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第10話「王立学園」③
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「な、何を言っているんだい、ロリヤ」
戸惑いを見せる旦那様がそう言葉をかけながら、手を広げて落ち着けというかのように揺れ動かしている。
旦那様の隣に座る奥様もこくこくと首を縦に振って同意していた。
まぁ、突然、受験するように言ってくれ、では私に受験させたい、と言っているようにも聞こえる。
実際は、替え玉受験をさせたいのだが。
私のところに来たときには、替え玉受験、と表現していたけれど、それをそのまま口にはしなかった。
直接的すぎる言葉を使うのは流石に憚られたのだろうか。
「ロリヤは王立学園に行きたくないのかい?」
旦那様こそ落ち着いた方がいいというほどの慌てぶりで、勢いよく立ち上がりお嬢様の隣に腰掛ける。
それに倣うように奥様もお嬢様の反対隣に座り直した。
二人の行動か、それとも、言葉になのか、お嬢様が眉を寄せる。
「誰もそんなこと言ってないでしょ!」
立ち上がって、両隣に来た困惑顔の二人を見下ろした。
睨み付けるかのような目つきに、二人はおどおどとしている。
普段見ない旦那様と奥様の様子に、呆気にとられる。
いつの間に、こんな関係になっていたのだろうか。
お嬢様のことをそれは可愛がっていたけれど、ご機嫌伺いをするほど上下関係ができていたとは。
「で、でも、」
使用人たちに冷たく当たる奥様が、不安そうにビクビクしている。
その様に、本当に三人の間で何が起こったんだと不思議に思う。
「モブに、替え玉受験するように命令してって言ってるの!」
お嬢様の言葉に、旦那様たちの理解が遅れる。
「替え玉受験?」
「そう、替え玉受験」
煮え切らない旦那様たちの態度に、先ほどは使わなかった替え玉という言葉を使うことにしたらしい。
やっとお嬢様の言いたいことがわかったのか、旦那様たちが安心したような顔をした。
「つまり、受験をあれに受けさせるだけなのかい?」
「だから、そうだってば!」
「では、学園には通う気はあるんだね?」
「当たり前でしょ!みんなが私を待ってるんだから!」
お嬢様の言葉に、旦那様たちはよかったよかったと安堵のため息を吐き出す。
ところで、お嬢様は「みんなが私を待っている」と言った。
みんな、とは攻略対象とやらのことなのだろうか。
待っている、ということは、どこかしらですでに出会っていて、学園で会いましょうという約束でもしているのだろうか。
それならば、あの紙に書かれている好感度の上がるやり取りとやらは、約束を果たしたぞ、という感じのものなのかもしれない。
「しかし、それなら、わざわざあれを外に出さずとも、ロリヤが受験すれば」
「私がわざわざ受験しなくてもいいでしょ、どうせ受かるんだから」
ドヤ顔で言い切ったお嬢様に、旦那様と奥様がなるほど、と納得したかのように笑顔を浮かべる。
どの辺に納得できる要素があったのかわからない。
納得できる要素がどこにあったにせよ、さすがの旦那様も私に替え玉受験をさせようとしないはずだ。
戸惑いを見せる旦那様がそう言葉をかけながら、手を広げて落ち着けというかのように揺れ動かしている。
旦那様の隣に座る奥様もこくこくと首を縦に振って同意していた。
まぁ、突然、受験するように言ってくれ、では私に受験させたい、と言っているようにも聞こえる。
実際は、替え玉受験をさせたいのだが。
私のところに来たときには、替え玉受験、と表現していたけれど、それをそのまま口にはしなかった。
直接的すぎる言葉を使うのは流石に憚られたのだろうか。
「ロリヤは王立学園に行きたくないのかい?」
旦那様こそ落ち着いた方がいいというほどの慌てぶりで、勢いよく立ち上がりお嬢様の隣に腰掛ける。
それに倣うように奥様もお嬢様の反対隣に座り直した。
二人の行動か、それとも、言葉になのか、お嬢様が眉を寄せる。
「誰もそんなこと言ってないでしょ!」
立ち上がって、両隣に来た困惑顔の二人を見下ろした。
睨み付けるかのような目つきに、二人はおどおどとしている。
普段見ない旦那様と奥様の様子に、呆気にとられる。
いつの間に、こんな関係になっていたのだろうか。
お嬢様のことをそれは可愛がっていたけれど、ご機嫌伺いをするほど上下関係ができていたとは。
「で、でも、」
使用人たちに冷たく当たる奥様が、不安そうにビクビクしている。
その様に、本当に三人の間で何が起こったんだと不思議に思う。
「モブに、替え玉受験するように命令してって言ってるの!」
お嬢様の言葉に、旦那様たちの理解が遅れる。
「替え玉受験?」
「そう、替え玉受験」
煮え切らない旦那様たちの態度に、先ほどは使わなかった替え玉という言葉を使うことにしたらしい。
やっとお嬢様の言いたいことがわかったのか、旦那様たちが安心したような顔をした。
「つまり、受験をあれに受けさせるだけなのかい?」
「だから、そうだってば!」
「では、学園には通う気はあるんだね?」
「当たり前でしょ!みんなが私を待ってるんだから!」
お嬢様の言葉に、旦那様たちはよかったよかったと安堵のため息を吐き出す。
ところで、お嬢様は「みんなが私を待っている」と言った。
みんな、とは攻略対象とやらのことなのだろうか。
待っている、ということは、どこかしらですでに出会っていて、学園で会いましょうという約束でもしているのだろうか。
それならば、あの紙に書かれている好感度の上がるやり取りとやらは、約束を果たしたぞ、という感じのものなのかもしれない。
「しかし、それなら、わざわざあれを外に出さずとも、ロリヤが受験すれば」
「私がわざわざ受験しなくてもいいでしょ、どうせ受かるんだから」
ドヤ顔で言い切ったお嬢様に、旦那様と奥様がなるほど、と納得したかのように笑顔を浮かべる。
どの辺に納得できる要素があったのかわからない。
納得できる要素がどこにあったにせよ、さすがの旦那様も私に替え玉受験をさせようとしないはずだ。
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