その日、猫は希望と願いを天秤にかける

留菜マナ

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彼女たちだけが知っている話

2-1

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神様。
次の章にいけば、ストーリーが先に進みますにゃ。
しかし、この話を読むことで、前の章と次の章のつながりを知ることができるのですにゃ。

さあ、神様、物語をこのまま、進めますか?
それとも、時間をかけて、『彼女たち』の話をみますか?

 すべては『神の采配』にかかっていますにゃ。



「あ……一番星」

いつもの帰り道、わたし、平中ハルカは薄紫色をした空にぴかぴかと輝く一番星を見つけた。
つま先立ちして必死に手を伸ばしても、わたしの指はあの輝きに少しも届かない。
なら、ゆっくり、自分のペースで近づいていくだけだ。
この世界にきっと、本当の意味で不可能なことなんて何一つないと思うから。
何より、わたしは、この理想の世界で初めての恋に出会った。
今はまだ、それだけで十分だった。

「どの輝きも、それがなかったら、今の自分はいなかったから」
「にゃ?」

わたしのそばに寄り添ってきた、大好きな猫さんが首をかしげる。
見下ろす視線の先には、変わらないぬくもりがそこにある。
強くなったのは、わたしの気持ちだけ。
初恋という、特別な感情。

「本来の歴史のわたしの環境はつらいことばかりだったけれど、それだって――」

わたしは以前、吐き捨てた『希望』をそっとすくいあげる。

「次に行くための大事な出来事だったから」
「ハルカちゃん、どういうことにゃ?」
「今は内緒」

わたしは意味深に、人差し指を立てる。

目の前の猫さんに恋をしていた。
それだけで、世界はとてもまぶしかった。



あの頃のことを思い出している。
わたしたちが過ごしたあの頃の日々を。
わたし、梢谷六花は海を見るたび、思い出す。
わたしたちが一緒にいた、すべて。
だから、それは確信に近い予感だった。
あの日、わたしは泣きながら、彼のもとに駆け寄ったことを思い出す。

「……六花、ごめんな」

そう言って、大好きな男の子は夕日に溶けるように笑った。

「約束、守れそうにもない……」

それが男の子から、わたしたちへ送られた最後の言葉になった。
大好きな人とのさよならは、海と同じ味がした。
どうして、さよならの響きはこんなにも強く胸を打つのだろう。
想いが深ければ深いだけ、別れの言葉に心が傷つくのだろう。
事実を知らないから寂しくなくて、真実を知ったから寂しくなる。
この胸の痛みは、同じ時間の中で、彼が一緒にいたという証なのだから。
彼を失って、途方に暮れていたわたしたちのもとに、空から舞い降りてきたのは切符だった。

神様がくれた『願い』の出発点。
再会を約束するための道標。

そしてその日、神の使いの猫さんは、『希望』と『願い』を天秤にかけることになるのだ。
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