その日、猫は希望と願いを天秤にかける

留菜マナ

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第一章 迷い猫に誘われて

1-7

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でも、リビングに行くと、ハルカちゃんのお父さんとお母さんに鉢合わせする可能性が高い。
リビングに行っても、大丈夫なのかにゃ?
そう懸念を抱いていると、ハルカちゃんは察したように柔らかな笑みをこぼした。

「お父さんとお母さんなら、もう、仕事に行っているから大丈夫だよ」
「……そうなのかにゃ?」

安堵した我輩はむくりと起き上がる。
むにゃむにゃ。
朝ごはんを食べたら、我輩もハルカちゃんと一緒に学校に行きたいにゃ。
でも、学校に潜入しても、すぐに追い出されてしまうにゃ。
どうすれば――。
そこで我輩は、ハルカちゃんと一緒に学校に行くための名案を閃いたにゃ!

「神様。我輩を今すぐ、人間にしてくださいにゃ! 容姿は、超イケメンの学園の王子様みたいな感じでー。さらに超人気アイドルグループの一人で……超セレブ。当然、恋模様は大混乱。でも、事情があってしばらくの間、ハルカちゃんの家に居候しているという設定にしてほしいにゃ! そうすれば、ハルカちゃんのそばに、いつでもいることができるにゃ!」

すると、『ピコンッ!』という音とともに、神様からの神託が舞い降りたにゃ。

『却下』

そんにゃ……。
あんまりにゃ。
神様の天啓は、我輩の予想のななめ上を行ったにゃ。
しょんぼり。
よく分からないが、ハルカちゃんと同じ学校に通うためには、いっぱい勉強をしないといけないらしい。
人間は猫より、いろいろと大変みたいにゃ。
結局、無難な案で我輩、透明になって、ハルカちゃんを見守ることにしたにゃ。
透明になっても、我輩の姿は神様とハルカちゃんには見える。

『にゃにゃにゃーーーっ』

家を出た後、電車に乗って、学校へ一直線。
時折、通学路で、ゴロゴロしている猫たちを見かけたにゃ。
しかし、我輩はゴロゴロしている暇はない。
ハルカちゃんを幸せいっぱいにするという、重大な使命があるのだからにゃ!

「にゃん太郎さん、何だか張り切っているね」
『にゃん!』

ハルカちゃんの言葉に、我輩はびしっと胸を張ってみせたにゃ。
何しろ、我輩のがんばり次第で、人間の姿にしてもいいという、神様からのお許しが出たからにゃ。
人間になれば、ハルカちゃんと一緒に学校に登校するという夢もかなうにゃ。
わくわくと胸を弾ませていると、神様から新たな神託が舞い降りたにゃ。

にゃにゃ?
ハルカちゃんが命を投げ出そうとした理由は、学校でいじめられていたことではない。
別のこと?
そう言えば、昨日のことがあったのに……。
ハルカちゃんは何事もなく、普通に学校に向かっているにゃ。
もし我輩なら、絶対に不登校になるにゃ。
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