追放される悪役令嬢だと思ったら産んだ娘が『稀代の悪女』だった

emi

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信じられない言葉

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あれから数日、ジャックはゆっくりと回復していき今では自分で動けるようになっており食事は3人で取ることが多くなった。

(持っていくの面倒くさいし、自力で動けるようになって良かったわ)


今も朝食をニコニコと笑いながら食べている様子にリリアナは怪訝な顔でジャックを見ていた。


「症状は良くなったのに何でこの屋敷に居るんですか? お元気になられたみたいなのでもう自身の屋敷に戻れるんじゃないですか? 」


つっけんどんな態度を見せるリリアナに窘めようとしたけど先にジャックが口を開いた。


「動けるけどまだ熱自体は下がってないんだよね。魔力消費に対しての回復の速さは俺も驚いてるけど俺自身の肉体疲労は全然回復してなくてさ……ってこれくらいの予想は君なら出来てるよね? 」


ジャックの言葉にリリアナの口元が引く付いた。


「分かっていますけど? 後は私が作った回復薬を飲めばすべて解決するのに何故飲まないのか気になってしまって。」

「君の薬が俺に効くとは思えないなぁ。」


(また始まったわ……)


ジャックの言う通り、元気そうに見えるけど熱はまだ下がり切っていないしまだ療養期間中ではあるもけれど、リリアナの作った魔法薬を飲んで効果が出れば回復する程度には良くなっている筈なのに何故か首を縦に振らないのだ。


(効くか分からないというのも理解できるけど私の知ってるジャックは状況改善の為なら躊躇わずに飲んでいそうなんだけどな)


魔法使いは基本的に毒に耐性がある。魔力が高ければ高いほど魔法使いには毒は効かない。
しかし、毒が効かないという事は薬も効かないという事なのだ。リリアナの時もそうだったけどジャックもやはり解熱剤は効かず、熱は中々引かなかくてほとんど自力でここまで回復していた。


(ジャックはRPGで言うところのMPは満タンでHPは瀕死から抜け出せている状態ってところかしら? )


これでゲームみたいに回復薬が効けば解決するけどジャック程の魔法使いになると殆どの魔法薬は効かないらしいのでリリアナの提案は彼にとって無意味だと思っているのかも知れない。

「これは長期戦になりそうね……。」


そんな事を思いながら言い争いを止めるべく二人の所に向かうと予想以上にヒートアップしていてリリアナが声を荒げていた。

「大体、私の魔法薬が効かなくったってお父様がご自身で作ればいいじゃない!! 今までだってそうしてきたくせに何で今になってそんな態度を取るのよ!? 」


リリアナの言葉に足を止める。


「自分で作れるってこと? でも魔法薬を作るのにはとても集中力がいるのでしょう? 回復していない伯爵様に無茶を言ってはいけませんよ、リリアナ。」


リリアナを窘めるように言ったけど殆ど自分に言い聞かせるような言葉だった。だってそうじゃないと彼が此処に居る理由が分からない。


祈るようにジャックを見ると気まずそうにしていた。……それが答えだった。


つまり彼はいつからかは分からないけど此処を出ていける状態にはなっていたという事だ。それが表す事実はこの数日が彼の気まぐれの行動だったって事だ。


「何故……? 何でこんなことをしたんですか?」


数日とはいえ寝食を共にしたからか情が芽生えていた。契約から始まったけど家族としてやっていけるのではと思い始めていたのに。
彼の気まぐれは良く知っていたのにどうしようもなく裏切られた気分だった。そんな私の手を取ってジャックは言ったのだ。


「俺は君ともっと一緒に居たい。……君を愛しているんだ。」


その言葉に怒りで全身の血が熱くなるのを感じた。気が付くと私は彼の頬を思いっきり叩いていた。


「愛してる? 愛しているですって!? そうやって愛を囁いて貴方の快楽の為に沢山の女性を利用してきたくせに!! 」


10年前の出来事を思い出す。確かにあの時も彼は愛していると言っていた。だからこそ彼のその言葉は一番信じられない物だった。


「……暫く私に話しかけないで。」


そう言って部屋を出て庭に向かって走った。はしたないのは重々分かっているけれどどうしても彼の顔を今は冷静に見れそうになかった。
リリアナが手入れしている庭に来て、自己嫌悪に陥ってしまった。


「リリアナだって見てたのに何てことしてしまったんだろう。」



良き母でありたい、彼と利害関係を崩したくない。そう思っているのにボロボロと溢れる涙は止まってくれなかった。


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