「OT転生!異世界でも作業療法は無敵です」

OT.deguchi

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第6話:王子、完全拒絶。お前なんかに、俺の痛みがわかるかよ

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王宮の奥、誰も近づかない西の離れ。

重厚な扉の向こうには、静まり返った空間と、一人の少年がいた。

「……よう。はじめまして、って言っても、聞こえてねぇか」

俺は挨拶もそこそこに、彼の様子を観察する。
金色の髪に深い蒼の瞳。確かに王族らしい容姿。でも、それ以上に目を引いたのは——

感情の完全なシャットダウン。視線すら合わない。

「君が……“アリウス殿下”か」

ベッドに横たわるその少年は、まったく反応しない。話しかけても、顔すら向けない。

事故で下半身の神経を損傷。回復魔法は効かなかった。
王家の者としては致命的だ。“役立たず”という烙印を押され、今はほとんど幽閉状態。

「いまさら、誰が来ても同じだろ。
……どうせ、“治せる”って顔して、できないこと並べて、帰るんだ」

低く、刺すような声。

「“希望持て”って簡単に言うなよ。お前なんかに、俺の痛みがわかるかよ」

——ガツン、と来た。でも、それで怯むようならOTやってねぇ。

「……たぶん、わかんねぇよ。君の全部なんて。
でも、“できなくなって、世界から取り残された気持ち”なら、俺にも少しはわかる」

俺はゆっくりと腰を下ろし、彼と同じ目線になった。距離は詰めない。手も伸ばさない。ただ、そこに“いる”。

「俺も、前の世界でずっと走り続けて、気づいたら何も感じなくなってた。
それでも、誰かの“できた!”って顔を見たくて、また立ち上がれたんだ」

アリウスは、微かに眉を動かした。

……響いてる。

ほんの少しだけど、彼の“壁”に、ヒビが入った気がした。

「今日は何もしない。訓練もしない。説教もしない。
ただ一つだけ、お願いがある」

俺はポーチから紙と鉛筆を出して、ベッド横の台に置いた。

「“君の今日の気持ち”を書いてほしい。
怒ってもいい。泣いてもいい。ぶっちゃけ『お前ウザい』でも全然いい。
“君が今をどう感じてるか”を、君自身が知る第一歩にしてほしいんだ」

返事はない。けど、それでいい。今日のミッションは、ここまで。

部屋を出る直前、後ろから声がした。

「……また来るのかよ?」

「もちろん。作業療法士だからな」

——“治す”んじゃない。“向き合う”んだ。何度でも。

アリウスの心に届くまで、俺は通い続ける。

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