地味な私が恋愛ゲーム世界の攻略者?!

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終わりの始まり

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皆が寝静まった頃、縁側で一人夜風を浴びながら険しい顔で電話を取る秋月 つぐみの姿があった。

「私、あなたとはもう組むのは辞めるわ」

するとロボットのような声が耳に響いた。

「自分の未熟差が分かったからか?」

「ううん、違うわ。あなたの考えに従えないからよ」

正体すら分からない人物と組むことは元から嫌だったが自分の願望を叶える為にはすぎた代償だと思い組んでいたに過ぎなかった。だが、彼女…相浦 雪に関わり自分の考えを改めこれ以上組むことは出来ないと悟った。

「それでいいのか?私と組まずしてお前の願望が成就するとは考えにくいが…?」

「余計なお世話よ。あなたのような誰かを傷つけてまでするのはもうやらないわ。私は私のやり方で愛されてみせる!」

「そうか……後で後悔するだろうがもう私はお前を助ける事はない。よく肝に命じる事だな」

「ふっ…後悔するのはあなたの方だと思うけど?」

ツーツーツー…

「何よ!逃げ足だけは早いんだからっ!」

直ぐに通話を切られイラッときたが何故か心は軽くなった。

「不思議ね……これもあの子せいかしら?」

今頃はぐっすりと呑気に眠っているだろうライバルの事を頭に浮かべながら秋月は一人笑みを浮かべた。

 *

日もまだ登っていない朝六時頃、眠い目を擦りながら合宿メンバー達はバスに乗り込んでいた。

「色々お世話になりました」

旅館の皆さんにお礼の言葉を口にすると代表として秋月さんが一歩前に出た。

「ほんとお世話ばかりさせて頂きました。ありがとうございます」

「あ、はい」

皮肉たっぷりに真っ直ぐに私に言う秋月さんに顔が引きつった。

「それよりも、優希くんまたお泊まりにいらしてくださいね?」

思いっきり腕に胸を押し当て上目遣いで言い放つ秋月さんの対応に私を含め周りの人達は思っただろう…”完全にロックオンされたな”と

「あ、ああ…暇が出来たらな」

戸惑いまくっている立川先輩の様子に私にしか見えない角度で秋月さんはニヤリと口角を上げていた。

うん、これからも秋月さんは秋月さんだ

小悪魔っぷりがこれからも変わる事がない事を私は再確認したのだった。

「おっと、優希くんともっと話したい所だけど雪さんに少し言わなければいけない事がありました!」

「え?私に?」

立川先輩の腕から離れ私の耳元にこっそり話す。

「一つ私から忠告しておくわ…あなた達の探してる人は

「え……」

その言葉の意味はまるで秋月さんはその人物を知っているようだった。そして、私を含めれいにぃの正体も知っているかのように…

「ふふっ、でも詳しくは…?」

「あ…ま、また!?」

秋月さんははぐらかすようにウィンクをすると小悪魔の笑みを浮かべた。

秋月さんっていったい…

一段落した嵐がまた吹き荒れそうな不安に苛まれたのだった。


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