題ばかり起こし、偽装初夜で媛となったのは有名な話。
本来媛とはとても呼べない。
実質タマル冠と同じなのに。
✦
霧越京宮殿の後宮。ここは女の園。
タマル冠の加入前、一人の媛が去った。
それが管媛(くだひめ)、
蒿雀亜久里(あおじのあぐり)。
彼女は、前夫との間に一人息子を設けていた。
管媛以外の媛達は、全員が独身。
ゆえにタマル冠は、異変や不調を誤魔化せた。
医女の定期検診は、健康優良児だからと拒んだ。
出血は、
婚資の磁力石で蒐めた砂鉄を酸化させ、赤茶色やニオイを再現。
出血量には個人差があるので、
洗濯係の使用人たちは、気にもとめない。
唯一人、庭師の女は、ふと作業の手を止める。
ーーあの足さばき……
身体の線が分かりづらい衣服……
よもや。
だが、彼女は単なる庭師。
それにタマル冠は、結婚同盟によって嫁いだお方。
首尾よくご懐妊とあらば、あやぎり朝の媛達からの反感は必至。
長上のご指示かも知れない。きっとそうだ。
【引用資料】
万葉百科 奈良県立万葉文化館
万葉百科 > 歌詳細
歌詳細
世の中を憂しとやさしと思へども飛び立ちかねつ鳥にしあらねば
(2025/12/11 18:10アクセス)
https://manyo-hyakka.pref.nara.jp/db/detailLink?cls=db_manyo&pkey=893&utm_source=chatgpt.com
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