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第3章 交流戦
最強vs最強2
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「それでは、決闘開始!」
「”来い! クロノス”!」 「”来て! アスカ”!」
宣言と同時に二人は駆け出し、精霊武装を展開して、そのまま――
カキィィィンッ!
会場にけたたましい金属音が響き渡る。そして、ものすごい風圧がアリスたちを中心にして吹き溢れる。
最初の一撃を防がれたことにより、楓はニヤリと笑う。
「やっぱりアリスも精霊武装を展開したかぁ」
「それはこっちの台詞だ」
そういうと、アリスは〈闇を貫く王剣〉に力を入れる。それを押し返すかのように、楓も精霊武装に力を入れて押し返そうとする。
「でも、私の〈炎を纏いし王刀〉を受け止めるなんてね。流石、王級精霊と言ったところかな?」
楓が持つのは真紅に光る一筋の刀。サウスではあまり見ない形状の精霊武装だったが、切れ味が相当高いと〈炎を纏いし王刀〉の形状からアリスは判断する。一度でも直撃をもらえば即、戦闘不能になると、自身の経験から察する。
(常に熱を発し続ける、か。もし決闘ではなく実戦では、斬られた時点で回復が出来ないか……)
これは決闘だからそんなことはないが、結界がない実戦では切り口が焼かれ、腕を落とされれば、再び腕を治すことは出来ないだろうと楓の精霊武装に戦慄する。しかし――
(それは相手も同じことを思っている。むしろ、どんなものかわかるだけ、こちらは対処のしようがある。だが、〈闇を貫く王剣〉を分析することは短時間では不可能だろうしな)
〈炎を纏いし王刀〉は特徴がハッキリしているため対処がしやすい。ようは切断されなければいいのだから。どちらにしろ、切断された時点で負けは濃厚なので、そこまで気にすることではない。
しかし、アリスの〈闇を貫く王剣〉は闇属性ともあり、特徴がハッキリしていない。もし擦っただけでもどうなるか。それすらもわからない。だから、思い切って楓がアリスに仕掛けることは困難かと思えたが――
「どうしたの、アリス! もっと来なよ!」
「くっ!」
アリスの予想とは反して、楓は積極的にアリスに攻めていた。擦っただけでもどうなるかわからない精霊武装相手に。アリスは一瞬、楓が自分の身体能力を信用しているからだと思っていたが――
(アイツの精霊武装の能力が関係しているのか?)
アリスでさえ、敵と戦うときは相手の特徴をある程度はっきりさせるまで、積極的に攻撃をするということはない。たとえ自分より格下の相手であってもだ。しかし、楓はそんなことは関係ないとばかりにアリスに攻め入っている。これが意味することはというと……
(フェニックスのように回復に長けている。もしくは、それに準ずる何かということか)
アリスは火属性にはない回復など癒やしの効果がある能力を持っていると結論づける。そうであれば、正体不明の能力でも楓が積極的に攻撃できるのも頷けた。
(〈炎を纏いし王刀〉の能力は少なくとも攻撃的なものではない。ある程度のことがわかったから攻めるか)
分析し終えたアリスはバックステップで楓から距離を取り――
「”ダークブラスト”!」
牽制にと楓に魔法を放った。しかし、楓は当然のようにアリスの魔法を見切り、何事もないかのように避ける。
「やっと攻撃してきたかぁ。じゃあ、私ももっとやらないと――って、おわ! ちょっと!」
楓が独り言を言っている間にも、アリスは楓に対して攻撃を行う。それどころか、さっきの”ダークブラスト”を起点にアリスは魔法を放ち続ける。
「……ッ! キリがない! ”フレイムウォール”!」
楓もアリスの魔法を避け続けるのは分が悪いと思ったのか、自身も魔法を使い、アリスの魔法を相殺しようとする。
楓が放った”フレイムウォール”はアリスが放つ魔法を次々と飲み込み、打ち消していく。
(相殺できたけど多分こっちの方が魔力を使ってるね。早めに魔法を使わせないようにしないと……)
アリスが放った魔法は敵単体を攻撃する比較的、上級魔法の中では消費魔力が少ない魔法。しかし、楓が使った”フレイムウォール”は多くの敵を攻撃する広範囲魔法。さすがの楓でもアリス相手ではどこまで魔力が持つかわからないので、無駄な魔力の消費は抑えたかった。
(幸い、私の精霊武装の方がリーチが長い。懐にさえ入られなければ、こちらの方が有利!)
アリスの〈闇を貫く王剣〉の長さは1メートル。対する楓の〈炎を纏いし王刀〉は約1.3メートルと若干、アリスより長い。この差を活かして戦えば接近戦では楓が断然有利なものとなる。
しかし、そのぐらいのことはアリスも理解している。だからアリスもその差を活かさせないために魔法で遠距離戦を持ちかけていた。
先程まで優勢であったアリスであったが魔法を使っている分、長期戦にもなれば疲れが出てくる。少し休もうと魔法を止めた隙を楓は見逃さなかった。
(今しかない!)
楓は〈身体強化〉で自分をさらに強化してアリスとの距離を狭める。そしてついに楓のキリングレンジとなる。
(このまま距離を取らせずに攻め続ける!)
今度は楓の攻める番となる。アリスも攻めに応じるが、リーチが負けているため思うように攻めることが出来なかった。
(よし、このままいけば……)
自分の攻撃を防ぐことしか出来ないアリスを見て、楓はわずかに笑う。まるで勝利を確信したかのように。
しかし、楓は自分が有利なため、アリスの表情を見ていなかった――
「”来い! クロノス”!」 「”来て! アスカ”!」
宣言と同時に二人は駆け出し、精霊武装を展開して、そのまま――
カキィィィンッ!
会場にけたたましい金属音が響き渡る。そして、ものすごい風圧がアリスたちを中心にして吹き溢れる。
最初の一撃を防がれたことにより、楓はニヤリと笑う。
「やっぱりアリスも精霊武装を展開したかぁ」
「それはこっちの台詞だ」
そういうと、アリスは〈闇を貫く王剣〉に力を入れる。それを押し返すかのように、楓も精霊武装に力を入れて押し返そうとする。
「でも、私の〈炎を纏いし王刀〉を受け止めるなんてね。流石、王級精霊と言ったところかな?」
楓が持つのは真紅に光る一筋の刀。サウスではあまり見ない形状の精霊武装だったが、切れ味が相当高いと〈炎を纏いし王刀〉の形状からアリスは判断する。一度でも直撃をもらえば即、戦闘不能になると、自身の経験から察する。
(常に熱を発し続ける、か。もし決闘ではなく実戦では、斬られた時点で回復が出来ないか……)
これは決闘だからそんなことはないが、結界がない実戦では切り口が焼かれ、腕を落とされれば、再び腕を治すことは出来ないだろうと楓の精霊武装に戦慄する。しかし――
(それは相手も同じことを思っている。むしろ、どんなものかわかるだけ、こちらは対処のしようがある。だが、〈闇を貫く王剣〉を分析することは短時間では不可能だろうしな)
〈炎を纏いし王刀〉は特徴がハッキリしているため対処がしやすい。ようは切断されなければいいのだから。どちらにしろ、切断された時点で負けは濃厚なので、そこまで気にすることではない。
しかし、アリスの〈闇を貫く王剣〉は闇属性ともあり、特徴がハッキリしていない。もし擦っただけでもどうなるか。それすらもわからない。だから、思い切って楓がアリスに仕掛けることは困難かと思えたが――
「どうしたの、アリス! もっと来なよ!」
「くっ!」
アリスの予想とは反して、楓は積極的にアリスに攻めていた。擦っただけでもどうなるかわからない精霊武装相手に。アリスは一瞬、楓が自分の身体能力を信用しているからだと思っていたが――
(アイツの精霊武装の能力が関係しているのか?)
アリスでさえ、敵と戦うときは相手の特徴をある程度はっきりさせるまで、積極的に攻撃をするということはない。たとえ自分より格下の相手であってもだ。しかし、楓はそんなことは関係ないとばかりにアリスに攻め入っている。これが意味することはというと……
(フェニックスのように回復に長けている。もしくは、それに準ずる何かということか)
アリスは火属性にはない回復など癒やしの効果がある能力を持っていると結論づける。そうであれば、正体不明の能力でも楓が積極的に攻撃できるのも頷けた。
(〈炎を纏いし王刀〉の能力は少なくとも攻撃的なものではない。ある程度のことがわかったから攻めるか)
分析し終えたアリスはバックステップで楓から距離を取り――
「”ダークブラスト”!」
牽制にと楓に魔法を放った。しかし、楓は当然のようにアリスの魔法を見切り、何事もないかのように避ける。
「やっと攻撃してきたかぁ。じゃあ、私ももっとやらないと――って、おわ! ちょっと!」
楓が独り言を言っている間にも、アリスは楓に対して攻撃を行う。それどころか、さっきの”ダークブラスト”を起点にアリスは魔法を放ち続ける。
「……ッ! キリがない! ”フレイムウォール”!」
楓もアリスの魔法を避け続けるのは分が悪いと思ったのか、自身も魔法を使い、アリスの魔法を相殺しようとする。
楓が放った”フレイムウォール”はアリスが放つ魔法を次々と飲み込み、打ち消していく。
(相殺できたけど多分こっちの方が魔力を使ってるね。早めに魔法を使わせないようにしないと……)
アリスが放った魔法は敵単体を攻撃する比較的、上級魔法の中では消費魔力が少ない魔法。しかし、楓が使った”フレイムウォール”は多くの敵を攻撃する広範囲魔法。さすがの楓でもアリス相手ではどこまで魔力が持つかわからないので、無駄な魔力の消費は抑えたかった。
(幸い、私の精霊武装の方がリーチが長い。懐にさえ入られなければ、こちらの方が有利!)
アリスの〈闇を貫く王剣〉の長さは1メートル。対する楓の〈炎を纏いし王刀〉は約1.3メートルと若干、アリスより長い。この差を活かして戦えば接近戦では楓が断然有利なものとなる。
しかし、そのぐらいのことはアリスも理解している。だからアリスもその差を活かさせないために魔法で遠距離戦を持ちかけていた。
先程まで優勢であったアリスであったが魔法を使っている分、長期戦にもなれば疲れが出てくる。少し休もうと魔法を止めた隙を楓は見逃さなかった。
(今しかない!)
楓は〈身体強化〉で自分をさらに強化してアリスとの距離を狭める。そしてついに楓のキリングレンジとなる。
(このまま距離を取らせずに攻め続ける!)
今度は楓の攻める番となる。アリスも攻めに応じるが、リーチが負けているため思うように攻めることが出来なかった。
(よし、このままいけば……)
自分の攻撃を防ぐことしか出来ないアリスを見て、楓はわずかに笑う。まるで勝利を確信したかのように。
しかし、楓は自分が有利なため、アリスの表情を見ていなかった――
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