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第9話:動き出す言葉、変わる世界。王子の原稿が広がるとき、王家がザワつき始めた
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「……これ、マジでアリウス殿下が書いたのか?」
王立図書院・研究室。
医療士・魔導士・軍人養成の教本を管理するこの場所に、一冊の“異質な原稿”が届いていた。
タイトルは——
『剣士のための身体感覚入門——失って気づいた、真の戦い方』
その著者名に、誰もが目を疑った。
王子・アリウス・レインハルト。
「……彼は、今も離宮に幽閉されてると聞いていたが……?」
「いや、違う。“自分の力で書いた”らしい」
この原稿が、騎士団の若手訓練士たちの間で密かに回覧され、
「動けなくなった王子が、今も戦っている」として静かに感動を呼び始めていた。
——その噂は、王宮の中枢にも届いた。
***
「“社会復帰”? ……何を寝言を言っている」
玉座の間。王の側近であり、アリウスの叔父にあたる老貴族が声を荒げる。
「失われた力は戻らぬ。それを受け入れてこそ王族の品格だ。
今さら“書き物”ごときで――」
「お言葉ですが」
静かに割って入ったのは、王宮魔導医師カリス・エルネスタ。
「今回の件は、単なる“書き物”ではありません。
これは――**“アリウス殿下が自ら選んだ、再びこの国に関わるという意思表示”**です」
老貴族が目を細めた。
「貴様、あの“リハビリ”とやらの者に感化されているのではあるまいな」
「はい。その通りです」
カリスは一歩も引かない。
「彼の行動は、魔法にも貴族制にも縛られない“回復”の可能性を示しました。
それを“無意味”と切り捨てるのは、この国にとっても損失です」
***
一方その頃――離宮の部屋。
「……なぁ」
アリウスが、ぽつりと俺に聞いてきた。
「もし、また“公の場”に出ろって言われたら……俺、どうすればいい?」
「怖いか?」
「……ああ。バカにされるのも、期待されるのも。
なにより、“自分に何ができるのか”、まだ全然わかってねぇ」
「いいじゃん、それで」
「は?」
「わかんねぇまま、前に進むのが“リハビリ”だろ。
“完全じゃなくても進める”ってことを、君はもう知ってる。」
アリウスは少しだけ、口元を緩めた。
「……あのさ、もうちょい練習手伝ってくれよ。“立ち上がる”ってことに慣れたい」
「いいねぇ。じゃ、次は“公の場で人と話す練習”、やるか?」
「……それが一番キツいんだけどな」
でもその声には、少しだけ笑いが混じっていた。
王子のリハビリは、ついに“社会復帰”のステージへ。
でも、国の中にはそれを面白く思わない者もいる。
その足音は、確実に近づいていた。
王立図書院・研究室。
医療士・魔導士・軍人養成の教本を管理するこの場所に、一冊の“異質な原稿”が届いていた。
タイトルは——
『剣士のための身体感覚入門——失って気づいた、真の戦い方』
その著者名に、誰もが目を疑った。
王子・アリウス・レインハルト。
「……彼は、今も離宮に幽閉されてると聞いていたが……?」
「いや、違う。“自分の力で書いた”らしい」
この原稿が、騎士団の若手訓練士たちの間で密かに回覧され、
「動けなくなった王子が、今も戦っている」として静かに感動を呼び始めていた。
——その噂は、王宮の中枢にも届いた。
***
「“社会復帰”? ……何を寝言を言っている」
玉座の間。王の側近であり、アリウスの叔父にあたる老貴族が声を荒げる。
「失われた力は戻らぬ。それを受け入れてこそ王族の品格だ。
今さら“書き物”ごときで――」
「お言葉ですが」
静かに割って入ったのは、王宮魔導医師カリス・エルネスタ。
「今回の件は、単なる“書き物”ではありません。
これは――**“アリウス殿下が自ら選んだ、再びこの国に関わるという意思表示”**です」
老貴族が目を細めた。
「貴様、あの“リハビリ”とやらの者に感化されているのではあるまいな」
「はい。その通りです」
カリスは一歩も引かない。
「彼の行動は、魔法にも貴族制にも縛られない“回復”の可能性を示しました。
それを“無意味”と切り捨てるのは、この国にとっても損失です」
***
一方その頃――離宮の部屋。
「……なぁ」
アリウスが、ぽつりと俺に聞いてきた。
「もし、また“公の場”に出ろって言われたら……俺、どうすればいい?」
「怖いか?」
「……ああ。バカにされるのも、期待されるのも。
なにより、“自分に何ができるのか”、まだ全然わかってねぇ」
「いいじゃん、それで」
「は?」
「わかんねぇまま、前に進むのが“リハビリ”だろ。
“完全じゃなくても進める”ってことを、君はもう知ってる。」
アリウスは少しだけ、口元を緩めた。
「……あのさ、もうちょい練習手伝ってくれよ。“立ち上がる”ってことに慣れたい」
「いいねぇ。じゃ、次は“公の場で人と話す練習”、やるか?」
「……それが一番キツいんだけどな」
でもその声には、少しだけ笑いが混じっていた。
王子のリハビリは、ついに“社会復帰”のステージへ。
でも、国の中にはそれを面白く思わない者もいる。
その足音は、確実に近づいていた。
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