その日、猫は希望と願いを天秤にかける

留菜マナ

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第一章 迷い猫に誘われて

1-8

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……ということは、ハルカちゃんが命を投げ出すほど、苦しんでいることは別のことにゃ?

固唾をのんで、神様の話を聞いていたら、いつの間にか、学校に到着していたにゃ。
悶々としながらも教室に入る。
昨日の出来事があったからか、ハルカちゃんをいじめていた女の子たちは、すっかりおとなしくなっていたにゃ。
大きな岩に追い回されたトラウマなのか。
頭を抱えて不安そうに、辺りをきょろきょろしているにゃ。
ハルカちゃんが席について、しばらくすると徐々にハルカちゃんのクラスメイトたちが入ってきて騒がしくなったにゃ。

「みんな、席につくように」

やがて、先生が来て、朝のホームルームが始まる。
だけど、我輩はそれどころではなかった。
……み、見てしまったのにゃ。
先生の後ろにいたのは昨日、目撃した幽霊さんたち……!?

『にゃにゃーーーーっ! あの時のお、おばけにゃーーー!!』

吾輩、思わず、びっくりして叫んでしまったにゃ。
でも、我輩の姿はハルカちゃんと神様以外は見えない。
不幸中の幸い、教室中が大騒ぎにならなくてすんだのだけど……。

「にゃん太郎さん、どうしたの?」
『にゃあ~、ななななな、何でもないにゃ~!』

ハルカちゃんが小声で尋ねてくる。
パニックになりながらも、何とかごまかそうする我輩。
ハルカちゃんは一瞬、不思議そうにしたけれど。

「そうなんだ」

何か事情があるのだと悟ってくれたみたいだにゃ。
それにしても、あの幽霊さんたちが見えるのは我輩と神様だけみたいにゃ。

『あの……。ハルカのことで、あなたにお願いしたいことが……』

昨日、何か言いかけていたし、ハルカちゃんに関係のある幽霊なのかもしれないにゃ。
お願い……気になるにゃ。
ハルカちゃんを幸せいっぱいにしたい。
心の底から幸せにしたいにゃ。
そのためには、幽霊さんたちの話を聞く必要があるかもしれないにゃ。
でもでも……我輩、幽霊は超苦手。
話しかけるのは、絶対に無理にゃあー!!
我輩、人間の言葉を話したりすることはできる。
ただし、それ以外は何の取り柄もない猫だにゃ……。

……にゃにゃ?
神の使いなのに、それ以外、何の取り柄もないってどういうこと、とおっしゃるにゃ?
――神様、そこは気にしちゃいけないにゃ。
つっこみどころ満載な我輩の身の上より、あの幽霊さんたちに話しかける方法を考えないと……。

『にゃ?』

悩んでいるうちに、肝心の幽霊さんたちはすーっと消えてしまったにゃ。
どういうことにゃ?
答えの出ない疑問に、我輩、首をかしげるばかり。
結局、先程のことが気になって、授業が始まっても集中できなかったにゃ。
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