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腕白ぼうやとホイポイロイ
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帰宅したシャリムはシャハルが出て行ったと知るや否や、泣きじゃくりながら伴侶の部屋に引き篭もった。
「畜生、何でダメなの? しょうがないじゃん、好きなんだから。……あー、あの人の匂い……フッ、もう消える前にいっちょ抜いとくか」
しばらく1人で快楽を追究していると、アリネがノックもせずに部屋に乗り込んで来た。
「出てってくれないか。人に見られてると気が散る」
「あーらら、太子様ったら結構なド変態ですね。ところで太子、本当に彼の儷で在り続けたいんですか。わたくしには、必死になって理想の兄に縋り付く、情けない弟の姿にしか見えないんだけど。
あ、分かった。太子って我儘だから。どんな愛情も全部良いとこ取りしたいんだ。まったく、最後の最後にとんだ暴君が産まれたものですね、これでヴィンラフ朝もお終いです」
「煩いな、良いよもう子供なんか。あの人は永遠に自分のものだ。その代わり自分も、永遠にあの人のものだ」
そう言っていつの間にか寝落ちしたシャリムは、何となく寝苦しくなって目を覚ました。
「え? うわあっ、何で!?」
「んー、うるさいなあ。ここは僕のベッドでしょ、何か文句でもある?」
「あの、ええっとその、あなたの留守中にちょっと汚してしまいまして……」
「そんなの後で洗えば良いじゃん、おやすみシャリム」
起きて真っ先に手を洗いに行ったシャリムは、急いで戻って来て気持ちを伝えた。
「このままでは、おままごとの恋で終わってしまう。貴方がいつかちゃんとした恋のお相手を見付けたら、こんな自分からは離れていってしまいます」
「そぎゃんね? 恋ってそがん良く無かよ? 大体面倒臭か~。それん僕、ホントは今ん仕事も嫌いじゃ無か。あれたい! 行きよる最中にボーッとすると。あれ良かつたい! 落ち着くと。むしろ着かん方が良かと。どうせ分からんど? 僕が今何を言ったのか」
まあ僕は僕で一応目的があったから?
それは事前に伝えておくべきだったと今では反省しているよ。
僕のもう一つの仕事は、文化人類学者だろ? まあ論文書くのとか、人付き合いとか会議とか面倒くさいし、学会からは離れちゃって久しいけど。
研究なんて人に見せる目的が無ければ、適当に乱読したり普段の生活で見て聞いたり経験した事を全部頭の中で自分なりに考えて、あ! こういう事か~、で済ませちゃえばそれで完成だからね。
で、僕が人生単位で取り組んでる研究テーマの1つが、どうすれば魂が傷つかずに済んだのか? 悪いのは全てチャイルド・マレスターのはずなのに、何故僕の魂は傷ついたのか? どうすれば傷つかずに済んだのか?
これはやはりスミドにも有形無形の倫理観として入って来ていた、海外由来の信仰が影響しているようだ。しかしそのお陰で、子供に無体を強いるのは絶対的に悪なのだと、それは絶対にしてはならないのだと。唯一絶対な神の教えでもって、僕はあの地獄の日々から救出された。
時代や社会文化が異なれば、そんな関係当たり前で寧ろ奨励されていて、その社会では男性皆が若い頃似たような目に遭ってても、全く傷付いていない場合がある。
じゃあ僕には被害者仲間や社会的洗脳が足りなかったのか? それとも、自分が次世代に同じ事をやって楽しむ権利が保障されてなかったから?
いや寧ろ、歴史的に見れば世界中あらゆる場所で少年愛は存在したし、今も一部には存在する。
それは、単なる欲の捌け口としてでは無く、成人男性と少年の交流を通して培われる一人前の大人になるための諸儀式、イニシエーションの1種なのではないかと僕は考えた。
だからといって、僕はチャイルド・マレスターになるつもりは無いから。
あくまで健全な形をとって、決して魂が傷付くことのない、そんなイニシエーションとは何なのか、果たしてそんなものは存在するのか、それを気が付いたら大人になってた自分自身を通して、シャリムという腕白ぼうやを使って、どうなるか実践してみたかったという訳さ。
「……そういうの嫌いです。自分は実験動物か何かですか? 貴方もお父様も、院卒やら大卒なんて至極勝手な人間です。
色んな本を読んで沢山学問されてるのは分かりますが、そこで得た知識ばかり使って、それでまだ子供の自分と、ちゃんと1人の人間として向き合っていると、胸を張って自信を持って言えますか?
この文献のこれを使ってこうしたらこう反応した、ああじゃあ次はこうしてみよう、それが役立つこともあるでしょうが、貴方達って本来とてもいけ好かない習性をお持ちなのに、それが評価されてお給与も高く貰えるような社会は、だから全体的に性格悪いんだろうなあって、常々思います。
ところでシャハル、貴方は今までの話を聴いて、自分から逃れられると思ってさぞかしホッとしていることでしょうが、甘いです。
貴方はただ黙って自分の側で愛されていれば良いんです。
でもそろそろどこか知らない国のチョコレートも食べたくなってきたので、自分のために買って来てくれてもいいですよ。ただし日帰りですけどね。それと、この歌知ってますか?」
おいらの名前はポイポイロイ
ホイポイロイたら ホイポイロイ
笑わせるしか能のない
ちゃらんぽらんの 根なし草
おいらの名前はホイポイロイ
ホイポイロイたら ホイポイロイ
そこのイカしたべっぴんさん
おいらと踊っちゃくれねえか
おいらの名前はホイポイロイ
ホイポイロイたら ホイポイロイ!
「知ってるよ。でもシャリムの場合、追い詰めるしか能がないの間違いでしょ? それに比べてホイポイロイって、なんて素晴らしいんだろう。いくら金持ちでも、メンヘラ束縛男よりずっとマシ」
「n次元でも浮気は駄目です! これはあくまでただの誘い文句ですからね? 自分と一曲踊って下さいな」
「畜生、何でダメなの? しょうがないじゃん、好きなんだから。……あー、あの人の匂い……フッ、もう消える前にいっちょ抜いとくか」
しばらく1人で快楽を追究していると、アリネがノックもせずに部屋に乗り込んで来た。
「出てってくれないか。人に見られてると気が散る」
「あーらら、太子様ったら結構なド変態ですね。ところで太子、本当に彼の儷で在り続けたいんですか。わたくしには、必死になって理想の兄に縋り付く、情けない弟の姿にしか見えないんだけど。
あ、分かった。太子って我儘だから。どんな愛情も全部良いとこ取りしたいんだ。まったく、最後の最後にとんだ暴君が産まれたものですね、これでヴィンラフ朝もお終いです」
「煩いな、良いよもう子供なんか。あの人は永遠に自分のものだ。その代わり自分も、永遠にあの人のものだ」
そう言っていつの間にか寝落ちしたシャリムは、何となく寝苦しくなって目を覚ました。
「え? うわあっ、何で!?」
「んー、うるさいなあ。ここは僕のベッドでしょ、何か文句でもある?」
「あの、ええっとその、あなたの留守中にちょっと汚してしまいまして……」
「そんなの後で洗えば良いじゃん、おやすみシャリム」
起きて真っ先に手を洗いに行ったシャリムは、急いで戻って来て気持ちを伝えた。
「このままでは、おままごとの恋で終わってしまう。貴方がいつかちゃんとした恋のお相手を見付けたら、こんな自分からは離れていってしまいます」
「そぎゃんね? 恋ってそがん良く無かよ? 大体面倒臭か~。それん僕、ホントは今ん仕事も嫌いじゃ無か。あれたい! 行きよる最中にボーッとすると。あれ良かつたい! 落ち着くと。むしろ着かん方が良かと。どうせ分からんど? 僕が今何を言ったのか」
まあ僕は僕で一応目的があったから?
それは事前に伝えておくべきだったと今では反省しているよ。
僕のもう一つの仕事は、文化人類学者だろ? まあ論文書くのとか、人付き合いとか会議とか面倒くさいし、学会からは離れちゃって久しいけど。
研究なんて人に見せる目的が無ければ、適当に乱読したり普段の生活で見て聞いたり経験した事を全部頭の中で自分なりに考えて、あ! こういう事か~、で済ませちゃえばそれで完成だからね。
で、僕が人生単位で取り組んでる研究テーマの1つが、どうすれば魂が傷つかずに済んだのか? 悪いのは全てチャイルド・マレスターのはずなのに、何故僕の魂は傷ついたのか? どうすれば傷つかずに済んだのか?
これはやはりスミドにも有形無形の倫理観として入って来ていた、海外由来の信仰が影響しているようだ。しかしそのお陰で、子供に無体を強いるのは絶対的に悪なのだと、それは絶対にしてはならないのだと。唯一絶対な神の教えでもって、僕はあの地獄の日々から救出された。
時代や社会文化が異なれば、そんな関係当たり前で寧ろ奨励されていて、その社会では男性皆が若い頃似たような目に遭ってても、全く傷付いていない場合がある。
じゃあ僕には被害者仲間や社会的洗脳が足りなかったのか? それとも、自分が次世代に同じ事をやって楽しむ権利が保障されてなかったから?
いや寧ろ、歴史的に見れば世界中あらゆる場所で少年愛は存在したし、今も一部には存在する。
それは、単なる欲の捌け口としてでは無く、成人男性と少年の交流を通して培われる一人前の大人になるための諸儀式、イニシエーションの1種なのではないかと僕は考えた。
だからといって、僕はチャイルド・マレスターになるつもりは無いから。
あくまで健全な形をとって、決して魂が傷付くことのない、そんなイニシエーションとは何なのか、果たしてそんなものは存在するのか、それを気が付いたら大人になってた自分自身を通して、シャリムという腕白ぼうやを使って、どうなるか実践してみたかったという訳さ。
「……そういうの嫌いです。自分は実験動物か何かですか? 貴方もお父様も、院卒やら大卒なんて至極勝手な人間です。
色んな本を読んで沢山学問されてるのは分かりますが、そこで得た知識ばかり使って、それでまだ子供の自分と、ちゃんと1人の人間として向き合っていると、胸を張って自信を持って言えますか?
この文献のこれを使ってこうしたらこう反応した、ああじゃあ次はこうしてみよう、それが役立つこともあるでしょうが、貴方達って本来とてもいけ好かない習性をお持ちなのに、それが評価されてお給与も高く貰えるような社会は、だから全体的に性格悪いんだろうなあって、常々思います。
ところでシャハル、貴方は今までの話を聴いて、自分から逃れられると思ってさぞかしホッとしていることでしょうが、甘いです。
貴方はただ黙って自分の側で愛されていれば良いんです。
でもそろそろどこか知らない国のチョコレートも食べたくなってきたので、自分のために買って来てくれてもいいですよ。ただし日帰りですけどね。それと、この歌知ってますか?」
おいらの名前はポイポイロイ
ホイポイロイたら ホイポイロイ
笑わせるしか能のない
ちゃらんぽらんの 根なし草
おいらの名前はホイポイロイ
ホイポイロイたら ホイポイロイ
そこのイカしたべっぴんさん
おいらと踊っちゃくれねえか
おいらの名前はホイポイロイ
ホイポイロイたら ホイポイロイ!
「知ってるよ。でもシャリムの場合、追い詰めるしか能がないの間違いでしょ? それに比べてホイポイロイって、なんて素晴らしいんだろう。いくら金持ちでも、メンヘラ束縛男よりずっとマシ」
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