その日、猫は希望と願いを天秤にかける

留菜マナ

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第一章 迷い猫に誘われて

1-17

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「にゃ!」

そのことを思い出した瞬間、お薬をすぐのむ我輩の行動力に脱帽である。
すると、我輩の身体がまばゆい光に包まれたにゃ。
やがて、すっーと光が消えると。

「……にゃ?」

その瞬間、我輩は違和感を覚えたにゃ。
おかしい。
視線の高さが違うにゃ。
それに頭に耳がないし、しっぽもない。
手足もすらりとして、まるでこれは人間みたいで。
状況を一つ一つ整理していくうちに、次第に明らかになっていく自身の変化。
目に飛び込んできた光景に、我輩、思わず声を上げてしまったにゃ!

「ついに我輩、人間になったみたいにゃ!」

身体の変化。
その意味するところを余すところなく、その身に刻んだ我輩だったのだが。

「……っ」

その喘ぐような苦悶の声に、我輩、ようやく状況を思い出したにゃ!
大変にゃ!
すぐに、ハルカちゃんを助けないと!

「ハルカちゃん、大丈夫にゃ! すぐに助けを呼ぶにゃ!」

我輩はありったけの意志を込めて宣言したにゃ。
だが、人間の身体は二本足で歩く必要がある。
抱きかかえるとしたら尚更だにゃ。
猫の時と勝手が違っていて、試行錯誤を重ねたけれど。
どうにか、ハルカちゃんをソファーに寝かせることができたにゃ。
安堵しつつも、ここで重大な問題が一つ。

「にゃ? しまったにゃ!! 救急車を呼ぶ方法が分からないにゃーー!!」

地球暮らしは長くても、人間社会にはうとい我輩。
まさに、絶望感がピークに達した瞬間だったにゃ!?



神様の計らいで、何とか救急車というものを呼ぶことができた我輩。
だけど、救急車で運ばれたハルカちゃんは、そのまま入院することになってしまったにゃ。
症状は過労。
度重なる疲労と強いストレスがたまったことが原因みたいにゃ。
場所は、この街で一番大きな病院。
そこで我輩が知ったのは、思わぬハルカちゃんの境遇だったにゃ。

「にゃ? ハルカちゃんの両親が既に亡くなっている?」

その話を聞いた瞬間。
疑問と動揺が一瞬で、我輩の頭の中を埋め尽くしたにゃ。
そんな中で、亡くなったハルカちゃんのお母さんのお姉さん……伯母の真山千咲さんが心苦しそうにしながらも話を続ける。

「ええ。つい先日、事故でね。それで独り身だった私が、ハルカを引き取ったの」
「でも、ハルカちゃんのお母さんのメモが……」
「あれは、私が書いたものよ。妹の筆跡と似ているから、ハルカはお母さんが書いたもののように感じたのかもしれないわね」

頭が真っ白になる。
目の前の話とハルカちゃんのことを、うまく結びつけることができなかったにゃ。
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