その日、猫は希望と願いを天秤にかける

留菜マナ

文字の大きさ
13 / 18
第一章 迷い猫に誘われて

1-13

しおりを挟む
そんな中、ハルカちゃんは少し遅れて教室に入り、席についたにゃ。
男の子たちも、慌てて教室にかけこんでくる。
だが、肝心の萩山さんたちの姿は見当たらない。
何でも、昨日から身動きが取れなくなったため、病院で療養中らしいにゃ。
先生が朝のホームルームで、そう説明していたにゃ。
誓約書の効力はしばらく続きそうにゃ。
それにいじめの問題も取り上げられたし、しばらくは学校に来れないはずにゃ。

『にゃ?』

視線を戻すと、ハルカちゃんは次の授業の準備をしていたにゃ。

『ハルカちゃん、次の授業ってなんだにゃ?』
「英語だよ」

にゃ?
英語……?
ねこ語の授業はないのかにゃ?



その日の授業が終わると、クラスメイトたちは騒がしく教室を出ていったにゃ。
いつもどおりの教室。
変わらない日常。
だけど、そこに萩山さんたちがいないだけで、学校生活はとても穏やかだったにゃ。
ハルカちゃんのものが突然、なくなったり、嫌がらせをされることもなかった。
それに今まで話しかけてこなかったクラスメイトたちも、ハルカちゃんに声をかけてきたにゃ。
何だか、いい傾向にゃ。
よーし、このまま、ハルカちゃんを幸せいっぱいにするにゃ!
そう思っていると、教室内にいるのはいつの間にか、我輩とハルカちゃんだけになっていたにゃ。

『ハルカちゃん。我輩、学校はお昼休みが好きにゃ』
「お弁当の時間だから?」
『にゃ!』

我輩の返事に、ハルカちゃんは小さく笑みをこぼしたにゃ。
しばらく談笑した後、ハルカちゃんはカバンを持って教室を出る。
日直の人たちが教室に戻ってきたからにゃ。
校舎を出ると、我輩たちは駅までの道を、てくてくと一緒に歩いていったんだにゃ。

えっ?
今日は家まで送らなくていいのか、とおっしゃるにゃ?

神様。
我輩、早く、人間になりたいにゃ!
人間になれば、ハルカちゃんと一緒に学校に登校するという夢もかなうにゃ。
でも、人間は電車に乗れないといけない。
だから、我輩、今日は勇気をふりしぼって、がんばってみようと思ったにゃ!
人間になった先にある景色を見るために!

駅にたどり着くと、改札口を通りすぎる。
テンポよく階段を降り、足早にホームに出る。
ホームで待っていると、電車がやって来たので早速、乗り込もうとしたにゃ。
だけど、そこで思わぬアクシデントが!?

『にゃあ!』

誰かが、我輩のしっぽを踏んだにゃ!
情けない鳴き声は、雑踏にかき消されてしまったと思ったのにゃが。

「にゃん太郎さん、大丈夫?」

涙目の我輩を、ハルカちゃんがそっと気づかってくれたにゃ。
そのまま、我輩をふわりと優しく抱き上げてくれたにゃ。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

遡ったのは君だけじゃない。離縁状を置いて出ていった妻ーー始まりは、そこからだった。

沼野 花
恋愛
夫と子供たちに、選ばれなかったイネス。 すべてを愛人に奪われ、彼女は限界を迎え、屋敷を去る。 だが、その先に待っていたのは、救いではなかった。 イネスを襲った、取り返しのつかない出来事。 変わり果てた現実を前に、 夫はようやく、自分が何を失ったのかを思い知る。 深い後悔と悲しみに苛まれながら、 失ったイネスの心を取り戻そうとする夫。 しかし、彼女の心はすでに、外の世界へと向かっていた。 贖罪を背負いながらもイネスを求め続ける夫。 そして、母の心を知っていく子供たち。 イネスが求める愛とは、 そして、幸せとは――。

愛された側妃と、愛されなかった正妃

編端みどり
恋愛
隣国から嫁いだ正妃は、夫に全く相手にされない。 夫が愛しているのは、美人で妖艶な側妃だけ。 連れて来た使用人はいつの間にか入れ替えられ、味方がいなくなり、全てを諦めていた正妃は、ある日側妃に子が産まれたと知った。自分の子として育てろと無茶振りをした国王と違い、産まれたばかりの赤ん坊は可愛らしかった。 正妃は、子育てを通じて強く逞しくなり、夫を切り捨てると決めた。 ※カクヨムさんにも掲載中 ※ 『※』があるところは、血の流れるシーンがあります ※センシティブな表現があります。血縁を重視している世界観のためです。このような考え方を肯定するものではありません。不快な表現があればご指摘下さい。

私も処刑されたことですし、どうか皆さま地獄へ落ちてくださいね。

火野村志紀
恋愛
あなた方が訪れるその時をお待ちしております。 王宮医官長のエステルは、流行り病の特効薬を第四王子に服用させた。すると王子は高熱で苦しみ出し、エステルを含めた王宮医官たちは罪人として投獄されてしまう。 そしてエステルの婚約者であり大臣の息子のブノワは、エステルを口汚く罵り婚約破棄をすると、王女ナデージュとの婚約を果たす。ブノワにとって、優秀すぎるエステルは以前から邪魔な存在だったのだ。 エステルは貴族や平民からも悪女、魔女と罵られながら処刑された。 それがこの国の終わりの始まりだった。

私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。

MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。

なんども濡れ衣で責められるので、いい加減諦めて崖から身を投げてみた

下菊みこと
恋愛
悪役令嬢の最後の抵抗は吉と出るか凶と出るか。 ご都合主義のハッピーエンドのSSです。 でも周りは全くハッピーじゃないです。 小説家になろう様でも投稿しています。

お嬢様はお亡くなりになりました。

豆狸
恋愛
「お嬢様は……十日前にお亡くなりになりました」 「な……なにを言っている?」

愛想を尽かした女と尽かされた男

火野村志紀
恋愛
※全16話となります。 「そうですか。今まであなたに尽くしていた私は側妃扱いで、急に湧いて出てきた彼女が正妃だと? どうぞ、お好きになさって。その代わり私も好きにしますので」

なぜ、私に関係あるのかしら?

シエル
ファンタジー
「初めまして、アシュフォード公爵家一女、セシリア・アシュフォードと申します」 彼女は、つい先日までこの国の王太子殿下の婚約者だった。 そして今日、このトレヴァント辺境伯家へと嫁いできた。 「…レオンハルト・トレヴァントだ」 非道にも自らの実妹を長年にわたり虐げ、婚約者以外の男との不適切な関係を理由に、王太子妃に不適格とされ、貴族学院の卒業式で婚約破棄を宣告された。 そして、新たな婚約者として、その妹が王太子本人から指名されたのだった。 「私は君と夫婦になるつもりはないし、辺境伯夫人として扱うこともない」 この判断によって、どうなるかなども考えずに… ※ 中世ヨーロッパ風の世界観です。 ※ ご都合主義ですので、ご了承下さい、 ※ 画像はAIにて作成しております

処理中です...