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水面カフェ新めにゅー ⑩
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未来と梓。2人が“水面カフェ”入り口に到着すると、勇気が笑顔でドアを開けて出迎えてくれた。
「おかえりなさい」
「ただいま‼︎」
未来はペコリと頭を下げて“ただいま”の挨拶をした。
勇気は温め直したカレーをよそい、3人分用意する。そのカレーの味に勇気も未来も目を丸くして驚き、梓は鼻高々だった。
梓は夕食にカレーを食べていたが、それでも一人前を完食。食後のコーヒーを飲みながら勇気に尋ねる。
「店長、料理コンテストのチラシってまだあるかな?」
「えぇ。ありますよ」
席を立ち、2人の前にチラシを置く。そのチラシを2人は一字一句逃さず読み、参加条件を確認した。
「どこにも“2人で参加してはいけない”って書いてないね」
未来もコクリと頷き、梓と顔を向き合わせた。
「じゃあ2人でタッグを組んで参加出来るかも‼︎」
「おや? タッグで参加するのですか?」
「うん‼︎ チラシには禁止とは書いていないし、参加出来たら良いなぁって思って」
勇気はチラシを手に取り、何やら考え込んでいる。そして2人を交互に見て、笑顔で言った。
「確かに“料理に携わる人”としか書いていませんね。念の為に明日確認しておきます」
そう言い終わった後、勇気が真剣な表情でチラシに目を戻した。
「ただ、この書き方だとプロの料理人達が店舗単位でチームを組んで参加して来そうですね。そうなるとかなり厄介ですよ」
「大丈夫‼︎ 私と未来さんなら勝てるって‼︎ ねぇ~? 未来さん?」
笑顔で問いかける梓に対し、未来は泣き笑いの様な表情で首を傾げた。
「えぇ~‼︎ なんでぇ~‼︎ そこは乗っかろうよ⁉︎」
頬を膨らませて拗ねる梓に、未来は文字を書いて見せた。
『私達はまだ勉強を始めたばかりだよ? プロには勝てないよ』
「そんな弱気じゃダメだよ‼︎ もっと大胆に自信持って行こうよ‼︎」
梓が未来の肩を掴み、前後に振りながら言った。未来は不安気な表情を浮かべたまま、体を揺さぶられている。
「2人がタッグで出場するなら、僕も協力します。美希さん達もきっと協力してくれるでしょう。みんなで料理を考えて、2人でコンテストに挑んで下さい」
勇気がそう言うと、2人は固まった。
「いけませんか?」
「良いに決まってるじゃん‼︎ みんなで頑張ろう‼︎」
嬉しそうにはしゃぐ梓。未来も満面の笑みを浮かべ、喜びの拍手をした。
その翌日から、“水面カフェ”の営業後に勇気の料理教室がスタートした。助っ人に美希と桃華。味見役に明彦、保徳、良太が参加した。百合は体調を崩しており、家で寝込んでいるから参加出来ないとの連絡があった。
勇気がコンテスト本部に連絡し、タッグでの参加が認められた。そして、勇気の不安も的中する。
コンテストには近隣の飲食店から多数の参加表明があり、生半可な腕では入賞は難しいとの事。それを聞き鼻息を荒くしてやる気に満ちる梓と、正反対に顔を青ざめる未来。
コンテストまで残り1ヶ月程。2人は出来るだけの事をしようと、決意を新たにした。
それからの日々はあっという間に過ぎて行った。毎晩“水面カフェ”へ集まる事が恒例となり、体調が回復した百合も参加した。
梓の作った料理を食べた百合は目を丸くして驚いた。
「これ本当に梓が作ったの? 未来じゃなくて?」
「そうだよ‼︎ まだ熱があるんじゃないの⁉︎」
と、相変わらず喧嘩口調だったが、勇気を筆頭にチームはまとまりを見せ、梓と未来の料理の腕は格段に向上していった。
2週間が過ぎた頃、梓の包丁さばきも様になり、未来は食材の味についての研究を終えた。そこから2人の創作が始まる。
美希、桃華を交え、“あーでもないこーでもない”と、日々研究を行った。そしてコンテスト1週間前、ついに完成する。
梓の大胆さと未来の繊細さを兼ね備えたオリジナル料理。味見をした明彦、百合、保徳、良太は絶賛し、拍手を贈る。
未来の表情からも不安が消え、自身に満ちていた。
「これならプロにも負けません。2人とも本番では遠慮せずに最高の料理を作って下さい」
勇気が笑顔で2人に激励を贈る。未来と梓は満面の笑みでお辞儀をして、協力してくれた皆にもお辞儀をした。
残り1週間。美希が”料理は盛り付けも大事“と言う言葉を受け、盛り付けの最終チェックを行った。
コンテスト3日前。盛り付け方も決定し、本番に挑むのみとなった。2人の手には生傷が絶えず、その努力が伺える。当日までの残り時間、勇気の言い付けにより2人は休む事になった。
そしてコンテスト当日。朝から協力した全員が”水面カフェ“へと集結し、一同は揃って会場へと向かった。
「おかえりなさい」
「ただいま‼︎」
未来はペコリと頭を下げて“ただいま”の挨拶をした。
勇気は温め直したカレーをよそい、3人分用意する。そのカレーの味に勇気も未来も目を丸くして驚き、梓は鼻高々だった。
梓は夕食にカレーを食べていたが、それでも一人前を完食。食後のコーヒーを飲みながら勇気に尋ねる。
「店長、料理コンテストのチラシってまだあるかな?」
「えぇ。ありますよ」
席を立ち、2人の前にチラシを置く。そのチラシを2人は一字一句逃さず読み、参加条件を確認した。
「どこにも“2人で参加してはいけない”って書いてないね」
未来もコクリと頷き、梓と顔を向き合わせた。
「じゃあ2人でタッグを組んで参加出来るかも‼︎」
「おや? タッグで参加するのですか?」
「うん‼︎ チラシには禁止とは書いていないし、参加出来たら良いなぁって思って」
勇気はチラシを手に取り、何やら考え込んでいる。そして2人を交互に見て、笑顔で言った。
「確かに“料理に携わる人”としか書いていませんね。念の為に明日確認しておきます」
そう言い終わった後、勇気が真剣な表情でチラシに目を戻した。
「ただ、この書き方だとプロの料理人達が店舗単位でチームを組んで参加して来そうですね。そうなるとかなり厄介ですよ」
「大丈夫‼︎ 私と未来さんなら勝てるって‼︎ ねぇ~? 未来さん?」
笑顔で問いかける梓に対し、未来は泣き笑いの様な表情で首を傾げた。
「えぇ~‼︎ なんでぇ~‼︎ そこは乗っかろうよ⁉︎」
頬を膨らませて拗ねる梓に、未来は文字を書いて見せた。
『私達はまだ勉強を始めたばかりだよ? プロには勝てないよ』
「そんな弱気じゃダメだよ‼︎ もっと大胆に自信持って行こうよ‼︎」
梓が未来の肩を掴み、前後に振りながら言った。未来は不安気な表情を浮かべたまま、体を揺さぶられている。
「2人がタッグで出場するなら、僕も協力します。美希さん達もきっと協力してくれるでしょう。みんなで料理を考えて、2人でコンテストに挑んで下さい」
勇気がそう言うと、2人は固まった。
「いけませんか?」
「良いに決まってるじゃん‼︎ みんなで頑張ろう‼︎」
嬉しそうにはしゃぐ梓。未来も満面の笑みを浮かべ、喜びの拍手をした。
その翌日から、“水面カフェ”の営業後に勇気の料理教室がスタートした。助っ人に美希と桃華。味見役に明彦、保徳、良太が参加した。百合は体調を崩しており、家で寝込んでいるから参加出来ないとの連絡があった。
勇気がコンテスト本部に連絡し、タッグでの参加が認められた。そして、勇気の不安も的中する。
コンテストには近隣の飲食店から多数の参加表明があり、生半可な腕では入賞は難しいとの事。それを聞き鼻息を荒くしてやる気に満ちる梓と、正反対に顔を青ざめる未来。
コンテストまで残り1ヶ月程。2人は出来るだけの事をしようと、決意を新たにした。
それからの日々はあっという間に過ぎて行った。毎晩“水面カフェ”へ集まる事が恒例となり、体調が回復した百合も参加した。
梓の作った料理を食べた百合は目を丸くして驚いた。
「これ本当に梓が作ったの? 未来じゃなくて?」
「そうだよ‼︎ まだ熱があるんじゃないの⁉︎」
と、相変わらず喧嘩口調だったが、勇気を筆頭にチームはまとまりを見せ、梓と未来の料理の腕は格段に向上していった。
2週間が過ぎた頃、梓の包丁さばきも様になり、未来は食材の味についての研究を終えた。そこから2人の創作が始まる。
美希、桃華を交え、“あーでもないこーでもない”と、日々研究を行った。そしてコンテスト1週間前、ついに完成する。
梓の大胆さと未来の繊細さを兼ね備えたオリジナル料理。味見をした明彦、百合、保徳、良太は絶賛し、拍手を贈る。
未来の表情からも不安が消え、自身に満ちていた。
「これならプロにも負けません。2人とも本番では遠慮せずに最高の料理を作って下さい」
勇気が笑顔で2人に激励を贈る。未来と梓は満面の笑みでお辞儀をして、協力してくれた皆にもお辞儀をした。
残り1週間。美希が”料理は盛り付けも大事“と言う言葉を受け、盛り付けの最終チェックを行った。
コンテスト3日前。盛り付け方も決定し、本番に挑むのみとなった。2人の手には生傷が絶えず、その努力が伺える。当日までの残り時間、勇気の言い付けにより2人は休む事になった。
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