【全年齢版】媛彦談《ひめひこだん》〜足掻手《アガデ》〜

テジリ

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ごめんねぇぇ長上!! 昔の男なんか今すぐ始末するから……!そこをどいてぇ!!

鬼女

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 勾人の母は、ため息をつきながら幽鏡に言った。

「神童女子って、大人びて見えるのね。
 それだけ優秀すぎるというか……」

 勾人の母は、
 どこか遠いものを見る目でそう言った。
 それは褒め言葉でも、慰めでもない。

「早くに出産したら、もう神童扱いされない。
 ただの、いち母親。
 認められない代償行為として……
 産まれた男子を、ついつい
 甘やかして育てちゃう」

 その言葉は、母という役割が負わされた代償を、
 静かに示していた。

「結果としてその男子がーー
 快楽・依存に走って、次代を壊す」

 勾人の母は、息子勾人を見つめて言った。
 他人の失敗談ではない。再現性の高い失策だった。


 ✦


 長上は、小寿林氏ではない。しかも男。  
 だが、神童量産体質の小寿林氏は、教育にも長けていた。

 傅役は、指導方法として好みの拷問に走ったが、 
 その多大なるデバフがあっても通用するほどに、  
 優れた育成力を母・幽鏡から受け継いでいた。

 なのにーー
 それはまるで、自身の尾を食む蛇の如く、持続可能性に欠けていた。



 ✦


 鬼女・幽鏡は、ニコニコ笑いながら、  
 絶対に実現不可能な呪いを吐いた。

「極端な若年出産は避けられない運命だったのであれば――」 

 鬼女にしては、やけに柔らかい声。
 その内容はまるで、実現されずに打ち捨てられた、設計図。

「いっそのこと、
 役に立つ幽鏡を領主にして、 
 弁の立つ阿諛は外交使者に育成し、 
 腕の立つ傅役はーー
 跡取りに据えれば良かったものを」

 河川敷の霧が、少しだけ濃くなった。  
 石塔は、静かに崩れた。 

 ただの幽鏡は笑顔のまま、黄泉の深みへと沈んでいった。


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