異世界から召喚されし死体魔術師

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1章 異世界から来る死体魔術師

闇魔族団体

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シュノのうさ耳を存分に堪能し満足した後、アルディを引き連れゼノが帰って来た。

「ドクロくん!シュノくん!どこだい?」

ガチャ

部屋の鉄ドアを開け出るとゼノとアルディの姿が見え近づく。

「ドクロくん部屋にいたのだね!アルディくんを連れてきたから先程の事を話したまえ」

「はい」

アルディに向き直り話を切り出そうとするとそれをアルディ本人に止められた。

「場所を変えよう!」

「え?」

「ここはちょっと…」

罰が悪そうな顔をするアルディに心の内を察した。

あー、なるほど…研究所もそうだがゼノさんが苦手だったなこの人。

「構いません」

「ゼノ悪いがドクロを連れていってもいいか?」

「それは構わないが…せっかく試しに作った体を癒す魔法器具の実験台になってもらおうかと思っていたのに残念だ」

「そ、そうか…じゃ、またなゼノ」

アルディさん凄く顔引き攣ってるな…

あからさまに逃げたいオーラ全開のアルディを他所に残念そうな顔をするゼノを見比べ内心苦笑いを浮かべながらもアルディについて行った。

 *

研究所を後にし地下から出ると眩い光に照らされ袖で目を擦る。

「んっ…」

「地下にずっと居たから眩しいだろ?時期に目が慣れてくるから安心しろ」

「はいっ…」

アルディの言葉に目を擦りながら頷き再度歩き出すと廊下の奥に進むに連れ薔薇の香りが鼻をくすぐった。

薔薇…?近くに薔薇の庭園でもあるのだろうか?

微かな疑問を抱きつつ歩くと少し離れた正面から無数の蔦で囲まれた色とりどりの薔薇の庭園が見えた。

「止まれ」

アルディの足が止まり同じく言う通りに足を止めると強い風が横から吹き思わず目を閉じ、ほどなくして止んだのを感じ目を開けると目の前に長い廊下や天井や横壁があったはずなのに一瞬にして消え代わりに蔦の道が現れた。

「え…」

「これはゼノが仕掛けた姿隠しの幻系の魔法でここの王妃の願いで作られたものなんだ」

「幻系の魔法…」

ゼノさんっていったいどんなに凄い人なの…?

思わず底知れないゼノの力に疑問と興味が湧き唖然と目の前の景色をみる。

「話はあの薔薇園でしよう…」

「は、はい」

アルディの言葉に慌てて意識を戻し頷くと薔薇園に向かって歩いていると蔦や薔薇に囲まれた中心に白いテーブルと椅子二つが並べられ椅子にアルディと共に腰掛ける。

「…でさっそく本題だが解剖を頼んだあの死体から分かった事を聞かせてくれ」

「はい…新たな死体魔術によりあの死体は夜の警備の際に何者かによって剣を構えるまもなく一瞬にして殺されその隙にその死体は青い許可証のような紙を見たみたいなのですが、ゼノさんが言うには他国者が入国する際に貰う許可証ではないかと…それとゼノさんとシュノの解剖により風で斬った様な切り傷が表面に全体に複数と内部の内蔵にて黒く焼かれた炎症があり恐らく風系の魔法と闇系の魔法を合わせて使った魔法かと言う事です」

「なるほど…もしかしたら闇魔族団体の仕業かもしれないな」

「闇魔族団体?」

「ああ。闇魔族団体というのは主に闇系の魔法を駆使しその素性は魔族といわれている。魔族といっても黒魔族と呼ばれる魔族で、黒魔族は少数しかいないのだがその力は一国を落とす程の力を持ち合わせている。闇魔族団体というのはその黒魔族で構成された団体でありこの世界の闇と呼ばれているんだ」

「そんなに凄いんだ…闇魔族団体」

この世界の闇なんてどんなに強いチート持ってんのよ…ん?あれ?待てよ…

「闇があるという事は、光も存在するんじゃないですか?」

「光は…実はこの世界にはもういないんだ」

「え…?」

もういないってどういう事?

「遠い昔、光と呼ばれた者がただ一人いた。その光は人々から死を司る神と拝められいたんだが、その光は身体が病弱でいつこの世を去ってもおかしくわなかった。僅かな寿命と計り知れない巨大な力を持つ光がもたらしてくれたのは闇を滅する力と魔法の進歩の力だった」 

なるほど…だから、この世界の魔法は科学的な用法が考えられているのか

「だが、その光の寿命は尽きこの世界に息を潜めていた闇魔族団体が息を吹き返し現在では闇魔族団体を使って国を動かす者を含め悪行をする輩が増えたんだ。闇魔族団体は我々の欲につけ込み人々を消す事を要する事でこの世界を滅ぼす生き物とされている」

「それって止めることは可能なんですか?」

「ああ。止めること可能だが、闇魔族団体に勝てるものはこの世界ではほんの僅かしかいない」

「では…アルディさんは勝てますか?」

まるで挑発するような言い方をしてみるとアルディは目元を細め口角を上げた。

「それは愚問だな…ドクロには既に俺の事は何もかもお見通しに見えるんだが?」

「ふふっ…ご冗談を」

…と言いつつもアルディの言う事は半分当たってるんだよね

この世界に来て徐々に変わりつつある事がある。それはゲームでいう”スキルアップ”というものだ。私の力は主に死を操る魔法だが最初の過程では死体を操ることしか出来なかった。だが、今では死体の体に入る事ができその死体の記憶を読み取ることが出来た。そして、現在の過程では更に人体や魔物などの物体から放たれるオーラと謎の数字が浮き出て見えるのだ。つまりは私の推測に過ぎないがアルディに例えると金色のオーラの中に銀のつぶてが舞っていた。そして、顔の横には四捨五入すると一億五千万となる数値が見えていた。

う~ん…さっき歩いていた時に見かけた兵士さんは五百程度だったし、ましてはオーラなんて無かったからこのアルディは強いって言っていいと思うんだよね

目覚めたばかりの力に基準が分からないのでとりあえずその最強と呼ばれる闇魔族団体には勝てそうだと勝手に固定したのだった。

「…ん?おっと、すまない話が逸れたようだな」

「へ?ああ、そうですね」

この世界において闇魔族団体というものが中心に回っている事…そして、昔その団体を滅する事が出来た光の者がいた事は分かった。だが、それが今回の件にどう繋がっているのかは未だに不明のままである。

「先程も言った通り闇魔族団体が今回の件に関わっている事は間違いないだろう。そして、情報からするにその闇魔族団体を使ったのは隣国であると思う」

「隣国…」

その隣国から襲われる理由って言えばやっぱり第二王子のシャルルクしかないよね

「このシャルディ国は四方から囲まれている国なんだが、現状としてシャルルク様の存在により四方の国全土から狙われているんだ。だが、魔力ではシャルディが一番発展しているため闇魔族団体が関わらない限り早々落とされる事はない」

「だけど、今回の件で闇魔族団体の存在が明らかになり結構やばいみたいな感じ?」

「やっ…?」

「ああ、えっと…結構危険な状態?」

「ああ、その通りだ。いくら魔力が優れた国だとしても闇魔族団体と戦えるのはこの国では推定八人~十人ぐらいだな」

「それって多いの?少ないの?というか、もしかして私も入ってたりするの?」

「基準で考えれば多い方だろう…それに、勿論君も入れてだ」

あはは…やっぱりか

「ドクロは異世界人である以上、闇魔族団体に匹敵する程の力があると考えられるからな」

「ふ~ん…じゃあ、私以外の戦える人って誰なんですか?あ、アルディさん以外で」

「ドクロのよく知るゼノやシュノもその一人だ」

「は、はいっ!?ゼノさんは分かりますがシュノもですか!?あのウサギ科小動物が!?」

「ああ、そうだが…そこまで驚く事はないだろう」

「いや、意外すぎたので」

あんな可愛らしい種族さえ闇魔族団体に勝てるなんて、どんだけこの国の魔力偏差値低いんだよ

アルディとは反してこの国…否、この世界の魔力偏差値が低い事を理解した瞬間だった

「あとは、この国の王と王子達三人が闇魔族団体と戦える人物だ」
 
「ん~…それは納得出来ます」

この国の王と王子が戦えないなんて言われたら完全にこの国終わってるわ

「それで、ドクロに提案なんだが…ドクロくんの力を信じてこの件を解決する手助けを求めたいんだが」

「手助け?」

「主に俺がいる誘拐調査騎士団にてこの件を解決する手助けをドクロに求めたい!」

「ああ、えっと…手助けは承諾しますが、誘拐調査騎士団ってなんですか?」

「誘拐調査騎士団とは主に名前の通り誘拐専門の騎士団なのだが、これには闇魔族団体が深く関わっている事が多い。故に今回の件で俺が担当になったんだ」
 
「なるほど…その誘拐調査騎士団にはアルディさん以外に闇魔族団体に適う人はいるんですか?」

「第三王子のルバンがいる」

「ルバン?強いの?」

「会ってみればわかる。ドクロなら見れば分かるだろう?」

「うっ…分かりました、協力します」

何もかもバレているかのようなアルディの言葉に降参とばかりに両手を上げ頷いた。

「協力感謝する。あ、そうと決まればお守り役を決めなければな」

「お守り役?」

「こちらから決めてもいいんだが、ドクロは誰を傍におきたいかとかあるか?」

「う~ん…出来れば小柄な猫耳美少女とかふくよかな巨乳のエルフとかがいいんだけど、この国には男しかいないしなぁ…あ!シュノにします!!」

「シュノか…彼ならお守り役には最適だな」

こうして本人の意志には関係なくシュノはドクロのお守り役になってしまったのだった…

「うふふ…楽しみ!」























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