タイマヲマイタ 【Eランク大学生時代】

テジリ

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おほほほほほほほほほほ! あはははははははははは!

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 タイトルは、遂に狂いやがったなこの作者、ではなく。野々下 灯枇あけびが敗れたセンター試験の現代文にあるセリフである。勘違いされると困るので一応書いておくと、別に強がりでも何でもなく、灯枇あけびは現代文の中でこの笑い声を上げた、トチ狂った両親に動揺して点が取れなかった訳では無い。

むしろ現代文自体は面白かったので、感心して読んだ。センター試験終了後にネットサーフィンをしていたら、そこでは大変話題になっていたので、逆に驚いたくらいだ。


 灯枇あけびは、今まで何とな~く答えが分かるという、恐らくは長年の読書経験に裏打ちされた謎感覚で文系科目を解き、それなりの高得点を稼ぐことで、足を引っ張る理系科目をカバーし、低空飛行の全体成績を維持していた。しかし来たるセンター試験本番で、とうとうそのツケが回って来た。一応現代文といえども受験テクニックという物があり、それに従って解く方法を、灯枇あけびは高校の現代文の授業の中で、作家先生から習っていた。


しかし、それまでずっと感覚派で問題を解いて、概ね正解し続けていた灯枇あけびには、作家先生が言う解き方は性に合わなかった。まず最初と最後を読んで、次に問題文を読み、その該当箇所を探して線を引いて答えを探す――といった感じの解き方は、読書家の灯枇あけびには、酷く無機質で冷たいもののように感じられた。

何だか出題に用いられている現代文自体が蔑ろにされているような、そんな気がしたのと、慣れない解き方ではやはり逆に間違ってしまうので、灯枇あけびはそれまで通り感覚で解いていた。だがそれがあだとなり、センター試験本番で、岡本かの子氏の小説「快走」を使った現代文問題の解答をことごとくはずした。

更には泣きっ面に蜂で、古典問題の源氏物語についても、灯枇あけびは主人公・光源氏の末路ならともかくとして、その次世代である息子・夕霧と、夕霧の従姉妹・雲居の雁の君の恋愛模様までは、うっすらとしか把握しておらず、センター試験後に市立図書館で見た学習漫画で、自身の誤答に気が付いて血の気が引いた。

漢文については、元々苦手だったので完全な勘頼みである。そもそもマーク式のセンター試験とは、うろ覚えによる消去法こそが最も強い威力を発揮する。だからこそ、分からなくても1個だけマークしておけば、宝クジを買うよりは当たる可能性が高い。


灯枇あけび以外の必由館高校からのセンター受験生も、国語の自己採点結果はあまりかんばしく無く、後から先生達の誰かから聞いた話だと、特に国語試験の場合、感覚で解いている人間は、実は出題者との相性によって正解しており、出題者との相性が悪ければ、ことごとくはずしてしまうのだそうだ。


 ちなみに聞くところによると、今はどうだか知らないが、そもそもセンター試験というものは必ず、どんなにどマイナーな高校教科書でも良いので、一応それに載っている内容じゃないと出題出来ないらしい。それと問題を考える先生達は、各地の高校やら教育委員会やら大学? やらから選りすぐられて、どこか秘密の場所で事前に流出する事の無いように、とにかくこっそりと、センター試験問題というのは考えられているらしい。


また、センター試験の問題自体は、底辺高生だろうとトーリエ高生だろうと、同じ問題で同時に試験を受ける。そこにあるのは学校名ブランドでは無く、単に受験生本人に解けるか解けないか、ただそれだけである。勿論その後は大学ごとに二次試験やら、面接やらが待ち構えてはいるのだが。



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