2 / 13
いつもと違う朝
しおりを挟む「朝ですよ、坊ちゃん」
いつものスズメの声で目を覚ます……はずが今日は低い声で目が覚めた。
ハッとなって飛び起きると、昨晩、突然現れた執事がにこやかに立っていた。
「ぼっ…ちゃん?」
「おはようございます♪涼しい朝ですね」
カーテンを開け、コポポ…と桃の香りがする紅茶をいれてくれる。
坊ちゃんなんて呼ばれたことないから違和感がすごい…けどこの人は恥ずかしさは無さそうで言い慣れてる印象だ。
「さぁ目覚めの一杯を召し上がり下さい。桃はお好きでしょう?」
「もも……」
桃なんてどのくらい食べていないんだろう。恐る恐る紅茶を口にはこぶと、あっさりとした甘い香りに脳が痺れた。
「おいしい……あいがと、しおおめ」
そう言うと、当然ですと言わんばかりに自慢げに微笑んだ。
僕がクピクピと紅茶を飲んでると、窓際にスズメがとまったのが見えて急いでベッドを降りた。
「どうされましたか?坊ちゃん」
いきなり動いた僕にビックリする東雲。
いつも朝食に食パンが置かれてる所へ向かいスズメにあげようと思ったが、今日は用意されていなかった。
「あ…れ?パンない、パン…ない」
キョロキョロと探すも見当たらない。もしや今日はご飯無しなのかと思って沈んでいると、後ろから「ありますよ」と聞こえた。
「パンでございますね。すぐご用意致します、少々お待ちを」
その10秒後くらいに東雲はパンを持ってきた。そして僕を軽々と持ち上げると、スズメの近くへ連れて行った。
「…あいがと。ほら、お食べ」
チュンチュンと鳴きながら食べていく。
可愛いな、ふわふわだな…
そういえば誰かと朝を迎えるのって久しぶり?初めて?かも……
マジマジと東雲の方を見つめていると、目が合って「可愛いですね」と笑った。
「うん……おともだち」
優しくスズメの頭を撫でていると、後から「お友達も素敵です」と聞こえた。
応援ありがとうございます!
0
お気に入りに追加
12
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる